しかし、ロシア人を一個人としてみた場合、それは、また、とても人間的な人のはずです。
そういう魅力的なロシア人の代表として私が考える人が、2007年の10月第一週にNHKハイビジョンで放映された数学の天才、ペレリマン博士を中心にすえた、数学の難問を解く話でした。素晴しい番組だったと思いますが、私は残念ながら、番組タイトルを覚えておりません。
今、このブログを書くに当たって、グーグルの検索を調べたら、もう独りニフティのブログを持っている方が詳細に書いておられました。
だけど、私はその番組を見た直後の感想を、私なりに述べさせてくださいませ。
数学の世界で、最高の栄誉(ノーベル賞に匹敵するもの)にフィールズ賞と言うのがあるのですが、それを、『ポアンカレ予想を解決した、天才として、受賞することになった』のに、拒否したとして有名な存在が、ペレリマン博士なのです。
ですから、その番組はペレリマン博士が主役なのですが、しかし、一種のミステリーとして構成をされております。それは、どうしてかというと、ペレリマン博士は、30歳ごろから、激しい引きこもりをして、いて、それに対する、(精神的な問題に関しての)遠慮がNHK側にあるからでしょう。
でもね、私はペレリマン博士の存在に対して、最高の芸術家と、同じ集中力を感じて、決して異常なこととも思わないのです。芸術家の生活とは純粋であればあるほど、厳しく苦しいものです。まず、お金など見返りとして期待してはいけない。だけど、大勢の人がそこへ、入り込んでしまうのは、創作することが、ある種の人々にとっては、最高の快楽であるからです。脳内麻薬のアドレナリンが相当出るのだそうです。つまり、おいしいものを食べたり、美しいものを見たり、セックスの喜びを感じるよりも激しい、アドレナリン量が出る。
だから、画家でも天才といわれる人々は、発表の方面は諦めるというか、顧慮をしないでただただ、創作の側面のみを追及します。ゴッホしかり、田中一村しかりです。
発表をして、有名になろうとしたりするとわずらわしい事が一杯起こります。そこに不純なものが入り込みます。
だけど、生活というものがかかっているために、難しいのですが、ペレリマン博士は完璧なひきこもりで、貧しいアパートに住み、誰にも遭わないのだそうです。私が推測するに、母親からの遺産か、又はご自分が、30歳までに働いたお金で、りんごを買うぐらいのお金の消費ですごしているのでしょう。
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ポアンカレ予想と言うのは、数学の世界では、未解決問題と呼ばれているそうですが、一般人の私としては、最高の難問であると、おつたえをさせてください。
頭にイメージを浮かべるとすれば、宇宙に向かって高速で、ロープをまっすぐ発射したとして、もし、宇宙が丸いなら、そのロープはどこにも引っかからないで、地球に帰ってくるはずだ・・・・・それを、数学的に証明せよと言うのです。
そして、そのペレリマン博士の証明が生まれるまで、何人もの天才数学者が人生を狂わされたりしながら、その難問の周辺まで近づいたのでした。だけど、誰も解けなかった。それなのに、インターネットの世界で、その証明が登場したのだそうです。
数学者たちは、『例の冗談の一つだろう』と、数ヶ月間、相手にもしなかったそうですが、
だんだん、その証明が正しいと思われ始め、それで、その発表者に向かって、プリンストン大学の何々教室で、何月何日に発表会を用意するので、そこに登場して、正式な発表をせよと、呼びかけます。
大教室、階段教室ですが、私が本当に驚いたのは、その可動型、黒板の大きさです。九面あるのですが、もう、神殿かと思うほどの、高さで、それを、滑らせ、次々に公式を書いていって、ペレリマン博士は、そのポアンカレ予想を解いていったのです。
しかし、会場にいる大勢の数学者はただ、唖然とするばかりで、ペレリマン博士についていけなかったそうです。と言うのも、普通ならこの難問を解くルートになるはずの、トポロジイ(空間幾何学)ではなく、物理や微分積分の分野を使って、ペレリマン博士がその難問を解いたからでした。
ペレリマン博士と言うのは言うに、言われないすごい人でした。もし、再放送があったら、皆様にもごらんを頂きたいと存じます。
2007年10月8日 AOLのメルマガで初稿として書く、
推敲して、グーブログに、09-1-14に載せる。 川崎千恵子(筆名 雨宮 舜)