気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

冬の日 西村美佐子

2006-01-11 22:11:05 | つれづれ
ひとひらのはがきに向かふゆびさきのゆるき動きのなににためらふ

秋晴れとはこのやうな具合ですとおしつけがましき笑顔に空が

洗はむと日にいくたびも指先は蛇口の下(もと)に水待つかたち

(西村美佐子 冬の日 短歌人1月号)

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西村美佐子さんとは同年代で、何度か短歌人の会でお会いした。
物事に向かおうとするとき、なんとなく真直ぐ進めない感じがよくわかる。
二首目。明るい秋晴れを見たとき、素直に見ることができずに「いかにもな」秋晴れと思ってしまう感性。歌を作る感性は、物事を常識的に見て対応していく能力とずれていく。そのズレ具合が、歌の才能のある人の生きづらさなんだろうと思う。いや、それを作者は演じるのかもしれない。何はともあれ、読んで心が動いた。

情熱を持つてまわつて腰をふるブエナ・ビエスタ・ソシアルクラブ
(近藤かすみ)