気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

魚玄記 若林のぶ歌集

2006-01-01 21:43:03 | つれづれ
「あたし馬鹿よね」「ああ馬鹿さ」人間の中に紛れつぱなし

赤ん坊の一人や二人育てられぬこともあるまい育ててふにやふにや

まだ生きてゐるのかと問ひく汁碗の蜆うつすら眼を開き

どこからが肉体なのだ秋の夜をしみじみ揉みぬ掌二枚

献体の登録終へぬ一八一○番(いちはちれ)首よりさつさと持ちゆきやがれ

(若林のぶ 魚玄記)

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短歌人誌「私は誰でしょう」の当選賞品として、若林のぶさんから歌集『魚玄記』が届く。
『葉山暮色』は持っているので、別の歌集をリクエスト、送っていただく。
以前から全国大会で何度かお目にかかっていて、お若いころの写真から、若林さんだとすぐにわかった。
従来の女性にありがちな身体感覚でなく、独特の潔さを感じる。若林さんは、人間より遠くの自然や生き物と対話ができるのだろう。細かく解釈したり想像するよりも、若林ワールドに浸かって楽しみたい。こういう風に年を重ねたいものである。