団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

三菱EKワゴンと山田浩二容疑者

2015年09月07日 | Weblog

 私は2002年に心臓バイパス手術を受けた。当時私は妻が医務官として赴任したチュニジアに住んでいた。私だけが日本へ帰国して手術を受けることになった。

 長野の病院に入院して手術を受けることになった。長男は結婚して家庭を持ち長女も東京に住んでいた。ちょうどその時、長女が前に勤めていた会社からリストラされて無職だった。長女は手術直前までいろいろ身の周りの世話をしてくれた。ある日、長女がラジオ番組の懸賞に応募したら軽自動車が当選したと言いだした。車は三菱の軽自動車でEKワゴンだった。車はもらえるが登録費用や税金などは自己負担になる。長女にそんな余裕はなかった。とりあえず私の名義で登録して軽自動車を妻の実家に置いてもらうことにした。

 私が手術を受ける2日前に妻が休暇をとってチュニジアから帰国した。私は同乗者が同行するならの条件付きで担当医師の許可を得てEKワゴンで成田空港まで迎えに行った。それが三菱EKワゴンを運転した最初だった。

 8月21日中学一年生の平田奈津美さん(13歳)の死体遺棄の疑いで山田浩二容疑者が逮捕された。山田容疑者が犯行に使った車が三菱のEKワゴンだと報道された。頻発する殺人事件の報道を受けてもその事件を現実的に受け止めることはまずない。ないと言うよりできない。今回はEKワゴンと知ると変に現実味がまとわりついた。運転感覚、車内の空間、シートの固さ、エンジンのパワー、ハンドルの握り具合と感触。

 軽自動車のEKワゴンで山田容疑者は信じられないほど広範囲に移動している。その行動力に違和感を持つ。働いていた福島から大阪までを往復、それだけでなく途中千葉のカツカレーの店へ寄ったり秋葉原で遊んだりしていたことがわかってきた。軽自動車の性能がいくら向上したからといえ、45歳の男性誰でもできることではない。

 山田容疑者は9月7日現在いまだに犯行に関して黙秘を続けている。長距離運転が平気、一旦逮捕されれば今度は完全黙秘、いったい山田容疑者の精神構造と身体能力はどうなっているのかといぶかる。

 軽自動車のEKワゴンが犯行に使われたことで私はこんな推察をした。殺された平田奈津美さんと星野凌斗さんがもし山田容疑者のEKワゴンに乗り込んだとしたら、それは山田容疑者が軽自動車に乗っていたことが彼らの防御心から「危険」の2文字を消し去ってしまったのではと考える。

 昨今地方選挙だけでなく国政選挙でも候補者は競って軽自動車を選挙カーとして使う。それは自分たち候補者があなたたち一般市民と同じ目線ですよという選挙用の欺きである。 

 平田さんも星野さんもごく普通の家庭の子供なのだろう。ベンツなどの高級車で接近されたら警戒も違和感も持ったであろう。軽自動車で45歳のオッちゃん、中学生二人の警戒心はゆるんだに違いない。

 犯人がそこまで計算して軽自動車を使っていたとしたら、恐ろしいことだ。犯罪者はずるがしこくなるばかりである。一般市民は犯罪者の先を行く防犯学習が必要である。事件が起こった後で「なぜ」「どうして」と嘆くより、今、自分の身を守る算段を。軽自動車≠善良な市民もそのひとつである。

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