AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

2974:試乗

2014年05月08日 | ノンジャンル
 ルノー小平に着いたのは2時を少し過ぎた頃であった。そのあまり広くない駐車場に車を停めた。車は彼女の車であった。Alfa Romeo Mito。色はブラック。「寧々ちゃん」の愛車である。

 MitoはAlfa Romeoの歴代の車の中でも異端児的な存在。「かっこいい」と「かわいい」が微妙にミックスされた名車である。Alfa Romeoのイメージカラーであるレッドでなく、あえてブラックを選択するあたり一筋縄ではいかない彼女の性格を表している。

 ディーラーの建物の中に入っていった。女性スタッフが応対した。ルーテシアを試乗したい旨伝えた。私たち二人はしばらくの間いつわりの夫婦を演じることとなる。

 男性の営業マンは皆出はらっているのか、女性スタッフが試乗の応対もしてくれた。まずは私が最初にハンドルを握った。女性スタッフが助手席に、「寧々ちゃん」は後部座席に座った。

 試乗車の色は赤であった。乗りこんでみてまず目を引くのがそのインテリアのカラーリング。内装にもボディーカラーと同じ赤が随所に散りばめられている。遊び心に溢れたインテリアデザインは気分を浮き浮きとさせてくれる。

 ポップな意匠をまとっているが、表層的な軽さに終始することなく、大人の遊び感覚をしっかりと感じさせるあたり、いかにもフレンチ感覚である。

 街中での試乗のみであった。低速域ではドライな乗り味である。フランス車独特の猫足的なしなやかな乗り味というよりは少しドイツ車的な雰囲気を持っている。しかし、車速が上がってくると、その足回りの感覚はしなやかさを持ち始める。60kmほどのスピードで走らせると実に気持ちが良い。

 パワステはけっこう軽く、もう少し重みが欲しくなるが、ハンドリングの反応はあくまで正確で、安心感がある。

 ルーテシアはPOLOほど優等生ではない。Mitoほどラテン的でもない。その中間的な存在のような気がした。

 「寧々ちゃん」もハンドルを握った。試乗コースは決まっているようで、私が走ったコースを再度なぞるように走った。時間にして15分程度であろうか、新青梅街道に出て東へ向かう。途中小金井街道との交差点を左折してぐるっと回ってくる感じでディーラーに戻ってくる。

 試乗を終えてMitoに乗りこんでディーラーを後にした。先ほどの女性スタッフが誘導してくれた。新青梅街道を西へ向かった。「どうだった・・・?」と彼女に訊いてみた。

 「う~ん・・・って感じかな。悪くはないけど・・・なんとなく、どっちつかずっていうのかな・・・味わいが曖昧な感じ・・・」

 助手席に座っている彼女の横顔からはその表情をはっきりとは窺うことはできなかった。しかし、その声のトーンからはいまひとつお気に召さなかったようである。

 「結構スピード出した時の方が気持ち良い車だよね・・・夜中の新青梅街道を走るのならPOLOよりも爽やかかも・・・」

 そう取りなそうと思った。ちょうど前がひらけた。アクセルを踏んだ。少しどすの利いたエンジン音が沸きあがった。気持ちを奮い立たせるよな音と振動である。そのいかにもイタリア車的な感覚を身体で受け止めた私はその言葉を飲み込んだ。
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