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備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

燃焼室の側壁

2006-08-20 21:03:38 | 窯作り・窖窯について

窯の燃焼室の側壁部分。

『火袋(ヒブクロ)』といわれる部分で、燃料を燃やす場所(燃焼室)になります。
ここで燃料の割り木を燃やします。

施釉陶器では、釉薬に灰がつくと困るので、燃料を燃やす部屋(燃焼室)と窯詰めをする部屋(焼成室)は 分かれています。
前にある燃焼室(胴木の間とも)の熱が窯詰めされた次の部屋に入っていくという訳です。

備前焼では、『胴木の間』が大きくなり初戸(ウド)と呼ばれる部屋となりました。
燃焼と焼成の兼用の部屋(ウド)に窯詰めする為に、自然に灰がかかって釉薬化したり『ゴマ』と呼ばれる景色がつきます。

この窯の場合はドームに傾斜のあるトンネルの組み合わさった形で、部屋の仕切りはありません。

これから雪国のカマクラのようにドーム状に積み上げていきます。

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ローコストの代償

2006-08-15 00:15:01 | 窯作り・窖窯について

壁を立ち上げ始めました。

窖窯の形は、断面がカマボコのようなアーチ構造になります。
しかし、床からは しばらく垂直に壁を立ち上げます。そして、ある点からアーチ構造にします。

現在は、まだ垂直な壁を作っている段階。

長年かけて ローコストでレンガを集めたので、買ったその都度、大きさ、形がバラバラ。つまり、規格外、余りモノ、使い古しという一癖あるヤツラ。

ローコストの代償は、パズルという形でかえってきた。
持ち上げたり、歩いたり……、体の全身を使うパズル。


モルタルをつける前に 一度簡単に仮組みをして、収まりを確認してから積み上げる。

決して 面倒くさいとは思わないが、全体のレンガの在庫状況を見積もっておかないといけないので、見えないプレッシャーがある。それが大変。
中には、「 絶対に ここしか使えん 」という妙な形状のレンガもあるので……


使い残しがあっては元も子もないので、モッタイナイ精神とイチビリ根性で楽しんでいます。

 

 

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芋目地

2006-08-09 22:13:18 | 窯作り・窖窯について

なんとなく ロストルの形が見えてきました。


今から壁を立ち上げていって、壁に沿うようにロストルも上げていきます。

基本的に 壁とロストルは レンガ同士がかみ合わない構造。
いわゆる『 縁がきれている 』状態。建築として考えるなら、良くない作りである。
しかも 壁との接触面が縦方向に目地が揃うことになる芋目地(いもめじ)となる。
地震などで力が加わったときには、力が分散しないで スパッと伝達して倒壊する。

しかし ロストルの場合は、土の中なので、外側の土からの外圧で保つ作りになっている。小さい構造物で、土の中なので、まったく問題なし。


「 一番気楽に積める場所かも 」と考えながらレンガパズルを楽しむ。


それにしても、なぜレンガの目地が上下揃ってしまう事を芋目地と言うのだろうか?

この窯の場合は、土の中の目地だから『 芋 』でいいんですケド……

 

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作るべきか 作らざるべきか

2006-08-07 14:43:22 | 窯作り・窖窯について

各段の間。

溝のようになっているのは、ロストルといわれる部分。
この溝にレンガを渡して、格子状にする。なので、ロストルは、日本語では『 火格子 』

窯の横焚口は このロストルの上にくる様に作る。

焚口からのオキ(熾き)は ロストルに積もっていき、下からの空気によって燃やされる。

空気の取り入れ口は、壁の外側にしておいて、窯焚きのときに入っていく空気量を調整する。


「 オキの状態を、どのようにするか? 」ということが窯焚きでのポイントのひとつ。

温度。オキの量。燃やすスピード。残す量。煙……。空気中の酸素量のコントロール。還元雰囲気と酸化雰囲気のバランス。
それらがすべてかみ合って、必然の結果が生まれる。


窖窯(あながま)では、ロストルを作らない人が多い。
「 使わないから いらない 」という人。
「 古い窖窯にはロストルはない 」という人もいるだろう。

小生の考えでは、作っておいて、使うか否かは、別問題。
あくまでも意思を反映させる手段として選択肢を広げておけば良いと思う。


まぁ 確かにロストルを作るのって、レンガも要るし、面倒だったりするという事もあるケドね。

 

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基礎終了

2006-08-05 22:02:51 | 窯作り・窖窯について

床のレンガが貼り終わりました。
表面の見える面は、とりあえず新品レンガ。『あんこ』になっているのは中古レンガ。

これから、窯の中心線を決める。

窯の建屋の柱から ラインを割り出す。
それから窯の幅を決めていく。これで建屋のちょうどセンターに窯がくることになる。

大枠が決まったら 壁を立ち上げる。平面から立体へと移行していく過渡期。
これからが本番である。あくまでも 今までは基礎。

でも イメージが現実化していくのがウレシイ。

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水脈的中!

