散 歩 B L O G

歩くことが唯一の趣味ですから。

鹿教湯

2011-08-17 | Weblog
鹿に化身した文殊菩薩が、信仰篤い猟師に矢を射させて、いで湯の在り処と効き目を教えた
ことから、鹿教湯(かけゆ)と名づけられたそうな。うそかまことか、800年の歴史を持つという
信州の古びた温泉宿を、家族連れで訪ねてみたんじゃ。


松本から路線バスで約50分ほど

山間の温泉地で、バスは1日2本。それも平日だけ。土日祝は予め頼むと町がマイクロバスを
出してくれる。上田との間には何本か路線バスが走っているが、約70分かかるらしい。そして、
最寄のコンビニまではクルマで30分かかるのじゃ。


梅雨どきはホタルが出るそうな

こういうところで、なにもしないで、家族で静かにお盆を過ごしてみようということになったのじゃ。
仕事も家事も忘れて、学校も受験も忘れて、おじいちゃん、おばあちゃんのことは忘れないけど、
孫の夏休みは長いから慌てない慌てない、一休み一休み。


このへんで鹿が猟師に温泉を教えた(?)

左の建物が源泉跡、共同浴場「文殊の湯」じゃ。ここから上り坂に沿って両側に温泉宿が並ぶ。
その他は特に何もない。みやげ、クスリ、甘味処、そばや、などは何軒かある。


散歩ぐらいしかすることがない

持ってきた本を読んでしまったとき、湯上りにそぞろ歩いて週刊誌のお盆特大号まとめ買いしたら、
みやげ店の息子に化身した文殊菩薩に救われた気がした。


川辺の石段を上がっていくと、その文殊菩薩のお堂があった

東京なんかに比べると、昼間も森の中は涼しい。朝夕は窓を開けたまま寝てると寒いくらい。
それでも、宿の人は「暑いですね」って言う。……そんなもんかな?


いい感じ屋根が苔むす薬師堂

朝食と夕食は宿で「これでもか!」と出るので、それがしも受けて立つ覚悟で臨んでいるが、
昼食は出ないから散歩ついでに何とかしないと。


石挽き十割そば、であるか

ごく普通の民家(古め)の玄関に「こんにちは……」とお邪魔して、居間にズカズカ進んだら
人々がこんなふうにそば食べてる。ちょっと不思議なので、怖気づいて帰る人も。


畳に絨毯を敷いてテーブルとイスを置いて


わりと長いこと待つ、みたいな感じ?

おじさん目がキラキラしてた。そば打つの大好き、天ぷら揚げるの大好き、って顔してるから
十割の田舎そばに天ぷら付けてもらった。他のお客さんが、おばさんに「おそばだけじゃ、
ちょっと淋しいわよね?」と聞いたから、さぁ大変。


自慢の天ぷらは野菜と果物、500円

「そんなことないですよ、おそばの香りを楽しんで食べていただくには、おそばには十割で
更科、盛り、田舎と3種類ありますから、それぞれ味わっていただけたら嬉しいですしね、
天ぷらは天ぷらで心を込めてますから注文いただけたら嬉しいです」

おじさんの顔に書いてあることを、おばさんが日本語に通訳する。


おばさんのおすすめは田舎そば、1100円

ぶっといの出てくるかと思ったら、案外お上品な切り方のおそばで、かまずにのんでも大丈夫。
おいしい、おいしい。東京だと量が半分ぐらいの見当だから、2枚とか注文しそうになるけど、
1枚にしといてよかった。お腹いっぱい。


お薬師さんの壷から水でとるわ

同じ森の中でもウロウロしないと、運動不足で夕飯が入らへんわ。なんで関西弁やねん。

盆踊りは夕立に降られて、鹿教湯温泉交流センター(屋内)でやってたけど、驚いたことに
かき氷とか焼鳥とかお酒とか、地元の人だけじゃなくて余所者にも無料で配るのね。


飲用泉

なーんにもない、いい意味で「陸の孤島」みたいなところ。隠れ切支丹の遺物でもあるかと
思ったけど、そういうことでもないみたい。


あやしくないもんね

のんびり都会を忘れるのに向いている。でも、松本から特急に乗って雑然とした新宿に戻るころ
心底ホッとするのはなんでだろう。
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