「逃げる女」 青木俊 小学館文庫
監視カメラ、いまどき流行りのAI動き補足まで掻い潜って! 逃げる女に感嘆。
かっこいい、美人で聡明&運動神経いいって「てんこ盛り」すぎるヒロイン像。
道警、警視庁、神奈川県警が三つ巴で追尾する。競い合って間抜けなので笑える。
逃げまくったのは何故、なのかは後半に判明。
そして検事総長まで絡んできて、社会派展開。なるほど。
「逃げる女」 青木俊 小学館文庫
監視カメラ、いまどき流行りのAI動き補足まで掻い潜って! 逃げる女に感嘆。
かっこいい、美人で聡明&運動神経いいって「てんこ盛り」すぎるヒロイン像。
道警、警視庁、神奈川県警が三つ巴で追尾する。競い合って間抜けなので笑える。
逃げまくったのは何故、なのかは後半に判明。
そして検事総長まで絡んできて、社会派展開。なるほど。
生きのびるための「失敗」入門 雨宮処凛 河出書房新社
題名が良い、なにしろ「失敗」入門だもん。
そのうえ「生きのびるための」ときたもんだ、拍手。
シリーズは「14歳の世渡り術」となっているので、中学生向けなのかな。
いつのまにか落ちこぼれ独居老人になった身にも響いてきたよ。
最終章は野宿の、おじさん。おばさんは、どうなのかなあ。心配。
ーーーー 目次 ーーーー
第1章 失敗や挫折は一生の仕事のエネルギー―作家 あさのあつこさんに聞く
第2章 人生の経験値は、失敗することで上がっていく―元ひきこもり、元醜形恐怖、元アルコール依存症 月乃光司さんに聞く」
第3章 弱さをさらけ出すことで幸せになれる―“弱いロボット”の研究者 岡田美智男さんに聞く
第4章 極寒の北極で失敗しても死なない男―探検家 角幡唯介さんに聞く
第5章 「迷惑をかける練習」をしよう―臨床心理士 東畑開人さんに聞く
第6章 他人の決めた「意味がある」に振り回されない―オタク女性ユニット「劇団雌猫」に聞く
第7章 一番幸せなことは、死なない程度に「安心して」失敗できること―NPO法人「抱樸」代表・奥田知志さんと元野宿のおじさんたちによる座談会
美しく儚い愛のも物語「シェイプ・オブ・ウオーター」の監督、4年ぶりに観た。
映画説明ではカーニバルとあるけど、見世物小屋だよなあ。
怪しげな読心術の「トニ・コレット」は、海千山千。
電気しびれ芸人は、可憐な「ルーニー・マーラ」。死刑執行もどきの電気椅子展開も。
かたや上流階級相手の心理学者は悪女「ケイト・ブランシェット」。ここまでがポスターにある女3人。
色男「ブラッドリー・クーパー」は上昇志向なのだが、破綻は当然。どう崩れ堕ちていくのかスリラー&サスペンス。
2時間半を堪能す。原作の悪夢小路も読みたいな。
「明日 一九四五年八月八日・長崎」 井上光晴 集英社文庫
原爆投下の一日前の、長崎の日常。生々しい言葉により紡ぎ出された庶民群像。
長崎弁て、こんな響きだったのか。
物資が欠乏するなかでの祝言、逮捕された夫に接見する妻、いろんなひとたち。最後は難産の末に子供を産む女。
このひとたちに、明日はないんだ。しみじみ。
「わが性と生」 瀬戸内寂聴 瀬戸内晴美 新潮文庫
51歳が、わかれめか。瀬戸内寂聴(出家後) 瀬戸内晴美(出家前) 往復書簡だ。
瀬戸内晴美が好きなので期待したが、残念。「わが性」は、あまり出てこないんだもん。
どうやら晴美が好きなんじゃなくて、わたし晴美の描いた対象が好きなんだ。金子文子とか。
今回は、ヘンリー・ミラー、阿部サダなどなど。知らないひとの性交あれこれは、だからなんだってかんじ。
題名で売れたようだ。そして、軽いエッセイというところが。
お茶屋遊びは、理解に苦しむ。デビ夫人に対する礼賛も気持ち悪かった。
図書館が武器庫、ヴァージニア・ウルフなどなどの書籍の中に銃が仕舞われている。
予告編でみたけど、すごい発想。暗喩。
女たちの連帯が、すてき。8歳児が、しっかり仲間なのだよ。
男どもが悪。間抜けだったり、狡だったりあるけど...とにかく悪人。わかりやすくて笑ってしまう。
そう。他愛ないんだけど、たまには良いかな。
戦闘場面では、ジャニス・ジョプリン「ムーブ・オーバー」が流れてた。自宅パソコン音声壊れかけてて、しっかり確認できず無念。
古風な図書館にガトリング砲が炸裂したりする(爆笑)。女ともだち数人と、パジャマ姿で鑑賞したら盛りあがること必至。
なんだか日本で受けてないのが、悲しい。とくに、フェミニストに。
救援連絡センター発行「救援」紙、2面の連載コラムより
韓国のポルノネット爆砕! 告発小説「ハヨンガ」だぜ
朝日新聞の書評で金原ひとみ「怒りを力に変える 抗体のように」と表しているが、まさにそんなかんじ。
ポルノの制作も流通も違法な韓国で、十七年間なんの制裁もなく、想像しうるすべての性的暴力の投稿が百万人の流通ユーザーから供給されてきた流通網。最初の場面から衝撃的だ。
元恋人から逆恨みされた女は、飲み物に薬を仕組まれホテルに放置される。匿名ネットでの告知により、次々と強姦者が現れる。その映像が公開される。
