我が家は花盛り

　昨日から急に夏になった。近頃の東北は、冬から一足飛びに夏になる。春がどこかに行ってしまったのだ。もっともなくなったのは春だけではなく、秋もどこかに行ってしまったので、紅葉を楽しむ間もなく夏から冬になってしまうのである。

　先週開花宣言が出た桜は、あっという間に散り始め、我が家の裏のシモクレンも、咲き始めたかと思ったら昨日は一気に満開になり、そして今日はハラハラと散り始めている。



　我が家の裏は空き地になっていて、柿の木や桜や梅やモクレンが植えられている。一年に何度か草刈りには来てくれているが、それだけだとあっという間に草の丈が高くなるので、勝手に敷地に入り、草刈機でバリバリ刈っていつも綺麗にしている。というのも、裏の空き地に面して大きなサッシが向いているので、カーテンを開けると裏の空き地は我が家の庭と化すのである。「借景」と呼ぶ人もいるが、ほとんど森の中の一軒家みたいな状態である。

　が、実際は近所は〇〇団地と呼ばれる新興住宅地で、家々が建て込んでいる。



　我が家の前の道路も散歩する人もいれば、通勤や買い物に行く人の車が通り抜ける。そういう人たちのための目を楽しませるためにも、道路に面した玄関側の庭にも花を植えている。裏側が花木なら、正面側は可憐な草花が中心だ。



　今はちょうどチューリップやアネモネが咲き、小さな庭が華やいでいる。写真に収めようと庭先をウロウロしていると、窓からテオが僕の様子をじっと観察していた。テオは真っ黒いので、いつも窓から外を眺めているが、外の人はよほど注意しなければ、窓にいるテオのシルエットでさえ見つけることが難しい。