拙宅の愚犬。
完全に寝ている。
日なた にもかかわらず……。
朝、近所の犬が、盛んに遠吠えしていて
それに呼応するように、ソワソワしていた。
ふっと気付くと、
綱が何かの拍子にはずれていたらしい。
ビッグチャンス!!大脱走。
嬉しかったのであろう。
かなり全力疾走していた。
しかし、田んぼや畑に入られては困るので、
大捕り物すること しばし。
とうとう、鹿進入防止の網が張ってある田んぼに入って
出口がなくなって御用。
久々に走ったので、疲れた……。 それは、犬とて同じ。
そこで、日なたにもかかわらず寝ている次第。
『 いい夢見ろよ 』とも思う。
近くに、犬を離してドッグランの出来る公園があるが
連れて行こうか……。
しかし、いざ帰るときに、今日みたいな事になると……
人が 犬に遊ばれるような気がする。
縁あって、窯焚き。
ちょこっと頼まれた窯焚き。
といっても 素焼きまでです。
高温の温度を測るためには、
『 熱電対、補償導線、温度指示器 』が必要です。
棒のような『 熱電対 』の先端を窯の中に入れます。
先端に合わさった2種類の金属(白金ロジウムと白金)があり
熱を直接 電圧に変換します。(かなりラフな説明やなぁ~)
それを『 補償導線 』というコードを通して
『 温度指示器 』で読み替えるという仕組み。
この中で何が高価って、やはり白金。プラチナ!
さて、写真の物体は、
最近見ることが少なくなったタイプの温度指示器。
『アナログ式のパイロメーター』です。
最近は当たり前のように デジタル表示が多くなりましたが、
一昔前は、このアナログな『 針 』で表示するタイプでした。
中に細いヒゲゼンマイのようなものが入っていて、
機械的に精密に作られています。
なかなか繊細なもので、水平にキチンと置かなければならず、
横倒しにしようものなら、大変に叱られる代物でした。
小生が弟子入りした頃は、既に アナログ式は少数派。
デジタルの温度指示器の部品だけを
使っている人がほとんどでした。
むき出しの表示部分の裏側にある端子に
「温度計の線」って呼ぶ補償導線を
無理やり ねじ込んでいました。
動かないように レンガを乗せておくというのも定番。
最近は、箱に入ったキレイな温度計が売られていますが、
部品むき出しに比べると、「えっ!?」という価格です。
デジタル式になって、燃料効率は良くなったし、
窯焚きを理論化して考える為には 便利かつ必需品。
でも窯焚き中に 時々、温度計を信用しないのが、
やきもの屋という人々の人間性でもあります。
今回は素焼きまで。
さほど精度を必要としないので、アナログ式で充分という訳。
なんとなく ロストルの形が見えてきました。
今から壁を立ち上げていって、壁に沿うようにロストルも上げていきます。
基本的に 壁とロストルは レンガ同士がかみ合わない構造。
いわゆる『 縁がきれている 』状態。建築として考えるなら、良くない作りである。
しかも 壁との接触面が縦方向に目地が揃うことになる芋目地(いもめじ)となる。
地震などで力が加わったときには、力が分散しないで スパッと伝達して倒壊する。
しかし ロストルの場合は、土の中なので、外側の土からの外圧で保つ作りになっている。小さい構造物で、土の中なので、まったく問題なし。
「 一番気楽に積める場所かも 」と考えながらレンガパズルを楽しむ。
それにしても、なぜレンガの目地が上下揃ってしまう事を芋目地と言うのだろうか?
この窯の場合は、土の中の目地だから『 芋 』でいいんですケド……
台風の余波。
結局、台風はそれたが空には、ちぎれ雲 や はぐれ雲。
抜けるような青空に、今にも降り出しそうな暗雲が……。自然の生み出すダイナミックなコントラスト。
非日常的な雄大な変化に見とれてしまった。
広い空に 流れる雲を見ていると自分の存在の ちっぽけな事を実感する。
空間的に 時間的に……、同時に存在の危うさという事も。
自然や天体を前に あまりにも人は小さい。
しかし、ただ唯一の存在であることも確か。
久しぶりに リヒャルト・シュトラウスの交響詩『 ツァラツストラはかく語りき 』を 聴きなおした。
『 2001年宇宙の旅 』で あまりにも有名になったが、もともとは、ニーチェの哲学を下敷きに、リヒャルト・シュトラウスが作曲したもの。
青春について、芸術について、……とつづく。
ちなみに、ツァラツストラとは、ドイツ語であり、日本語では、拝火教(ゾロアスター)の意。
やきもん屋との因縁が、ありや なきや……
各段の間。
溝のようになっているのは、ロストルといわれる部分。
この溝にレンガを渡して、格子状にする。なので、ロストルは、日本語では『 火格子 』
窯の横焚口は このロストルの上にくる様に作る。
焚口からのオキ(熾き)は ロストルに積もっていき、下からの空気によって燃やされる。
空気の取り入れ口は、壁の外側にしておいて、窯焚きのときに入っていく空気量を調整する。
「 オキの状態を、どのようにするか? 」ということが窯焚きでのポイントのひとつ。
温度。オキの量。燃やすスピード。残す量。煙……。空気中の酸素量のコントロール。還元雰囲気と酸化雰囲気のバランス。
