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私の愛聴盤(第22回)

2013-09-13 | 私の愛聴盤
第22回はソニー・クリスの「ジス・イズ・クリス」です。

ソニー・クリス(SONNY CRISS) 本名 WILLIAM CRIS (1927年10月23日 – 1977年11月19日)
この人もテネシー州メンフィス生まれです。
1940年代に登場したアルト・サックス奏者で、77年に亡くなるまで常に歌心溢れるプレイで、聴く人を魅了しました。
15歳でロサンジェルスに移り、高校時代にプロ活動を開始しています。
アルト・サックスがゆえに「チャーリー・パーカー派」と呼ばれましたが、そのスタイルは生涯全く変わることなく、アルトサックス1本で勝負した名手でした。
しかし、余りにもパーカーに似ていたことから「The Next Bird」と呼ばれたこともあり、パーカーという大きな存在があったため、ソニー・クリスへの注目度には限界がありました。
1949年に初めてリーダー・アルバムを録音しますが、次の吹き込みは56年までなく、その後の3年間で4枚のリーダー・アルバムがマイナー・レーベルに残されています。 
彼のアルバムはこの4枚で十分と言う人もいますが、今回取り上げたプレステッジや、晩年のザナドゥにもお勧め盤があります。

当時、西海岸ではスタジオの仕事はありましたが、アルト・サックス1本で勝負するタイプのクリスには向かず、61年には突然パリに渡ってしまいます。
下はパリに滞在中のレコーデイング・アルバムです。


そして、63年に再びアメリカに戻りますが、相変わらず彼を受け入れる状況は整っておらず、仕事も殆どなく、60年代後半にはノイローゼのため演奏を休止しています。
こうした不遇下にあったクリスに日が当たったのは、ドン・シュリッテンのプロデュースによりプレスティッジに吹き込みを行うようになってからで、66年から69年までの3年間で、7枚のアルバムを精力的に吹き込んでいます。
その後は、持ち前の真面目で多感な性格から社会に順応出来ず、病気やノーローゼに悩まされることとなり、初の日本公演を直前にして、ピストル自殺してしまいました。

今回の愛聴盤はプレスティッジにおける最初のレコーディングで、バックを務めるリズム隊もベテラン勢です。
そして取り上げられている曲目も、2曲のブルースを除くと他はスタンダード、映画主題歌などで、いずれも馴染みの曲ばかりです。

「THIS IS CRIS」 PRESTIGE PR 7511
  
1. BLACK COFFEE
2. DAYS OF WINE AND ROSES (酒とバラの日々)
3. WHEN SUNNY GETS BLUE
4. GREASY
5. SUNRISE, SUNSET (屋根の上のヴァイオリン弾き)
6. STEVE’S BLUES
7. SKYLARK
SONNY CRISS(as) WALTER DAVIS(p) PAUL CHAMBERS(b) ALAN DAWSON(ds)
録音 1966年10月21日

オープニングの曲は「ブラック・コーヒー」で、深夜のムードが漂うバラードですが、決してインスタント・コーヒーではなく、本物の苦いコーヒーの味がする名演です。
原曲の持っている雰囲気そのままのブルージーなフレージングが最高で、ピアノのウォルター・デイビスのシングル・トーンも冴えています。
以前紹介したペギー・リーの唄と完全に勝負できます。但しこちらはインストですが…
そして次のアップ・テンポの曲では、クリスの本領が発揮され、演歌でいう「こぶし」のような独特の節回しで、一聴すれば直ぐにクリスであることが分かります。
3曲目は多くのジャズメンが好んで演奏するバラードです。
LP裏面の解説書ではアイラ・ギドラーが、「歌詞を覚えるまでバラードは演奏しないこととしている。これはコード進行と同じくらい私にとって重要なことなんだ」とクリスの発言を紹介しています。
以下、いずれも聴きどころ満載の優れたアルバムで、明るい音色と時折見せる暗い陰影が「タマラン坂」です。
ちなみに録音エンジニアはRVGで、収録されている「音」にも注目です。
上記のレーベル「SIDE 1」の右下に「VANGELDER」の刻印があり、正真正銘のヴァンゲルダー・サウンドを聴くことができます。

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