ポエム心をくすぐられる姫路城のたたずまいだった。
石垣はスポンジ
白壁はクリーム
瓦はチョコレート
城はデコレーションケーキ
修復される前からそんなふうに見えた姫路城、別名「白さぎ城」。平成の大修復工事が済んで、久しぶりに全貌を眺めたら以前より白くなっていた。あれは「白さぎ城」じゃなくて、「白すぎ城」だと観光客がつぶやいた。
押しも押されもせぬ観光地で、世界遺産にまでなっている。「マツケンサンバ」でおなじみの松平健がまだ『暴れん坊将軍』だったころ、オープニングで白馬に乗って、この石段を駆けてきたという。そんなシーンあったかな? 時代劇に出てくる江戸城は9割がた姫路城というのは世界中の人に知れ渡った話だ。
織豊時代はチョコクリーム
徳川時代は生クリーム
江戸城や姫路城のように、徳川の世になってから築かれた城は壁が白く塗られてる。それ以前、信長や秀吉が覇をとなえた時代の城は実戦的で、黒い壁の城が多い。熊本城、松本城、岡山城、などなど。ケーキにも流行り廃りがあって、織豊時代がチョコクリームなら徳川時代は生クリームだ。
スポンジ部分の材料もいろいろ。自然の石を積んだり、切り出した石を積んだり。特大のケーキを作るには手当たり次第の石を投げ込む。石灯籠を使ったり、墓石を転用したり……古墳の石棺を持ってきて石垣の一部にしたりもする。この真ん中の石なんか、古墳にあった石棺をよっこらしょっと持ってきて算木積みの一部にした。当時の武将にはタブーがなかったんだな。
隙間からのぞくと確かに石棺のような穴が繰り抜いてある。バスタブを横にしたような穴といったら、わかりやすいだろうか。こんなのが、とある門の両側に据えてあるので偶然ではなく、わざとやったに違いない。いっそのこと、おまじないかも。
いろいろな仕掛けがあって面白いんだけど、たくさんありすぎて書く気がしない。石垣はスポンジ、白壁はクリーム、瓦はチョコレート、城はデコレーションケーキ。修復中の姫路城をブログに書いたことがあるような気がしたけど、検索しても出てこなかったからブログに書いたこと、どうやらなかったみたい。観光地なんてそんなもの。つぎはどこか地味ところに行こう……。
次回は「吹屋」です。