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阿久遺跡

2021-01-15 | Weblog
そうそう、こういうのが見たかったのよ。昭和50年から53年に発掘されて、54年に国史跡に指定された
阿久遺跡は長野県諏訪郡の原村にある縄文遺跡で、環状集石群の長径は120m、短径は90mだから、ほぼ
30m幅のドーナツ状に石が並ぶ。



ここがすごいのは縄文時代の前期に集落がどのように発展したか、その経過をたどることができる点だ。
現地に掲げてあるパネルを見ればわかる通り、はじめは住居だけだったが、その後(たぶん上の層には)
方形柱穴列が加わり、つぎに土壙群が加わり、さいごに立石・列石や環状集石群が加わる。そうやって、
縄文時代の集落がだんだん大きくなっていった。



住居はもちろん竪穴住居で、そのあと加わった方形柱穴列というのは倉庫なんだろうな。クリとかシイ
の実などを貯蔵したのだろうか。なかなか勉強になるパネルだ。つぎに加わった土壙群っていうのは、
このまえ訪ねた金生遺跡にもあったけど墓石のようなものだ。



右上の写真が土壙。そして立石、列石、環状集積は大湯遺跡や金生遺跡にもあった。ああいう環状集石
は最初からあったわけじゃなくて、精神的な拠り所としてだんだん形作られてきたものだった。なんと
わかりやすい遺跡だろう。



中央自動車道の工事で発見された阿久遺跡は、発掘が行われて国史跡に指定された後、自動車道を通す
ために再び埋め戻された。その気になれば未来の人が発掘調査できるように。そして埋め戻した土の上
に中央自動車道を通した。だから道路が原村で少し高くなっている。



現地のパネルによるとこんな具合だ。ドーナツ状の縄文遺跡を埋めた上をクルマがびゅんびゅん走る。
ほとんどの人はそこが遺跡だとは思いもしないだろう。



あのトラックの人も、ここが縄文人の集落だったとは気づかないで通り過ぎていく。遺跡だって気づく
ほうが、むしろどうかしている。盛り土の上に林があり、片隅にパネルが立っているだけだから。




関連記事:  金生遺跡
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