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歩くことが唯一の趣味ですから。

八甲田

2022-07-10 | Weblog

私は今、千人風呂で有名な八甲田山中の温泉、酸ヶ湯(すかゆ)の湯治部に宿をとって万年床でブログを書いている。場合によっては最後の普通選挙になるかもしれない参院選の開票速報を横目に見ながら……そんなことはどうでもよい。期日前投票を済ませたときから諦めはある程度ついているのだ。元総理のボンボンがいまさら死のうと生きようと、国境を越えた法人の奴隷にこの国の個人が落とされるのは規定路線にすぎないのだから。

 

なんでまた八甲田に来たのか。それは練習のためだ。白山にいつか登りたいとブログにうっかり書いた(下のほうにリンク)のを友人が読んで覚えていて、8月末に金沢で仕事があるからその前後1泊2日で白山に登らないかと誘われたのだった。山登りなど久しぶりなので装備をかき集めて整え、事前に一度ぐらい全部かついでトレッキングぐらいしておこうと酸ヶ湯に転がりこんだ。鹿が傷を癒す鹿湯(しかゆ)が訛って酸ヶ湯(すかゆ)になった湯治場に転がり込むのは確か2009年の9月以来、2度目だが特に変わりない。部屋でWi-Fiが使えるようになっていたから気兼ねなく長文が書けることぐらい、あと千人風呂に混浴じゃない時間(女性専用)が朝夕1時間ずつ出来たことぐらいが変化といえば変化だろうか。

 

千人風呂は入るたびに小さくなる。2009年に騙されたときは「百人ぐらいしか入れないな」と思ったものだが、今回さらに縮んで女性が混浴時間に姿を現さない。あっ現れたと思ったらおばあさんで、おじいさんと見分けがつかない。以上はきっと気のせいで前回もたぶん同じようなものだった。湯治部に漂う硫黄の匂いは変わらない。横溝正史の『獄門島』か『悪魔が来たりて笛を吹く』か『八つ墓村』か何か万年床で読んだことを覚えている。どれだったか忘れた。寝具や雨具や防寒具を全部かつぐ練習など1日やれば十分だから、2日目はデイパックで奥入瀬あたりを冷やかそうという魂胆で今回やってきた。天気がいいとは限らないし、Kindleで何か読みながら湯治部でごろごろして帰るだけになるかもしれない。別にそれでも構わないと思いながら来た。

 

6月のうちに梅雨が明けたから大丈夫だろうと思ったのに駄目だった。ちょっと晴れ間が見えて「今だ!」とばかり雨具とバックパックを装着して酸ヶ湯から八甲田ロープウェーまで1時間ほど歩き、結局のところ雨に降られた。わざわざ雨具のテストをしに来たようなものだ。日露戦争の演習で兵隊さんが200人ぐらい、ほぼ全滅したという雪中行軍に比べればどうということはない。ロープウェーで高度を稼いだ。霧で何も見えなかった。

 

小雨なので人もいないし、足場も悪いに違いないから、大岳まで歩いて酸ヶ湯に下るルートを諦めてひょうたん型の遊歩道を歩いてまたロープウェイで下りて来た。練習にあまりならなかったけど、なあに構うもんか。酸ヶ湯に戻るバスを待っていると、タクシーの運転手さんがバスと同じ400円で行くよと声をかけて来たので乗車した。見てるとメーター倒してないから、400円は運転手さんの小遣いになるんだろう。いいことをしてスッキリしたので千人風呂にゆっくり入った。

 

関連記事:    (白山)

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