『容疑者…』が面白かったので、買ってみた。脳外科医のノートから物語は始まる。脳移植手術。不動産屋で強盗に出くわし、少女を守ろうとして撃たれてしまった主人公の成瀬。脳移植手術で蘇る。ところが、次第に自分が変っていく。かつて愛した恋人のそばかすが嫌になり、昔大笑いした映画に笑えない。絵が好きだったのに、音感だけが発達していく。ドナーは善良な青年の筈だった。どうして。謎を追い、その間にも自分が失われていく。そんな悲しい物語。読ませるのは確かであるが、『容疑者…』に較べて重いのが少々気になって、☆☆☆ほ、というところか。