備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

ドベ鉢3種

2015-09-10 10:57:09 | 陶芸


さて、先日、ドベ鉢の棚を改良をしたが、仕事としてのメインは棚そのものではない。肝心なのはドベ鉢である。
ドベ鉢は、粘土の水分を抜く為に使う鉢。

現在は紆余曲折で3種類を使用している。


【石膏鉢】
素材としては、総合的に石膏製が優秀である。全体がやんわりと偏りが少なく水分が抜けていく。これを使うのがヤキモノ屋の正統派か。ただし、劣化しやすいので扱いは優しく。
過日の強風での落下惨事でこれらが5つ破損した。痛手だ。この件で正統派ステイタスがやや遠のいたか……。いや、元から遠いな。
石膏型を作って自作すれば安く出来るが、それなりに時間が掛かる。また、次の機会にでも。まっ、いつか知らんけど。
『エエ子やけど気ぃ使わなアカン、ややこしい子』との縁が切れたと考えておこう。


【駄鉢】
独立当初から使っているのは、いわゆる駄鉢である。(過去記事にも再三登場してますが……)
利点は、丈夫かつお求め安い価格である。人によっては「初窯前の窯の空焚きで素焼きの鉢を作る」という方も居る。しかし、小生はしなかった。駄鉢が粘土代より安かったという理由。
これは丈夫であるが吸水性はあまり無い。ホームセンターで焼けの甘い(焼成温度が低い)ものをチョイスしたけれど大差はない。
しかし、一転、冬場のパフォーマンスは石膏鉢を超える。夜に凍って昼に溶ける事で劇的に水分が抜ける仕組み。冬の朝がそこそこ寒いという環境が必要であるけれど。
『見た目はまぁまぁ、丈夫一点張りの働き者な子』である。


【カゴ】
最近は冬場仕様の進化版としてプラスチック製の籠も使い出した。100円というやきもん屋のお財布に優しい。水分の抜けはベスト。かつスタッキングが良く軽い。何よりもドベ鉢以外にも使えるマルチさが良い。
問題は、風情としてヤキモノ屋のイメージっぽくない点である。そういう意味では『安くて便利なマルチな才能。但し、人目を憚る軽~い子』だな。


まぁ、そもそも冬場仕様のドベ鉢のポイントは鉢そのものではない。使っている布が大事。今は酒を搾る袋を使用している。
独立前に勤めていた窯元の株主が酒蔵会社オーナー方だったので、折を見て頂いていたものである。搾ることに特化した素材なので性能は抜群。

『分離した液体が必要なのは酒屋さん、残った酒粕が必要なのが奈良漬屋さん』という事。
その伝として、やきもん屋さんが転用である。
粘土から出てきた水を回収して再利用すれば大したものであるが、その仕組みを作るのは今のところ予定なし。


天気と粘土の堅さを常時確認する日々であります。





























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