書く仕事

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東京出張

2013年01月07日 01時32分02秒 | 日記
日帰りで東京出張に行ってきました.





このアングルなかなかいいでしょ?

増上寺脇の路地から撮ったんです.



仕事が終わって,機械振興会館を出ると目の前に東京タワー.





最近は東京スカイツリーに注目が集まってはいるが,この東京タワーもまだまだ人気がある.

人気と言えば,帰りに乗った787機.

初めて乗りました.

うれしかったね.



係員から早く前に進んでとせかされながらも,写真を撮りました.

「ビタミンF」重松清

2013年01月07日 01時26分26秒 | 読書
「ビタミンF」重松清




アラフォーと言われる男性サラリーマンが主人公の短編集.
概ね係長とか,主任とか言われる立場にあり,仕事はまあまあ頑張っている.

家庭は,妻ともうまく行っているし,子供も一見健全に育っているようだ.

が,しかし.....

短編集だが,主人公は各々別の男性で,背負い込んでしまった問題もそれぞれ異なる.

問題の種を持ち込むのは,ある時は子供だったり,ある時は妻だったり,また,実家の親父だったり.

しかし,それらに共通していることがある.
それは,本当の原因は,問題を持ち込んだ子供や妻ではなく,そんな家庭の雰囲気を作ってしまっている,主人公自身にある,という点.
夫として,妻にはこう言うべきだ,子供が悪さをしたら,親としてこう叱るべきだ.
てな風に常に何かを演じる事で自分の「役目」を果たすべき,と言う強迫観念を持っている.
しかし,そういう演技は,家族特に感受性の鋭い子供には簡単に見破られる.

親が尊敬の対象から軽蔑の対象に転換する瞬間だ.

さらに厄介なのは,そのことに自分が気付いたとして,おいそれと直せるものでもない.

何十年かけて築いてきた今の自分だ.

そうやすやすと変われるものか.
あるいはその性格はDNAのなせる技かもしれないし.

だとすると,後天的な努力ではどうしようもない.


ただし,ここからが重要.

それは,問題は『解決されなければならない』 という命題があればの話.

問題は『問題のまま共生していけば良い』という立場に立てば,一気に状況は変わる.

人生なんて辛くて当たり前.いじめはあって当たり前.不順異性交遊はあって当たり前.
万引きはして当たり前.
離婚はして当たり前.

当たり前が極論なら,「想定内」という表現に置き換えても良い.

作者の重松さんは人生の機微とは辛い事とどう向き合って生きるかにある,と示唆している.

あ,今俺つらい状況にあるな,と一歩下がって自分を観察してみると,子供や妻の事も意外にスッと見えたり許せたりするんではないか.

とにかく,どんなにとんでもない出来事が起きても,まずはその状況を味わってみようよ,そうすれば,誰かがそれに共感してくれるよってね.