それらがすべてかみ合って、必然の結果が生まれる。
窖窯(あながま)では、ロストルを作らない人が多い。
「 使わないから いらない 」という人。
「 古い窖窯にはロストルはない 」という人もいるだろう。
小生の考えでは、作っておいて、使うか否かは、別問題。
あくまでも意思を反映させる手段として選択肢を広げておけば良いと思う。
まぁ 確かにロストルを作るのって、レンガも要るし、面倒だったりするという事もあるケドね。
太陽がギラギラしています。
まずもって、雨の可能性なし。というわけで、細君念願の『 梅干し乾燥 』
庭が狭いときは、常に日のあたるスペースがなくて、『魚干しネット3段重ね』を 持ってウロウロしていた。
朝、ザルに広げて、夕刻。水分が蒸発して、梅干しの表面に 塩の結晶が光っている。
梅干しが終わると、今度は、一緒に漬けていた 赤紫蘇。その乾いた赤紫蘇を細かくして 『 ユカリ 』の出来上がり。
そして、漬け汁を分けて、ショウガ と ミョウガを入れる。しばらくすると中まで真っ赤な 『 紅ショウガ 』の出来上がり。ミョウガのほうは、ハジカミ代わり。箸休めに最高です。
旨く出来ているサイクル。
毎年の恒例行事。
細君の腕にかかっています。感謝。
床のレンガが貼り終わりました。
表面の見える面は、とりあえず新品レンガ。『あんこ』になっているのは中古レンガ。
これから、窯の中心線を決める。
窯の建屋の柱から ラインを割り出す。
それから窯の幅を決めていく。これで建屋のちょうどセンターに窯がくることになる。
大枠が決まったら 壁を立ち上げる。平面から立体へと移行していく過渡期。
これからが本番である。あくまでも 今までは基礎。
でも イメージが現実化していくのがウレシイ。
水脈にドンピシャリ。大雨が降ると滲み出すようだ。
『 透水管をつけるべきか』と迷ったが、やめた。
窯全体に水が回らないように 左右に抜いてしまう。ロストルと呼ばれる火格子の下に排水路を作る。
これで なおかつ水量が多ければ、そこから透水管をつけても良いだろう。
窯詰めの度にロストルに炭を入れて空焚きする人がいたが 同じ状況。これで土の中の水分が、どこまで飛ぶのかは不明。
しかし、気休めかもしれないが、その方が成績が良いのだろう。
窯焚きが始まってしまえば、人の手が及ばない窯の中。
安心感を持って挑めるのであれば、たとえ オマジナイでもその方が良い。
科学的ではない『想い』というものを
人は一笑に附すだろうか?
何故か ここのところ宴会つづき。
週末から ずーっと 連チャン。
いささかこの猛暑での二日酔いは ツライものがありますが……
近所のオッチャンの会。
父、来たる晩。
弟と婚約者、来たる晩。
弟子の後輩のご結婚祝賀会。
色々と呑んだなぁ~。しかし小生は やはり日本酒党。
おとうと弟子の嫁さんが 出身地の新潟から日本酒のお取り寄せ。新潟地酒の呑み比べの会になりました。やきもん屋の嫁さんの素質充分。末おそろ……じゃなくて 楽しみだ。八海山、鶴嶺、久保田、上善水如、高千代……。ごちそうさま。
小生は 備前に来る前まで 晩酌の習慣がなかった。
(……学生なので そりゃそうだろ)
しかし、備前に来てから 師匠方が軒並み日本酒好き。窯焚きやお手伝いで、あっちこっちに顔を出していた小生は、そこら中で しょっちゅう呑ませてもらった。焼物の勉強なんだか 酒の勉強だかと言うほど 目を啓かせて頂いた。
で、小生なりにデイリーな基準となるお酒を岐阜の『三千盛』に決めて、それと比較しながら覚えていくという方法で覚えていった。ひところは辛口と言われてた『三千盛』も、その頃の端麗辛口ブームでは まぁまぁ普通に入手できたので。
偶然にも 日本名門酒会の店があったのも幸いした。
かつては 東北の華やかな酒を愛飲していた。
出羽桜、刈穂、〆張鶴、一ノ蔵、十四代(有名になる前)……
最近は 味のしっかりしたものへ嗜好が移りつつある。
中でもお客さんから戴いた『奥播磨』は かなり良かった。純米大吟醸生原酒 (無濾過中汲み)は、骨太でゆっくりと変化していき日が経ってから呑んだ呑み残しは ひねないどころかキラメキのあるオブリガードがかかった重厚さが出ていた。
ゆっくりと変化していく味に合わせて、料理に脂を足したり、火を通したりと変えていくと面白いなぁ~とつくづく思う お酒だったな。
でも、ここ数年はチョット思うところがあって、日常の酒は一升瓶で2500円を越えないという基準を作った。
その中で、味と価格のコストパフォーマンス、呑み飽きない旨さ、料理を邪魔しない香りで言うと……『 炭屋彌兵衛 純米造り 』
何のかんのと言いながら、岡山の酒。でも これも最近人気が出てきて困っている。
写真は、かつての弟子仲間のサブちゃんからの戴き物。彼のブログで6666のキリ番ゲット記念。『マッコルリ』かと思うほどの、乳酸のプチプチ感と米の粒々感!
サブちゃん有難う!
脂のある魚との相性バッチシでした。 (*^ー')b
あぁ、二日酔いだと言うのに こんなに酒の話ばかり書いている。
窯場で 一汗かいて、発泡酒をのもっ!