AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

4687:イギリス組曲

2019年01月12日 | ノンジャンル
 Spendor SP-1/2で聴くローラ・ボベスコの印象は、「渋い・・・」というものであった。発色は決して鮮やかなものではなく、少し暗く感じる。

 しかし、その色合いがなんだか妙に安心感をもたらす。決した浮ついた感じがしない。しっかりと地に足が着いている。

 帯域を欲張ったり、必要以上に解像度を上げるようなことがなく、バランスよく響きが溶けあっている。

 ATCのプリとパワーの質感とSpendor SP-1/2の持ち味とはうまい具合に手を取り合っているように思えた。

 A面の前半はヘンデルのヴァイオリン・ソナタである。その4つの楽章が終わった。そこで小暮さんはカートリッジをリフターを使って盤面から上げた。

 「なんだか・・・これで十分というか、音造りが絶妙というか、とても緻密ですね・・・」私は全くとりとめのない感想を述べた。

 「完結しているよね・・・もう何も足さない何も引かないで良いと言いたくなるよね・・・」小暮さんも、かなり気に入っているようであった。

 続いて小暮さんが取り出したレコードは、Susanne Lautenbacherのバッハ無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番であった。

 3枚入りのBOXから取り出されたそのレコードは、ROKSAN XERXES10のターンテーブルに慎重にセットされた。



 こちらは、先ほどよりも煌びやかで澄んだ音質である。しかし、そこはやはりSpendorである。澄んでいるが、あくまでイギリスの空の色を思わせる範囲での透明度である。

 その奥底には翳りが潜んでいる。たっぷり、ゆったり、濃厚といった質感ではない。どちらかというとスレンダーな体形と言ってもいいであろう。

 守備範囲は広そうである。古楽器を使ったバロック音楽から、編成の大きなものもきっと破綻なくこなすであろう。

 わが家のリスニングルームは8畳ほどの広さしかない。その広さのリスニングルームには少々荷が重い大きさのスピーカーを使っているが、本来ならこのSP-1/2ぐらいの大きさのスピーカーが丁度いいのかもしれない・・・と心密かに思った。

 その後3枚のレコードを聴いた。どれも印象は悪くなかった。ROKSAN、ATC、Spendorというトリオは「イギリス組曲」とでも評したいような実に魅力的な音を聴かせてくれた。
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