気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

きのうの朝日歌壇

2006-01-31 21:07:22 | 朝日歌壇
福引きの花の種三袋ポケットにしまいて急ぐ吹雪く家路を
(上越市 南雲悦子)

新学期始まりましたと子供たちの見守りたのむ広報車ゆく
(八王子市 田中一美)

古里の景色はスローモーションで過ぎる駅には昔の私
(東京都 柴田佳美)

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一首目。年末の福引きだろうか。当たった花の種をポケットに入れていると、花を咲かせる楽しみに吹雪いてもちょっといい気分になる。三袋のところが字余りなので、ここをみっつと読むようにルビをふったらどうだろう。
二首目。今は子供の通学の安全のため、地域で見守りがあるように広報車が走るのか。知らなかった。午後3~4時ころ小学校の近所を通ると、お迎えのクルマや母親らしき人がたむろしている。幼稚園の送り迎えはあったが、いまは小学生も。わが子がとりあえず大きくなったので、ほっとしている。しかし、おかしな人を見かけたとして、どう対処したらいいんだろう。しかも私はかなりおかしなオバサンである。
三首目。もうひとりの自分がどこかに居るという想像はよくする。昔の自分に会うという着想もよくわかる。スローモーションのカタカナの間延び感が面白い歌だと思った。

泣くよりも笑うて生きるひとすくひちさきあられを抹茶くず湯に
(近藤かすみ)