レダと白鳥 油彩F6号
レオナルド派の古典作品を組み合わせて構成したが、顔はやはりあの「にんまり笑顔」にはならなかった。女性作家の私から見て、弟子たちの描いたレダの表情はやや邪悪で、エロティシズムのカリアチュアに近いとさえ感じられるからだ。
ここに近代女流画家、マリー・ローランサンのレダと白鳥を参考に上げる。
レダと抱き合う白鳥には、天帝ゼウスの男性的要素は皆無で、小さく可憐、形象のおぼろな甘くたゆたう色彩世界で、2人とも、ひっそりと夢みるように優美、柔らかな詩情に包まれている。レダもまた女性の肉体美から離れて少女のようだ。そしてこの柔らかな世界には、豊穣多産のシンボルである卵や嬰児は描かれない。
ローランサンの望んだレダがどういうものか、古典絵画と比較するとはっきり見える。
今はちょうど、四旬節。これが過ぎればキリストの再生復活を祝う春の復活祭、イースターシーズンとなる。豊穣を願い、鮮やかに彩った卵を飾る季節だ。
レダと白鳥を、復活祭前のこの時期に描いて良かったと思う。
いずれは私自身のスタイルで、このテーマ、モチーフを作品にしたいと願っている。
神に感謝。
愛と感謝。