散 歩 B L O G

歩くことが唯一の趣味ですから。

疏水の水

2015-07-19 | Weblog
鴨川は昔から京都に流れ込んでいるけれど、明治になって産業を興すために琵琶湖から
水を引いてきたのが琵琶湖疏水……農業用水、飲用水、舟運、水力発電。そういう目的で
はるばる琵琶湖から京都まで水が引っぱってこられた。


蹴上浄水場に近い疏水の噴水

疏水の水は産業を興すためにだけ使われたわけじゃなかった。あの噴水のすぐ近くには、
明治の元老・山形有朋の別荘、無鄰菴がある。


410円を払って中に入ると……

平安神宮の庭園を手がけたことでも有名な造園家、小川治兵衛が作庭した池泉回遊式
庭園をのんびり、ゆったり眺めることができる。


この庭に使われている水が疏水

産業を興すために引いた疏水の水が、ふんだんに庭を流れている。近代技術のなせる技
なんだけど、ちょっと見るかぎり伝統的な作庭。そこがすごい。


佇んでいると町の中と思えない

疏水の水は無鄰菴のみならず、小川治兵衛が手がけた並河靖之の邸宅の庭にも使われた。
ぐらいだから、無鄰菴から並河邸にいたる途中の屋敷の園池にも、疏水の水が使われている
かもしれない。きっとそうにちがいない。


七宝で有名な並河靖之の旧邸宅

疏水の水を使うのは、当時としては最新技術の結晶みたいなものだけど、ぱっと見それが
あからさまでないところに驚く。


明治っておもしろいかも


関連記事: 大津  ←疏水の出どころへ
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石峰寺

2015-07-11 | Weblog
京都に仕事の用事があって新幹線で移動するとき、71歳のおじいさんが油かぶって焼身自殺
しないといいなと思いつつ、保育社のカラーブックス113 『京の寺』(1966年11月1日初版) を
読んでいると、石峰寺というところに興味を引かれた。


時間ができたので

京阪電車の深草駅で下りると、看板が出ていた。これでたどりつけそう。石峰寺は、いしみねでら
かと思ったら、せきほうじっていうみたい。宇治の萬福寺とおなじ、黄檗宗のお寺。


さらに案内表示が

伊藤若冲という江戸時代の画家が下絵を描いてつくらせた石仏群の写真をカラーブックスでみて、
こりゃおもしろいから訪ねてみようというわけ。深草駅から徒歩10分ぐらいで、それらしい雰囲気に
なってきましたよ。


竜宮門というそうですが、やはり黄檗宗は中国風


この敷石は……!

宇治の萬福寺でも、東京の白金にある瑞聖寺でも、おなじ敷石をみた。そんなことで感動する。
でも、あの特徴ある布袋さんに石峰寺では遭遇しなかった。


そ、の、か、わ、り


天上天下唯我独尊

目鼻も手足も、細部はすっかりぼろけてしまっているけれど、釈尊誕生の天上天下唯我独尊!の
ポーズだ。まわりをかこむ石仏群がユーモラス。五百羅漢像ってあちこちにあるけど、こちらのは
かなり個性的。よくみたら五百羅漢は撮影禁止みたいなので、羅漢じゃなくて釈尊と脇侍と菩薩の
やつを。頓智か。


五百羅漢の下絵を描いた若冲の墓

明治の廃仏毀釈のときメチャクチャにされたそうだけど、茂みに埋没したユーモラスな石仏群を
昭和の和尚がいまのように手入れして並べなおしたとカラーブックスに書いてあった。


墓のとなりに何か

戦艦の魚雷みたいなものがある。何だろう? と後で調べたら、筆塚だった。そうか絵に筆を使う
から……魚雷は使わないから。

関連記事:  布袋が好き  (黄檗宗つながり)
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