備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

地球の一部

2010-06-14 12:20:58 | Weblog
ヤキモノ作りの物理的作業の始まりは、「原土をどう扱うか?」という問いから始まる。

原土を精製して粘土を作るのだが、いかに石、砂と粘土を分けるかである。
基本的にその差は、粒子のサイズなので「それに応じた篩で通せばいいじゃん!」となるが、それは初歩。
場合によっては、手でひとつづつ石を選って摘み出すという作業をすることもある。

原土を触る時には、粘土の来し方に思いを馳せる。
大昔にマグマが地表近くで冷えて、火成岩になり、それが風化、流出、堆積を繰り返し粒子がどんどん細かくなって……、その堆積層を探して、掘り出して、水で柔らかくして、そして今。

地球の歴史の一部をダイレクトに触っている行為。

土は均質ではなく様々な金属を含んでいる。その組成を出来るだけ崩さずに成形し焼くと、自然が作った模様が生まれ出る。それらは、マーブル調だったり、モザイク状だったり……。同じものはない。唯一のものだ。



さて、昨日から今日へと日付が変わる前に、『探査機はやぶさ』が帰ってきた。
この日は、朝から気になってツイッターやHPをしょっちゅう確認。USTREAMのLIVEも見た。あまりに小生が騒ぐので、家族でその瞬間を見る。
機械に人格を求めるのは日本人の代表的な特質らしいけれど、感動した。

小生の世代は子供の頃から、科学技術と宇宙については、エンターテイメントでもリアルでも肌で感じてきた世代になる。
アニメでは、宇宙戦艦ヤマト、銀河鉄道999、キャプテンハーロック、地球へ、ガンダムと通過してきた。映画では、SW、未知との遭遇、ET、エイリアン、アビス、ブレードランナーなど。(スタートレック、2001年宇宙の旅、猿の惑星は間に合っていない)
物心つく直前が大阪万博なので、『月の石』は周囲からの情報。
スペースシャトルやボイジャー、かぐやは打ち上げの日のことを覚えている。(ボイジャーは今も航行中)
ロケット打ち上げ黎明期から運用へと変わっていく過渡期で、次々と発見が多くてワクワクしていた頃。


今回の『はやぶさ』には、かなり涙腺がやられた。
カプセル放出後に地上側スタッフが姿勢制御して「最後に地球を見させてあげる」追加ミッション、その画像が送信途中で途切れて余白になり(送信中に燃え始めていた!)、バラバラになっていく流れ星、先頭の小さな光だけが地上へ……と、立て続けに泣かせる情報が入ってくる。
もうPC前で身じろぎせず……。

消滅して数分後に、ツイッターで「ただいま。」と出たときには……。
完全に感情移入。……(TロT)!!

抱きしめたくても、もういない…。(書きながらも、また泣きそう)

3年帰還が遅れたからこそ、今のWeb環境に間に合った状況には感謝だなぁ。


こういうのは『事業仕分け』しちゃいけないと思うな~。
開発費の125億円だけ見たら、国民ひとりあたり100円!
この100円は、すごい100円じゃないか?
こんなにも夢も希望も与えてくれる100円って、そんなに無いよ!


放出したカプセルには46億年前の地球誕生の痕跡を明らかにするサンプルが入っているだろうか。

今、手元にある地球の一部に壮大なロマンを感じている。


みんな、GJ! そして、お疲れ様。
今後に期待。