団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

誤振り込みと善意の組み戻し

2020年10月16日 | Weblog

  散歩に良い季節になった。コロナ禍で家にずっといるので、閉塞感が溜まる。天井があり、四隅に壁。外の景色は、まだガラスを通した平面的なもの。散歩で外に出ると、違う世界が拡がっている。まず天井がない。無限の空間がある。晴れていれば、青い空。壁もない。自然が立体的に迫る。川、山、樹木、蜘蛛の巣、鳥、虫。落葉も目立ってきた。樹木の葉が緑から黄色や茶色などに変わり、そして地面に落ちる。落ちた葉が重なっている。車が通ったり、風が吹くとさわさわと音を立てて転がるように動く。

  先日の台風14号の影響で、このところの天気は変わりやすい。気温は上がったり下がったり。毎日、家を出るころを見計らって、雨にあわないよう散歩をしている。雨が降るか降らないかの読みが当たると、嬉しい。一昨日、いつものように散歩に出た。5分の4の行程を歩き終え、住んでいる集合住宅が目に入るところまで来た。雨がパラっと体に当たるようになった。走りたいのに、足がいうことをきかない。急いでいるが、実際の速度は同じ。できるだけ木々の下を歩く。雨足が強くなって、地面が濡れ始めた。あまり濡れることなく玄関にたどり着いた。何か得した気分で書斎に戻った。

  パソコンの裏にある固定電話の子機が鳴った。妻からだった。銀行から連絡があって、組み戻しで先日、間違って振り込んだお金が戻って口座に入金されたと教えてくれた。終活で私は自分の口座を閉じ、今は妻の口座だけしかない。散歩で雨にあわなかったことで、何かいいことあるかもの予感が当たった気がした。思わず天井に向かって手を合わせた。間違って振り込みを受けた方への謝罪と感謝。組み戻しのために尽力してくれた銀行と振込先のゆうちょ銀行。目を閉じて頭を下げた。やはり日本人には、立派な人が多い。私が犯した間違いは、オレオレ詐欺とは反対の迷惑行為である。頼まれもしないのに、自分の口座に、ある日突然知らない人から入金があれば、誰だって驚く。鼠小僧次郎吉ではあるまいし、いまどき金を振り込みでばらまく人がいるはずがない。ネコババしようと思えばできないことはない。善意で戻すことにしても、手間がかかる。気分だって害される。迷惑この上ない。

  私の経験を通して、間違って振り込みをしてしまう老人が多いことを知った。何もかもAIだITだとの変革で、画面上の指で操作することが多くなった。ATMの狭い空間に閉じ込められると、まるで催眠術にかかったような気分になる。恐怖心が冷静さを奪う。年齢を重ねるごとに、ATM恐怖症がつのる。

  今回の失敗:①口座番号を間違ってメモした②受取人がメモと違ったことに、老人の深い人生経験が勝手に想像力で判断してしまった③せっかちが歯止めをこえた。これからの対策。振り込みは銀行の窓口で係員の補助のもとで行う。ATMでの振り込みは、振り込みカードをあらかじめ作成してあるところだけにする。

  多くの方々に迷惑をかけた。もっともっと私は、気をつけて生きて行かなければいけない。妻が言った。「他人に迷惑かけないよう、二人で助け合って生きて行こう」 私たちは、Better Halfたらんと努力してきた。ますますこれから助け合っていかねば、更に他人に迷惑をかけてしまう。

 妻が勤めに出ている間、私はずっと一人になる。一人で散歩して、ロングブレスを続けながら、どうしたら他人に迷惑をかけないで、この世で行きていかれるか考える。散歩で自己啓発に努めたい。

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