気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

牡蠣

2006-01-07 22:44:56 | おいしい歌
酢のなかに生きゐる牡蠣と疼むわが胃と脱出の機を狙ひあふ

(塚本邦雄 日本人霊歌)

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塚本邦雄のことをよくわかっていない。去年亡くなられてからますます評価が高まるようだが、奥が深くてわからない。
この歌、酢牡蠣を食べたあとどうも吐き気がする・・・ということを言葉を尽くして詠っている。三句目の「疼むわが」が句跨り。

『塚本邦雄の宇宙』を買いそこねていて、やはり買おうと思って三月書房へ向かう。いつもの路線のバスに乗っていてふと見ると、永田和宏が丸太町で下りようとしている。それとなく見ていると、角を曲がって鴨川の方へ歩いて行かれた。丸太町の東洋亭で、塚本邦雄の歌集出版記念会があったと、どこかで読んだ気がする。
三月書房のガラス戸棚に、ほかの本に隠れて、塚本邦雄の宇宙はあった。しかも、新装復刊ハムレット(千円)がおまけについてきた。すごく得をした気分になった。

遠き海のおもひで捨てよおほ粒の牡蠣を大根おろしに洗ふ
(近藤かすみ)