記憶のなかった女は、事態を知らされて驚愕。肉親に罵られ、借金をして依頼した削除代行業者も役に立たない。警察もだめ。動画は拡散され続け、携帯番号まで流出し興味半分の男達からの罵倒電話。
彼女の親友もまた、盗撮被害、そして元彼からのストーカー行為を受けていた。
自分を振った女は制裁してやる。その発想はとても怖い。そういう奴に限って、もともと勝手な思い込みから始まってるんだよ。最低の男たち。女を恨み蔑む匿名ネットワーク。
実際の女たちの行動をもとにした、小説。警察なんて頼りにならない、だから女たちが自ら動く、反吐が出るようなサイトを監視しつづける。そして何十万人ものシスターフッド。議員にも働きかける。最後が、どきどき圧巻。
オンライン上での性暴力、性暴力表現を取り締まる法律が一切なく、「表現」として、また「男のお遊び」として長年放置されてきたソラネットが、構造的な性暴力であることを告発。オンライン上で闘った名も無く若い韓国の女たちの闘い、勝利の記録。
何故ドキュメンタリー小説か。ルポだと苦しくて、とても読めない。雑巾と呼ばれ蔑まれる女たち。わたしも読みながら辛かった。最後は勝利だとの思いを胸に、勇気に応えなくちゃと頁を進めたのだよ。
日本人として恥ずかしいこと。アジアで合法的にポルノ産業が成立しているのは日本だけ。盗写画像を警察に通報したら日本のAVだったことが何度もあったとのこと。
女のための出版社、アジュマブックスを作った北原みのりに拍手。性奴隷、中絶に関する本などなど。
そして本書の当事者たちが振り返る、勝利の連帯記録集「根のないフェミニズム フェミサイドに立ち向かったメガリアたち」も同じ値段で出ている。
「ハヨンガ ハーイ、おこづかいデートしない?」チョン・ミギョン著 アジュマブックス刊 1800円+税
「あちらにいる鬼」 井上荒野 朝日新聞出版
瀬戸内晴美の一途なとこが、好きだ。寂聴になってからは、おもしろくない。勲章なんか貰ったりして。
>作者の父井上光晴と、私の不倫が始まった時、作者は五歳だった。五歳の娘が将来小説家になることを信じて疑わなかった亡き父の魂は、この小説の誕生を誰よりも深い喜びを持って迎えたことだろう。作者の母も父に劣らない文学的才能の持主だった。作者の未来は、いっそうの輝きにみちている。百も千もおめでとう。――瀬戸内寂聴
この一部が帯に紹介されている。
井上、酒場の女を二回も妊娠中絶させたすえに自殺未遂させる。その病院に、妻が金一封を持っていく。なんだい、正妻って...そんなに偉いのか。ああ、気持ち悪い。
可哀そうな彼女は病気で死に、その後は妹と付きあう井上。げー。妻、パイプカットさせろよ。
嘘つきで狡くて、それだけで充分に最低野郎。純情なわしには、とてつもなく理解不能の世界。
妻は美人で料理上手。ロシア餃子やら、タンシチュー、なるほど旨そう。
なんせ長女が書いてるからなあ。事実は小説より奇なり。あ、これ小説か。
変名にしてるけど、ばればれ露骨。
映画になるんだってさ。30年前に観た「全身小説家」は全然わからなかったなあ。
春と修羅、じゃなかった修羅と義だってさ。
20日の日曜日に行こうかなあと。
「ストラングラー 死刑囚の推理」 佐藤青南 角川春樹事務所文庫
表紙の絵。丸いのは絞首刑の輪っからしい。
大道寺将司兄と、微妙ゴーンの、いいとこどりしたような死刑囚。
林眞須美姉の冤罪スパイスを振りかけたような人物設定。
気になるので読んだが、荒唐無稽すぎる。身体検査令状ってないでしょう。そのうえ、それで指紋とるかあ。次の頁では礼状になってたりして。
著者は中学生レベルか? 解決しないまま続編がでてる。うー。
本業は漫画家さんらしい。ま、死刑とか冤罪とか書いてくれてありがとう。
フライヤーにある「冤罪サスペンス」って、なんだか変。
べつに、サスペンスじゃないだろうが。ありがちな配給の誤読、否むしろ誤導句(ごとーく)?か。東京一館しかやってないくらいだから、とにかく上映してくれただけで感謝すべきなのかもしれないのだが。
白い牛の場面、印象的。そして牛乳工場。ミルクを煮立てたあとの展開。
死刑で夫を失ったシングルマザー、実は冤罪だったことが判明する。ろうあ者の娘は、発言できないイランの女たちの暗喩。男をアパートに入れただけで、未亡人はアパートを追い出される。
その彼女、マリヤム・モガッダムって監督&脚本。実際に父を死刑で失ったんだ。げーっ。
インテリ向けの映画。わしは暗い画面が続いたときに一瞬、意識が途絶えて字幕ひとこま抜けた。英語じゃないのって、ひたすら字幕を見るから超越に疲れる(言い訳)。
イスラムのヒジャーブ(スカーフ)を被った女の底力を見た思い。あっぱれ。
「小説スーパーマーケット」 安土敏 講談社文庫
佐高信の岩波新書「経済小説50冊」のなかにあったので、読む。
すっごくおもしろい。映画「スーパーの女」原作になるわけだ。
ディスカウントストアでなく、生鮮食品を活き活きと売ろう。不正、どうやって解決するか。なまなまし。
実際にサミットの社長してたひとが書いた小説。