2006-08-02 08:33:30 | 窯作り・窖窯について
懸念していたが、やはり水が出た。
水脈にドンピシャリ。大雨が降ると滲み出すようだ。


『 透水管をつけるべきか』と迷ったが、やめた。

窯全体に水が回らないように 左右に抜いてしまう。ロストルと呼ばれる火格子の下に排水路を作る。

これで なおかつ水量が多ければ、そこから透水管をつけても良いだろう。



窯詰めの度にロストルに炭を入れて空焚きする人がいたが 同じ状況。これで土の中の水分が、どこまで飛ぶのかは不明。

しかし、気休めかもしれないが、その方が成績が良いのだろう。

窯焚きが始まってしまえば、人の手が及ばない窯の中。
安心感を持って挑めるのであれば、たとえ オマジナイでもその方が良い。

科学的ではない『想い』というものを
人は一笑に附すだろうか?
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レンガ運びの脳内作業

2006-07-27 22:46:08 | 窯作り・窖窯について

新品レンガ搬入。

廻送料をケチって備前に行く用事がある度に 自前でお運び。

運良くトラックが借りれた。レンガ工場では、フォークリフトで積んでもらえるが、降ろすときは バラバラにして手で降ろす。

1パレットが レンガ320丁。
これを手で降ろすと 片手に1個づつ持つので、160回エッチラオッチラすることになる。で、30分ほどかかって終了。

ゆっくり休まず、一定のリズムで動くが、単純作業なので、ついつい いろんな事を考えながらする。


レンガとかけて、詩人ととく。
その心は……『 し~かく 』 ばっかし とか

レンガとかけて、敏腕刑事ととく。
その心は……『つみ あげる』 とか

レンガとかけて、うどん屋のメニューととく
その心は……『かけ やすい』 とか



あまり いい発想がないなぁ~と思っていたら終了。

同じ時間を過ごすのでも、気の持ちようで 長さの感じ方は変わるもの。


「 次こそは、いいネタを考えたい! 」

…… って、目標が変わってないか?それ。

 

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強敵の粘土層

2006-07-18 19:45:12 | 窯作り・窖窯について

ガッチガチの粘土と小石交じりの層が出てきた。

ハッキリと地層が見えている。ツルハシでガツンとやっても 当たった所が少し削れるだけ。削ると角が立つほどの堅さ。

粘土と言っても あまり粘らないバサバサのガチガチ。見るからに鉄分の多そうな土。2、3日放置すると全部が茶色になるだろう。青と茶色の斑(まだら)になっている。この手の山土は掘ったときは魅力的だが、焼くと鉄が溶けて噴き出してドロドロになる。でも、チョット区別して採取。

『とりあえず焼いてみたいのが、やきもん屋の欲掻き』


以前、この土地の所有者が、「雨が降るとグチュグチュになって水が溜まる」と言っていたが、この粘土層の仕業だろう。



この長雨での経過観察をする。今、見えている粘土層から水が出てくるようなら窯の中は水びたしだな~。




以前、知り合いが作った登窯は、完成したあと、窯床から水が湧いた。
レンガの目地の間から2センチくらいの噴水。冗談のように、初戸(ウド=最初の部屋)の ど真ん中で。


窖窯(あながま)は水分がチョットある方が良いが、登窯では……。

あとからの排水工事が大変だった。それでも上手くいかず、窯焚き前に いつも空焚きをして窯の中の水分を飛ばしている。

窯焚きが最高温度になると窯の周りから水蒸気が立ち上がる様は壮観。冬場は尚更のこと。

この窯ではどうなるだろうか。

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ケーキ作りに、憧れをこめて……

2006-07-15 08:16:05 | 窯作り・窖窯について

今回の窯作りで、初めてのモルタル。

耐火モルタルというモノがあって、それを目地にして レンガを積んでいく。

クリーミーなモルタルを、トロッ~~とレンガにのせて、鏝(コテ)でス~ッと伸ばす。
パティシエの皆さんは、上手だろうなぁ~。


前回は、レンガの四方にモルタルをのせて、真ん中は空けていた。この状態で、レンガを積む。

上からコンコンとたたくと、真ん中の空気が押し出されて、真空状態に近くなって、ピタッと張り付く。大変積みやすいし、モルタルの節約と思っていた。


がっ、

全面にモルタルを付ける方が強度が強いと言う話。事実、レンガ工場の窯も そのような目地だった。そこで今回は、レンガ自体のヒネリやネジレを吸収するために『全面のせ』でいく。

上手になったら、今は近づけない細君のケーキ作りのお手伝いを許されるだろうか……

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ありがたき キャスター

2006-07-13 00:13:21 | 窯作り・窖窯について

正面焚口の燃焼室にあたる場所。

結局、床下の透水管は入れなかった。
斜面を造成してから 約半年の観察結果に加えて実際に掘り返して見た結果の結論。

「 水分は ちょうど ええ具合や 」 という『 賭け 』。 

下からの過剰な水分はなさそうだが、床の安定と水平の為にキャスターを打つ。


キャスターとは、大変便利なモノで、セメントの様に ( というかアルミナ入りの耐火セメントですが )水で練って流し込んだり、コテで塗ったり出来る。

このキャスターを焼くと、そのままレンガのようになります。このように床に広げておけば、一枚モノのレンガが出来上がりです。燃焼室のこの場所では、浸水防止と床全体の安定が図れます。

注意点としては、摩擦と衝撃に弱いこと。
それと今ひとつは、大変に お値段が張るので「気安く使えないよ」ということか…


今回のキャスターは ある作家さんの口利きでの頂戴モノです。

皆様方のお陰で今日もやっております。  深謝。

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