ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

ご挨拶

2019-05-13 18:54:50 | 日記
                 ご挨拶



               白百合が
               湿った風に
               ゆっくりと揺れて
               

               路地から
               奥にある原っぱへ
               

               雨雲を引き連れ


               うりずんの季節は
               春の終わり
               夏の始まり


               ばりばり
               むさぼった親のすねは
               細く
               骨粗しょう症気味であると
               気がつく頃には
               うっとうしい梅雨の
               だらだら雨の中


               梅雨明けの日々と
               夏は
               ぎらぎらと焼け付く
               太陽の中
               走り回り
               周りなんか見えやしない


               親のありがたさを
               知る秋には
               もういない
               枯れススキの茶色


               冬の
               木枯らしの吹く夜に
               知るはずもない
               親のまた親の親の
               はるか遠くの
               星空の向こうに
               祈っている


               いのちあることの感謝を
               さよならはさよならではなくて
               また会うまでのご挨拶