ロウソク集会で 韓国の政治革命
2016年末、韓国で朴槿恵退陣を訴える巨大なデモが起きた。発端は5月10日の「セウォル号惨事は虐殺だ」「朴槿恵大統領退陣」のデモから始まったもので、この日ソウルでは五万人が集結し、105人が連行された。11月にそれが百万人デモに急拡大。労働組合の民主労総も7月からゼネストを行っていたが、朴槿恵退陣に呼応した。
その前の10月に、朴槿恵の親友、崔順実(チェ・スンシル)による機密漏洩、財団への出資強要などの疑惑が発覚。大統領との癒着が問題となる。10月29日は3万人抗議デモだったが、続く11月5日のデモは20万人、19日に50万人、26日は150万人と急速に膨れ上がっていく。このキャンドルデモは毎週末に行われ、また民主労総も即時退陣を求めてゼネストを強化、鉄道労組は74日間ストを敢行した。
12月初旬、韓国国会も一連の疑惑に対する国政調査を開始し、29日に大統領弾劾決議が可決され、朴大統領は職務停止となった。抗議を続けてきた市民らから「市民革命だ」と歓呼の声が上がった。沖縄タイムスは社説「『怒り』が国会動かした」を発表。
だが、韓国では弾劾が決議されても、憲法裁判所による弾劾審判を経なければ罷免されない仕組みだ。
しかし、即時退陣を求める市民は「弾劾案可決は終わりではなく始まり、朴槿恵は直ちに辞任すべき」としてキャンドル集会は続けられ、12月17日に行われた八週連続デモで65万人。クリスマスイブのデモでは多くの参加者がサンタクロースに扮してデモ。この参加者は25万人。主催者は朴大統領が罷免されるまでデモを続けると宣言している。
見逃せないのが、このデモの影響を受けたセヌリ党国会議員らの動きだ。抗議デモはセヌリ党本部やいくつかの支部前でも行われたため、恐れをなしたのだろう。弾劾決議で62人が造反して弾劾賛成の票を投じた。さらに12月27日、これら造反議員のうち29人が離党し、新党の結成宣言をしたことだ。この結果、与党セヌリ党は第一党から転落し、「共に民主党」に首位を奪われた。
国会議員は人気稼業だから、人気が落ちると次の選挙で落選することになる。その結果、第一党が入れ替わったのである。
さて「戦争できる国」となった日本では、米国のポチ・安倍晋三が総理大臣の座に居座っている。この現状を変えるのは誰か? 今回の韓国革命を見る限り、主権者・国民が変えなければ駄目なのだ。指を咥えて傍観していてはいけない。
クリエイティブ・コモンズにて、転載。救援連絡センター発行「救援」紙の、2面の連載コラムより