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ホワイノットレーベルのテッド・カーソン

2015-05-17 | JAZZ
「WHYNOT」レーベル第2期のシリーズから、続いてはベテランのテッドカーソンを、
過去にセシル・テイラー、チャールズ・ミンガス、エリック・ドルフィーらとのセッション経験もある進歩的トランペッターで、将来を有望視された人でしたが、64年に渡欧してからはあまりパッとしなくなっていました。
このアルバムのプロデューサーである悠さんのコメントによると、そのカーソンがヨーロッパ生活を経て米国に戻ってきた後、76年のニューポート・ジャズ祭の出演機会を捉えて、彼のリーダー・アルバムを作ることを決意し、ワン・ホーンで、しかもベース奏者にセシル・マクビーを起用することを条件として本人と交渉した結果、このアルバムが出来上がったのだそうです。

これが発売された当時、
久し振りにテッド・カーソンの新譜が聴けるということで話題となった1枚ですが、聴き込むほどに味わいが増す好アルバムでもあります。
「BLUE PICCOLO」 トリオレコード PA-7153
  
1. ALL THE THINGS YOU ARE
2. BLUE PICCOLO
3. PLAYHOUCE MARCH
4. SONG OF THE LONELY
5. DWACKDI MUN FUDALICK(Open The Door)
TED CURSON(tp, flh, pocket tp) JIM McNEELY(p) ECIL McBEE(b) STEVE McCALL(ds)
録音 1976年7月1日 ヴァンガード・スタジオ N.Y.C.

テッド・カーソンはクリフォード・ブラウンを尊敬していたので、一聴するとクリフォード・ブラウンのフレーズに似たところも聞こえてきます。
全5曲において、トランペットの他に、2曲目でポケット・トランペットを、また4曲目でフリューゲル・ホーンを吹いています。
ポケット・トランペットの演奏を聴くのは、このアルバムが初めてですが、4本のバルブがあり、通常のトランペットより上下1オクターブ広域の音を出すことができるのだそうです。
そして、2曲目の「ブルー・ピッコロ」で披露されているその音は・・・、
一般的にトランペットと言われるB♭管の音を潰したような鈍い音がします。
この曲のもう一つの聴き所は、悠さんがあえて指名したセシル・マクビーのピチカットとボーイングのソロであり、深い音のベース音を好録音でたっぷり聴くことができます。
このセッションでは、スタンダード曲が2曲録音されているのですが、本アルバムでは「オール・ザ・シングス・ユー・アー」が収録されていて、カーソンは歌心豊かな演奏を披露しています。

もう一つのスタンダードはセロニアス・モンクの「ラウンド・ミッドナイト」で、こちらは当時3枚購入するともらえたボーナス盤に収録されています。
4曲入りのレコードのトップに配置されていることからしても、このシリーズにおけるテッド・カーソンの位置づけが良く分かります。
そこで、2つのスタンダード曲を比較してみましたが、冒頭に収録されているほうが出来は良く、納得の内容でした。
「WHYNOT SPECIAL」 トリオレコード TD-24
  
*ROUND MIDNIGHT
TED CURSON(tp, flh, pocket tp) JIM McNEELY(p) CECIL McBEE(b) STEVE McCALL(ds)

このアルバム、2000年には更に+3となり、全8曲としてCDで発売されています。
「TED CURSON / BLUE PICCOLO +3」 ブライエイト・レコード P.J.L MTCJ 2011
 
「+3」の追加曲
1. TED TEMPO
2. ROUND MIDNIGHT
3. GARY G
このCDで初出となった「テッド・テンポ」と「ゲイリー・G」、
いずれもアップ・テンポの曲で、ピアニストのジム・マクニーリィも熱演していますが、全体のバランスから考えて、収録時間に制限があるLPでは除外されたのだと思います。


前回のチャールス・サリバンと、ここでのテッド・カーソン、
2人のトランペッターは、夫々個性的でいい味を持っており優劣付けがたいですが、バックを務めるリズム陣はテッド・カーソン・グループのほうが新しい感覚を持っているように聞こえます。

今は無き「TRIO RECORDS」、そして本職は評論家ですが、全アルバムのプロデュースを担当した悠雅彦氏、
このシリーズのセールスは決して芳しくなかったと思われますが、こうして記録として残してくれたことに意義があります。
そして、それぞれ「感謝!」のアルバムです。

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