ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

むごんかん

2021-01-13 23:52:14 | 日記
                     むごんかん


                  アンテナは
                  さびて
                  古くなって
                  今にも折れそうだ

                  受信する
                  あちこちに
                  乱れ飛ぶ信号

                  今は
                  アンテナを
                  折りたたんで
                  メンテナンスをする

                  小さなさびを
                  削り落し

                  ぴりぴりと
                  感度が
                  とてもいいときには
                  あちこちに飛び回る
                  拾わなくていい信号まで
                  拾い上げ
                  ぴりぴりと
                  混線
                  乱れ飛ぶ

                     もう落ちつきましたか
                     さび止めを塗り
                     よく磨いて
                     受信する
                     信号を
                     よく見分けることが
                     できるようになりましたか

                     はい
                     でも
                     そんなふうになりますと
                     おもしろくないです
                     ちっとも
                     わくわくと
                     飛び回る天使も見えやしない
                     奥歯で
                     噛み砕いて
                     飲み込んじゃって
                     消化
          
                  外では消化も
                  火事の消火もできず
                  江戸の大火事
                  火消しがいないから
                  ぼーぼー、めらめら
                  恐ろしい大火事だ
          
                  熱いよ
                  熱いよ

                  75年前の
                  あの恐ろしさのような

                  言葉も燃えてしまって
                  むごん
                  無責任の結果
                  そんたくの結果

                  むごい死