コロナリーCTアンギオグラフィー(冠動脈CT血管造影)の検査を受けた。医学の進歩は日進月歩である。医療機器は、次から次へと新しい製品が出てくる。私は、カテーテル検査が大嫌いだ。ところが今通っている循環器内科に、ドイツのシーメンス社製の冠動脈CTが入った。
もう痛い思いも、入院も、不測の事態も恐れることはない。手首か鼠径部から動脈血管にカテーテルを入れる。いくら細いと言っても、その不快感は拭えない。異物が、自分の血管を伝って心臓まで達する。その感覚は、恐怖そのものである。しかし大きな変換が訪れた。
カテーテルを挿入しなくても、寝台に仰向けに寝そべり、短いトンネルのような筒状の機械に入るだけでよい。それで注射で造影剤を注入して、レントゲン撮影と同じ仕事をしてしまう。
写真は三次元で見られる。血管は2ミリまで写る。大変な進歩である。患者の精神的負担は軽減され、痛みもない。時間は、三十分で終わる。入院の必要もない。保険が適用されれば、三割負担で約二万円でできる。
自分の現在の心臓と冠動脈を見た。バイパス手術でつけられた内胸動脈が、見事に血液を通している。縫合部の狭窄もちゃんと拡がっている。クランク状に変形した内腿から取った血管も、元通りになり機能している。私の心臓そのものは丈夫で、何の問題もない。その心臓を維持するための血液の供給に問題があった。それも医学の進歩で解決された。
何枚かの写真を貰い。家に帰ってきた。書斎の椅子に座り、自分の心臓の冠動脈の写真をじっと見た。生きている。この手術のお陰で生きていられる。せいぜいこの命、大切にしたいものである。団塊世代の健康問題は大きく改善され続ける。ご同慶の至りである。(写真:CTで撮った私の心臓)
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