カナリアな日々

百姓になって15年目。補習塾カナリア舎はフェードアウト中。小麦、蕎麦、大豆などを作っています。

人も荒れていた

2008-05-12 23:58:55 | 荒れた農地付き物件を買う?

近くの自動車屋さんで軽トラックの下見など(今後必要となるかも知れないから)。その後、神主さんのSさん宅へうかがって、大工さんを紹介して下さった御礼と報告を。



その後、物件の所属している集落の班長さんのところへ。
自分の名刺を渡し、その物件を購入しようとしている意志を告げ、集落のおつき合いや区費などのことを聞きに行った。



すでに前述の通り、付近の別の方にその辺りは聞いており、本当に聞きたいことは実は他にあった。



それは現在の所有者(であるお嫁さん)の、数年前に亡くなったという元御主人についてのことだった。



これをクリアしたら、両親にも見てもらい、購入へと進むつもりだった。




どうしても気になっていたこと。




この家は現在居住中であることはすでに述べた。
数度の内覧や調査などの過程で、現在の所有者は外から来たお嫁さんのNさん。



元御主人は数年前に亡くなり、その方とのお子さんが3人おられる。
上は大学生の娘さんで別居、息子さんは高校生、下の男の子はまだ小学生。



同居していた元御主人のお母さんも数年前に亡くなり、現在は今の御主人(電気工事業)と一緒になり、その方との小さいお子さんも二人おられる。



気になったのは、その奥さんの何か隠しているような態度であった。



家の中はいつでも引っ越せるようにしているのか、荷物だらけ。
内覧しに来ているというのに、家の中は汚れ放題。
家の外も、せっかくの畑も草刈り一つせず荒れ放題。




大きな家の割には窓が小さいのだが、常にカーテンを引き、電話もすぐには出ない。



一度僕らが内覧にうかがったとき、ちょうど新聞の集金の人が来たのだが、「ゴールデンウィークが終わってからまた来て」なんて言っているのが聞こえた。新聞代なんて口座振替が当たり前だし、たかだか2~3千円の支払いだろうになんかいやな感じだなと思った。




今の御主人は(この方は今日内縁だということもわかった)副業?でおもちゃのオークションの出品者をやっているとかで、そろそろエアコンの取り付けなどの仕事も忙しいだろうに、いつも家を出たり入ったりして、荷物の発送に追われていた。(評価も1000ポイントくらいはあるとか言っていた)



でも気さくな人で、一緒に裏山に登ったり、ずぼらな人ではあるけれど、悪い人ではないように感じていた。



お仏壇にはしかし、誰の写真も飾ってはいないし、亡くなった御主人の家を相続したにもかかわらず、別の男性と一緒に暮らしたり、このような素晴らしい家屋敷を捨ててしまうのもちょっと変だなと思っていた。




しかしそれだけならば購入する、しないの判断材料ではない。



おまけに近所付き合いは一切していないようなので、それを聞くにはご近所を回るしかなかった。




そして、今日・・・




ひとしきり、班長さんのおじさんに集落のおつき合いなどについて聞いたあと、そのことを聞いてみた。
(不動産屋さんにも以前一度ずばり聞いたのだが、心配するようなことはないです、とはっきりと言っていた)




そして、元御主人が畑の農機具小屋(現在は取り壊されて基礎部分のコンクリートだけになっている→これもなぜ、このずぼらな人たちがここだけきれいに取り壊したのかちょっと引っかかった)で不遇の死を遂げたことを教えられたのだった。




不動産屋も知らなかったようだ。授業のあと電話したらうろたえていた。(この人も正直の上に○カがつくような熱血漢)しかし調査不足は否めないけれど。




亡くなった元御主人や残されたお子さん達のことを思えば、お気の毒としか言いようがないが、さりとて僕らも、色々な思いや出来事があったであろうその家で、(農業だけでなく)塾もやり、残された人生を死ぬまで過ごすという覚悟はやはりできそうにない。




不動産屋には「凍結」ということとしたが、やはりこの話はキャンセルとなると思う。




時にひるみそうになる自分の退路を断つためもあって、ここに書きつづってきたが、固唾を飲んで?見守って下さった皆さんには、こういう結果となり、僕も大変残念だ。



しかし・・・残念と一言では言い表せないほどの想いもあるが、一方でこの二週間、自分はやるだけやって調査しつくしてこの日を迎えたのだという一種の満足感のようなものも感じるのが不思議である。




今までにない縁やタイミングの良さを感じざるを得なかった今回の物件、大きな流れの中で、次につながっていくような予感もしている。



しばらく呆然してしまうかも知れないが、多くの方の死を乗り越えて、僕の居場所探しはこれからも続いてゆく。

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