AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

2967:モダン

2014年05月01日 | ノンジャンル


 EL33はモダンな印象である。しっかりとこちらの目を見て、手を差し出す。握手するとその握力はしっかりとしている。着ているスーツも上質でしっかりとしたもの。信頼感のある第一印象を与えることに見事に成功するタイプである。これはビジネスの場ではとても大事なこと・・・日本の場合欧米のように初対面で握手をする習慣はないが、その音の印象からすると、そんなイメージが頭に浮かんだ。

 一方KT61は、少しばかり引っ込み思案な性格が見え隠れする印象である。こちらの目を全く見ないわけではないが、見据えるという感じではない。握手したと時の握力もそれほどしっかりとしたものではなく、穏やかな押し出し感である。二人の間に横たわる場のエネルギーをより身内に吸収しようとするようなところはあまり感じられない。

 今日、KT61とEL33が2本づつ自宅に届いた。これで、KT61が合計4本、EL33も合計4本揃った。その結果、KT61プッシュプルとEL33プッシュプルとの比較試聴が可能となった。

 KT61とEL33はどちらもマイナーな出力管である。国内ではなかなか見当たらない球である。仕入先はほとんど英国に限られる。

 LEAK TL10の本来の出力管はKT61である。シャーシの所定の位置にも「KT61」とはっきりと書かれている。しかし、その互換球であるEL33もその相性はかなり良いようである。

 無音時のハム音について、GRFに耳を近づけて確認すると、KT61装着時よりもEL33装着時のほうが小さくなる。どちらも、楽音が鳴り始めれば全くその存在は搔き消えてしまうレベルであるが、その無音時の存在感には差がしっかりと出る。EL33の方が指定の出力管ではないのかと思わせるような差である。

 今手元にあるEL33には赤い帯のようなペイントが真空管下部に施されている。鮮やかな赤ではなく「朱色」と表記するのが適切であるような渋めの赤である。この色合いであれば、見た目的な調和感がある。

 オーディオ的な性能面から客観的に耳を傾けるとEL33の方が優れているような印象を受ける。しかし、KT61はイギリスの曇り空のような渋い印象を受ける。よりヴィンテージ的な風合いを醸し出すのである。

 EL33は「モダン」、KT61は「ヴィンテージ」というカタカナ表記の言葉が、その音から受ける印象を形容する際にすっぽりと収まるようである。
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