伊坂幸太郎の短編集。こういうのを「伊坂ワールド」と言うのだろうなと。「バンク」「チルドレン」「レトリーバー」「チルドレンⅡ」「イン」の5作。伊坂本によく登場する饒舌な男は陣内。その友人の鴨居が銀行強盗に遭遇する。そこで盲目の青年永瀬とその恋人と盲導犬ベスと出会う。2作目では陣内が家庭裁判所の調査官。その後輩の武藤が語り手となる。3作目は永瀬の恋人優子が語り手。4作目は再び武藤が語る陣内からみの物語。そして5作目は永瀬が語る。それぞれが独立しながら、ああ、陣内の言っていたのは…。と全体が大きな連鎖となっており、時が行き来しながら、伊坂ワールドの中に漂うか。☆☆☆☆。