近所の人の話で、この辺にフクロウがいるのは知っていたが、福島に来て以来見かけることはなかった。それが、去年の暮れには、日没後にどこからともなくホーホーという鳴き声が聞こえてくるようになった。これが噂に聞くフクロウの鳴き声かと、声が聞こえるたびに外に出てキョロキョロと探した。
最初に見かけたのは、家の裏の雑木林から飛び立つところで、闇夜に音もなく羽ばたく姿を見かけ、シルエットではっきりとフクロウとわかった。二度目は夕方の散歩から帰る途中、すっかり暗くなった夜道を歩いていると、家まであと50メートルというところで何気なく顔を上げると、電線に黒い塊が止まっていた。カラスとは違うぞと持っていた懐中電灯で照らすと、そこには紛れもなくフクロウがまん丸い目を開けて、こちらを見てるではないか。慌てて家に犬たちを連れて帰り、カメラを持って引き返すと、フクロウは微動だにせずそこにいた。
が、闇夜でカメラを撮るのは難しく、夜景モードを探しているうちに気がつくとフクロウは音もなく飛び去っていた。
それ以来、いつかフクロウの絵を描こうと思っていたのだが、どう描いたらいいか思いつかなかった。思い切ってフクロウの姿を描くのは諦め、シルエットだけ描くことで、なんとなく実際に見たときの感動が表現できそうな気がした。
ただし、電線に止まっているところでは絵としてつまらないので、電線を裸の木にした。夜空の青、月や星の黄色、そして木とフクロウのシルエットを黒で描いたので、色数は3色だけとなった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます