団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

あれはイケナイ、これもダメ

2008年02月27日 | Weblog
 糖尿病は発症したら完治することはない。自分の欲との闘いが続く。今から20年ほど前、糖尿病の教育入院という、糖尿病と発症後どう付き合っていけばよいのか教えてくれる入院をした。糖尿病になったと診断を受けた人は、まず何よりも最初にこの教育入院を受けることをお勧めする。

 その入院研修で40歳ぐらいの男性が最初の日の夜、すべてのプログラムを終えた後、「あれはイケネエー、これはダメ。ふざけるんじゃねえよ。やっていられるかってんだ。俺は喰いてえモノ喰って、飲みてえモノ飲んで死んでいく。あばよ」と荷物をまとめて病室から出て行った。

 それも生き方だと思う。糖尿病という爆弾を抱えて、それでも尚共生しながら生きるのも生き方だ。私は後者を選んだ。発症してすでに20年である。合併症で狭心症になり心臓バイパス手術を2001年に受けた。それでも今なおインシュリンの注射をすることなくきている。人工透析も受けていない。 運動療法と食事療法を実践している。一日の摂取カロリーは1800カロリーに制限している。

 主夫となり自分で調理する。妻は私と同じ食事を喜んで食べている。健康食のおかげで、丈夫な妻はさらにスリムで健康だ。同じ食事でなぜなのだろう。 私は根っからの食いしん坊だ。食べ物に好き嫌いがない。お呼ばれが大好きで、出る料理は、常に“完食”させていただいている。モッタイナイが口癖で、残すことを善しとしない。もっともっとの欲深人生まっしぐらで今日まできた。

 教育入院後、算数も数学もからきしダメだった私が、すばやくカロリー計算をするようになった。以前は足し算ばかりの食生活が、引き算中心に変わった。 たとえばお昼に大好物のカツ丼を食べるとする。カツ丼はだいたい770カロリーである。1800-770=1030となる。食後にあんみつを食べるとこれが250カロリー。コーヒーはミルクと砂糖を入れて40カロリー。1030-290=740 これで朝食と夕食をとるとすれば一食370カロリーずつ。食べられるものが無くなる。こんな風に計算している。

 それでも欲に惨敗し1日に3000カロリーを超える日もある。焼肉など食べてビールを飲めば、間違いなく5000カロリーを越す。だから外食は極力避け、家で野菜、コンニャク、海草、キノコ、さかな中心の献立を組む。今回の旅行中、ハワイのスーパーでしみじみ日本に暮らせることに感謝した。ハワイでは1800カロリーを一日の制限にはとてもできないと思った。それとあまりにも並んでいる商品に高カロリーなものが多い。新鮮な海産物がなく、牛肉、豚肉などの肉製品ばかりだった。おまけに日本よりずっと安い。 

 “命短し、食べろよ乙女!”そんな替え歌を歌いながら、今日もほうれん草のおひたしを作る。若かった頃の、あの暴食ともいえる無制限な食欲が、まるで前世の出来事のように思える。
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