日本赤十字社・スタッフサービス
違法派遣・派遣解雇・地位確認訴訟一審判決
4月23日(水)13時10分、東京地裁527法廷において、日本赤十字社・スタッフサービス地位確認訴訟の判決言い渡しがあります。
わたしも行きます。以下、資料より転載。--------------------------
この裁判は、2010年12月22日提訴をしました。原告廣瀬明美(以下、原告)と日本赤十字社(以下、日赤)との間の労働契約上の地位確認請求事件であるとともに、派遣先日赤と派遣元スタッフサービスの両社が偽装派遣つまり違法派遣を故意に行い、労働局から摘発を受けた違法派遣の責任回避のために原告を失業させた被告それぞれに対する損害賠償請求と共同不法行為における損害賠償請求事件でもあります。
原告は、日赤神奈川県赤十字血液センターで、日赤の正社員と変わりなく就労しておりましたが、業務の実態が労働者派遣法の専門業務派遣でないことから、派遣元スタッフサービスと派遣先日赤に対し違法派遣の是正を訴え、法律上にある自由化業務であるなら原則1年で生じる「直接雇用申し込み義務」を日赤に求めました。日赤は原告に直接雇用を約束し、直接雇用の合意が成立したところ、スタッフサービスは原告に対し「直接雇用の見直しまたは日赤に移籍金・違約金」を要求すると脅し、その結果、日赤での直接雇用の話は立ち消えてしまいました。そうこうするうちに、2008年末「年越し派遣村」の派遣切りが社会問題となり、2009年2月より東京労働局が人材派遣会社最大手であるスタッフサービスへ違法派遣の摘発に乗り出しました。そこでスタッフサービスは派遣マージンを手放したくないということで、あくまで期間の上限がない専門業務派遣内の契約で摘発を免れようと日赤へ契約変更を申し出ました。しかし、日赤はスタッフサービスとの労働者派遣契約を解消し、原告は直接雇用の約束を反故にされ、最終的には日赤の違法派遣の責任回避のために悪辣にも職場を放り出されました。原告が不当に失業した後の契約書3か月分が原告自身へも日赤へもスタッフサービスから発行されていることが違法派遣にしても雇用が続いていたことを物語ります。
失業後、原告が申告した違法派遣について、東京労働局ならびに神奈川労働局はこの就労実態を違法派遣と認定し、派遣元、派遣先ともに改善・是正指導を行い、原告以外の他社の派遣労働者は日赤に直接雇用されています。そして厚生労働省の「専門26業務派遣適正化プラン」第一号事案となって当時大きく報道がなされました。また、原告から、労働局担当官2名や立法府そして厚生労働省担当官僚へ「違法派遣に遭っている労働者の雇用を守るよう」「専門26業務派遣適正化プラン施行時になかった『雇用の安定を図った上での是正』をプランに盛り込むよう」強い要請をして来た結果、日赤だけではなくスタッフサービスの各取引き先でも直接雇用へと是正措置がなされて来ました(労働局、厚労省、議員への“再三”の働きかけに当時各人が応えていたこと、専門26業務派遣適正化プランの欠陥を日々ロビングや厚労省レクチャーで指摘したところ直ぐに『雇用の安定を図った上での是正』と文言が入ったこと、書証の丙4号証には原告の労働局申告の結果スタッフサービスが是正指導の際に派遣先での直接雇用につないでいる事実がある)。
<本件裁判の争点>
1)原告の就労実態は、日赤職員として正社員と変わりなく働き、研修や賃金など明示・黙示の労働契約があったこと。
2)日赤における労働者派遣法が禁止する常用代替と偽装派遣つまり違法派遣の実態
3)労働局の再三の指導により、スタッフサービスは日赤へ契約内容の変更申し出をあくまで専門業務派遣の枠内ですり替えるだけでの是正を求めたが、日赤はそれを一蹴し、労働者派遣契約が打ち切られることにより原告が不当に失業した両社の共同不法行為。
4)労働局の指導により派遣労働者の是正措置として直接雇用が行われるも、違法申告した原告だけが職を奪われた日赤の法的責任。
5)日赤が採用面接を行い、直接雇用を承諾したことなどによる黙示の労働契約が存在すること。
6)スタッフサービスによる直接雇用の妨害行為。
7)スタッフサービスが2005年7月から原告の申告結果の2010年3月事業改善命令までに合計28回の是正指導を労働局から受けている実態から、原告とスタッフサービスの雇用契約は無効であること(最高裁判例、岡田調査官説)。黙示の労働契約は日赤に存在していたこと。
以上の事柄に基づき、原告は正社員の地位があるということを主張し、あわせて、不法行為に基づく損害賠償を求めている。
<本裁判判決の意義>
現在、労働者派遣法「改正」案が衆議院に上程されています。この法案の目玉が、労働者派遣法が保護してきた「常用代替の防止」を緩和するものであることはご承知の通りです。派遣期間原則1年を超える同一施設・同一業務の当該労働者への労働契約申し込み義務は、派遣先が派遣労働者を受け入れる期間制限が業務単位でなくなることで、派遣先は期間制限なく派遣労働を利用することができるようになります。その一方、派遣先は3年になれば派遣労働者を合法的に打ち切ることができます。また派遣元での無期雇用という「搾取構造」へお墨付きを与え合法化することにもなります。派遣労働が例外的な雇用形態であり、専門的、臨時的、一時的な業務のみに認められるという考え方を、この「改正案」は根底から覆すものです。
このような状況下で迎える本件判決は、裁判所の派遣労働に対する考え方が労働者保護の見地にあるのか、派遣元または派遣先の都合を優先するのかが問われるものであります。
その後、厚生労働省で記者会見室だって。
出席者 原告:廣瀬 明美
原告代理人:笹山 尚人、伊須 慎一郎
全国一般労働組合東京南部
報道されるかな。見てね。