気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

青色ダイオード 花山多佳子

2006-01-27 22:37:39 | つれづれ
植立てのパンジーを抜く楽しみを鴉はいかに鴉に伝ふ

付箋あまたつけし歌集をざはざはと箱に押し込む 不覚といふべし

高い声で唄ふ男の歌手ばかりフランク永井をわれは恋ふるも

二○○五年寒く暮れつついづこにも青色ダイオードの電飾ともる

黒豆を浸けたる水がむらさきになりゆく時間を一挙に零す

(花山多佳子 青色ダイオード 短歌2月号)

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一首目。上句で、え?と思わせるが、このいたずらをするのは鴉。その鴉たちは感情の伝達の方法を持っているのかという作者の疑問。実は植えたてのパンジーを抜かれたことを怒ってるのに、持ってまわった言い方で歌にしている。
二首目。最近の歌集で、箱つきと言えば、小池光「時のめぐりに」、資延英樹「抒情装置」。私は付箋をつけたのち、しまったと思って、本体と箱を重ねて積んでしまうのだ。
三首目。低音の魅力がフランク永井なら、高音は小田和正。小田和正が声を保つためにいかに努力しているかというドキュメンタリーを先日見たところ。
四首目。青色ダイオードの電飾は安くてすむと聞いたことがあるが、本当だろうか。暖かいか寒いのかわからず、不気味に思える電飾。
五首目。結句の一挙に零すが勢いがよい。視覚的にもわかる歌。

鬼瓦のごとき顔して恋ごころしつとり歌ふ菅原洋一
(近藤かすみ)