ギリシャ神話あれこれ:カドモスの建国

 
 ギリシャ神話のなかで、子供の私にトラウマのように印象に残ったのが、なぜかこのカドモスの竜の話。大して面白い(あるいは怖い)話ではないのだが、あるとき、軍神が私の夢に現われて、私をカマダス(って、名前間違ってるんだけど)と呼び、お前を末代まで呪ってやるぞ、と叫んだのだった。
 私はカドモスでもカマダスでもなーい!! と必死で叫び返して眼が醒めたけれど、あのとき初めて、冷や汗というものをかいたっけ。呪われるって、やな感じ。

 エウロペの失踪後、父王アゲノルは激怒して、息子たちに妹の行方を捜索するよう命じた。よほどエウロペを可愛がっていたのか、見つけるまでは帰ってくるな、と頑固な言いよう。
 が、ゼウス神がさらったんだもの、文字通りの神隠しに遭遇した女性が見つかるはずもない。やがて捜索を諦めたとき、息子たちは父王をはばかって帰国せず、赴いた地にそのまま腰を下ろして、それぞれ国を建てた。

 さて、王子カドモスも、母テレパッサとともに、妹を捜してまわり、とうとうトラキアにまでたどり着いた。テレパッサはこの地で死に、カドモスは再び妹を捜す。
 が、とうとう、手がかり一つ見つからない妹のことをどうしたものかと困り果てて、デルフォイで神託を受けることにする。すると……
 エウロペのことは諦め、野で出会う牝牛に従って歩き、その牝牛が倒れた地に国を築くがよい。

 カドモスが神殿を出ると、腹に白い満月の模様のある一頭の牝牛が、のろのろと歩いている。その後をどこまでもつけていくと、疲れた牝牛はとある丘で身を横たえた。

 To be continued...

 画像は、C.ハーレム「竜に食われるカドモスの従者たち」。
  コルネリス・ファン・ハーレム(Cornelis van Haarlem, 1562-1638, Dutch)

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