団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

リコール

2018年10月31日 | Weblog

  高島屋から封書が届いた。何かの商品の案内だろうと一応封を開けてみた。気に入って使っているバルミューダのトースターのリコールに関してであった。バルミューダとデロンギは私のお気に入りの電化製品ブランドである。最近乗っているトヨタの乗用車のリコールがあり、部品の交換を受けたばかりである。手紙の指示通りに我が家のトースターの型番を調べてみる。K01A-KG。間違いない。リコール対象商品である。バルミューダ スチームオーブントースター BALMUDA The Toaster K01E-KG(ブラック)

 手紙の文章は続く。「無償製品交換プログラム」の文字に目が留まった。無償交換って新しいトースターにしてくれるってこと。価格は確か2万円以上したはず。もうすでに4年間使った製品だ。何の不具合も感じずに使っていた。ちまたでは最近の電化製品は5年でダメになると言われている。それに「この不具合による重大製品事故の発生は確認されておりません」とある。バルミューダ社思い切ったものだ。横で妻が言う。「何か事が起こってからやれ補償だ、訴訟で裁判だより、交換する費用なんて安いものよ」と嬉しそう。確かにそうかもしれない。しかし今回のバルミューダ社の判断はなかなかのもの。私は「バルミューダさん、やるではないか」とほくそ笑む。

 最近のデータ改ざんなどで日本企業の信用は失墜している。一社で改ざんやリコールが発覚すると次々に芋づる式に「実は我が社でも…」となる。企業文化というか企業気質というのかがどこもかしこも似かよっている。所轄官庁が規約や規定を必要以上に設定して、お上の権威を示そうとしているかにも見える。厳しい規定基準を施行しても、その後の査察は自分たちの天下りである何とか公益法人の何とか協会が取り仕切る。そんな協会のいい加減な査察を企業は、あの手この手で潜り抜けてきた。人間はずる賢い。法律や規則を守ろうとする人がいる反面、それらからどう逃れるかを考える。残念だが経営の上層部に昇り詰める人たちは、難関大学卒業した秀才が多く権力と企業業績を追及する。東日本大震災で福島の原子力発電所の事故の責任を裁判で問われている当時の東京電力の会長、フェロー、副社長の3人の態度言動こそ日本の企業トップのひな型である。お上がお上なら、企業も企業である。優秀な役人や企業人がこのていたらくで、日本が国際的競争で次々に牙城を崩されている現状が理解できる気がする。

 ネットで無償交換の手続きできるというので早速やってみた。すると即座に返信が届いた。「…尚、交換製品のお届けは、受付日から2~3週間程度を予定しております。ヤマト運輸が交換製品のお届けと同時に、今までお使いのバルミューダ製のトースターをお引き取りいたします。交換品の入った梱包箱を再利用して、ご愛用いただいておりました交換対象のトースター(型番K01Aシリーズ)をお引き取りいたします。引き取り時の詳しい方法は無償交換品のお渡し時に説明書を同封しております。今後ともバルミューダの製品をご愛用くださいますようお願い申し上げます。」 バルミューダの誠意を感じた。

 一旦リコールになると、企業も多額の費用と人手がかかる。購入者だって余計な心配をして、そのリコールための手続きで手間取る。こんなリコールをしないで済めばそれにこしたことはない。日本のモノづくり企業は、製品出荷まで職人気質の完全主義を貫いてほしい。


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