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ダイレクト・カッティングのレコード (その1)

2013-05-08 | JAZZ
「ダイレクト・カッティング」 今となってはちょっと懐かしい響きです。

レコードが初めて世の中に登場した時代は、奏者の演奏したものを直接ディスクに収録する、いわゆる「ダイレクト・カッテシング」方式を採用していましたが、テープレコーダーの出現により、一旦磁気テープに録音してからディスク・カッティングを行うことで、その後の編集に色々なテクニックを加味することも可能となりました。
しかし、この過程を経ることによって、テープレコーダーに起因する音の濁りを避けることができないため、1970年代にはテープレコーダーを通さず、マイクロフォンから直接ディスクにカッテングする方法で、レコードが制作されることが流行った時代がありました。
この方式を使って国内盤初のジャズ・レコードが制作されたのは、イースト・ウインドレーベルの「ザ・スリー」と言われています。

このダイレクト・カッティング・レコードの存在は以前から知っていましたし、当時はレコードも持っていましたが、処分してしまってそれきりとなっていました。
ところが最近、山口克己さんの「LPレコードに潜む謎」という本を読む機会があり、その中の 《「THE THREE」を聴く》 という記事に触れ、再びこのレコードを聴いてみたくなりました。
 

その一部を紹介します。(左側からご覧ください)


上記の様に、たった1枚のレコードですが、テイク1とテイク2があり、同じ曲順で2回録音されたことになっていて、その中でもテイク1は、いろいろな方式で録音されています。
ここでその内容を改めて記載してみると、

1. ダイレクト・カッティング テイク1
2. ダイレクト・カッティング テイク2
3. テイク1を同時録音で収録した2トラック倍速(76㎝)のテープからカッティングされた45回転盤
4. テイク1を同時録音で収録した2トラック倍速(76㎝)のテープからカッティングされたレギュラー33回転盤
5. テイク1を同時録音で収録した2トラック倍速(76㎝)のテープからリ・カッティングされたレギュラー33回転盤
6. 米国インナーシティ(IC-0007)レーベルで、同テープをダビングしたものから制作された米国盤

ということで、テイク1は5種類のレコードが発売されていますが、改めて私が手に入れたものは、上記2番目のテイク2でした。

「THE THREE」  日本フォノグラム EW-1001
  
1. YEARNIN’ (5:08 / 4:18)
2. ON GREEN DOLPHIN STREET (5:19 / 4:19)
3. SATIN DOLL (5:43 / 5:20)
4. MANHA DE CARNAVAL (カーニバルの朝~黒いオルフェ ) (6:02 / 6:04)
5. ROUND ABOUT MIDNIGHT (4:37 / 4:34)
6. FUNKY BLUES (5:13 / 4:52)
JOE SAMPLE(p) RAY BROWN(b) SHELLY MANNE(ds)  
録音 1975年11月28日 LA ワーナー・ブラザース・スタジオ

このザ・スリーは、レギュラー・グループではないのですが、いずれもビック・アーティストであることから、このタイトルがついています。
ピアニストのジョー・サンプルはジャズ・クルセイダーズ(後のクルセイダーズ)の一員としても有名です。
制作にあたってはオリバー・ネルソンも協力しているのですが、このレコーディングの1ヶ月前に急死しているため、そのネルソンの霊に捧げて、最初に彼の曲を演奏しているのだそうです。

このレコードは片面15~16分の演奏で、曲目の後にある数字は最初がテイク1、後がテイク2の演奏時間です。
私は6種類のアルバムを聴き比べた訳ではないので、各々の比較はできませんが、2番目のテイク2を聴く限りでは、余りに整然とした演奏で、ジャズ本来のハプニングに欠けるような気がしました。
演奏面から見た場合は、一発勝負であるダイレクト・カッティングの限界なのかもしれませんが、「音」を聴くということに限って言えば、それなりの楽しみ方はあると思います。

なおこの6種類については、著者の詳細な説明がありますので、左から続きをご覧ください。


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