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九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

11.10ブラジル戦プレビュー 1970

2017年11月05日 20時52分22秒 | Weblog
ブラジル代表のメンバーは既に発表済。セレソンは日本戦から4日後にイングランド戦を控える。当然のことだがセレソンにとってはイングランド戦がメインになる。
チッチが日本戦でどんなスタメンを起用するか不明だがレギュラーを全員起用することは考えにくい。DFではスタメンを外れているチアゴシウバ辺りを入れてくるんじゃないかね。
ま、メンバーは変わっても4ー3ー3は変わらない。

アギーレの時のテストマッチでもそうだったが、ブラジルはレベルの落ちる日本戦になると色々な戦術を試す。
あの時は日本にわざとボールを持たせカウンターのパターンを試した。
何かそういうテーマを課さないと力の差がありすぎてセレソンにとっては無駄なテストマッチになるので。

では、今回は何を試してくるのか?

先ずひとつはアンカーのカゼミーロを起用するかしないかで変わる。カゼミーロはレアルで注目を集めたアンカー。彼のお陰で去年レアルは2冠に輝いた。例えるなら攻撃力を備えたカンテというプレーヤー。日本で言うと長谷部、山口、井手口の仕事を一人でこなし、ついでに乾の仕事も出来るタイプ。世界は広いですねw
このカゼミーロを起用すれば通常モードのセレソン。
違うプレーヤーを入れてくればいつもとは戦術を変えてくる可能性が高くなる。まあ4日後に本チャンのイングランド戦があるから違うプレーヤーを入れてくることも十分にあるな。

チッチは基本的にネイマール+2人の3トップを基本にした攻撃サッカーだが、日本戦で本気出すと45分で終了するので前回と同じようにカウンターのトレーニングをやる可能性がある。その方がイングランド戦にも繋がるわな。
後は普段ベンチのプレーヤーのチェックになるだろう。とにかく選手層は厚すぎる国なんでテストマッチは常に選考の場を兼ねる。

で、日本としてはどう戦うか?
問題はブラジルのカウンター練習の為にボールを持たされた時だな。アギーレの時は主力を外し柴崎等起用された若手がパニクってボールを繋げずカウンターの餌食になった。
今回は前と違う意味で、持たされると苦しい展開になる可能性は高い。それこそ山口か長谷部のどちらか外して森岡辺り使わないと攻撃にならなくなるわな。
大迫の役割もポストから点取りに変わる。本人はその方がいいだろう。
後はこの前も指摘したがハリルの戦術の引き出しがどの位あるの?ってことになる。

ハイチ戦見ればそれが殆ど無く大丈夫か、このオッサン状態だったんでw
やりたいサッカーとやるべきサッカーは違うからね。ハイチ戦と同じように頭の堅いことやればちょっともう無理になるかも知れないね。

ベルギー戦のプレビューはブラジル戦の感想と合わせてだな。
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ハリルジャパン(126) ハリルジャパン理解のために  文科系

2017年11月05日 12時03分14秒 | スポーツ
 ハリルに代わってから、代表選考にこんな変化が起こった。中盤で、繋ぎの選手が軽視され、潰しの選手が重視されるように。対して、こういう声が上がるのは当然である。
「こんな繋ぎ、攻撃力で勝てるわけがない。『これは、守備オンリーのチーム構成である』」
 以下は、こんな批判に僕として改めて応えるものだ。

 サッカーは、組織的な繋ぎと潰しのゲームである。一方が繋ぎつつ攻め、他方がこれを潰してボールを奪おうとする。潰す側が首尾良くボール奪えれば今度は、繋ぎと潰しの攻防が入れ替わる。これを繰り返して敵ゴールに近づき、そこでさらに上手く繋いで首尾良くシュートまで持って行きゴールという得点を競う。
 さて、この潰しと繋ぎが相関関係にあるからサッカーの見方は難しくなる。昨日の川崎のようにAチームの繋ぎが下手に見えるだけでは、これが事実下手なのかどうかも分からない。相手セレッソのようにBチームの潰しが上手いのかも知れないからだ。ちなみに、失点が多かったセレッソも、1対0勝利が多くなっている近ごろであるし。かと言って、Bが勝つとも限らないのである。Aの潰しがBよりももっと上手いかも知れない。ただこういう全ては、通常の同一リーグ・ゲームの場合大抵は予め分かっている。Aは守備フォーメイションが上手く、非常に失点の少ないチームだとか、Bは得点があまりないチームだとか。これはつまり、Aは潰しが上手く、Bは繋ぎが下手ということをおおむね意味する。
 ただし、国代表戦ではこういう通常の予備知識などあり得ないのであって、どこも相手を探りながらの慎重な入り方をすることになる。国際戦では、潰しが特に大事になる理屈だ。国際戦では、チームとしての潰しに自信が持てなければ、リスクを冒した攻め、パスなどはなかなかできないものである。

 さて、以上のように繋ぎと潰しとが、攻撃と守備というようにぱっくり分けることが出来れば、サッカーの見方は容易だろう。が、これが簡単に分けられないのである。近年は特に、こんな例もあらわれたのだから。
「良い守備からこそ、良い攻撃が生まれる」
 それどころか、近年のサッカー史上にはこんな例も生まれた。
「組織的潰しが上手く、相手ボールをすぐに潰せるから、攻めっぱなしになるチーム」
 この画期的一例が、90年前後にACミランが全盛を誇った陣形を縦に縮めたゾーン・プレス戦法だが、最近ではこんなチームも生まれた。
「敵が我がボールを奪って前掛かりになった瞬間こそ、このボールを奪えればゲーム中最大の得点チャンスが生まれるとき」
 こういう「得点のための潰し」という得点法が、2010年頃から台頭したドルトムント、ドイツ勢の一時隆盛をつくった。13年チャンピオンズリーグの独勢同士の決勝戦とか、ブラジルW杯ドイツ優勝(準決勝ではブラジルを7対1で負かした)はこの戦法の結実と言える。キーパーのノイアーが、自陣営を中心にフィールド半分を守るというほどに、押し上げた潰しのチーム、それがブラジルのドイツだった。
 ちなみに、この時のドイツと最も際どい接戦を演じたのが、決勝トーナメント1回戦で当たったアルジェリア。延長戦の末に1対2でドイツに敗れたここの監督が、現日本代表監督ハリルホジッチだ。なお、決勝トーナメントでドイツから得点できたチームはブラジルとアルジェの各1点だけである。こうしてハリルは、ドイツ流「潰し得点戦術」に最も詳しく、その後のこの変化も最大限見えている監督と言える。その監督が日本に来た。と僕の期待が大いに膨らんだわけだが、その理由は近年の日本のこんな弱点にも関わってくる。

 近年のJは繋ぎばかりが目立って、潰しに対しても自らの潰しも、実に弱いチームであった。自らの潰しが弱いとリスクを冒した大胆な繋ぎが出来ず、ボールを持ってもバックパス、横パスばかり。相手にボールを持たれたら、敵ボール保持者と距離を取りつつズルズルと下がるばかり。そんなゲームをどれだけ観させられてきたことか。例えばこの10年近くACLで韓国次いでブラジル人を入れた中国勢などに全く勝てなかったのも、06年ドイツW杯以来オーストラリアが苦手なのも、これが原因であることは明らかだった。繋ぎが多少弱くなっても、敵の潰しに対しても、自らの潰しも強い選手をもっと使ったらどうよなどといつも呟いていたものだ。

 そんな時に、こんな監督が日本に来た。同時に日本チームが急変してきたと観るのは僕だけではないはずだ。世界クラブ杯、ACL関連では、一昨年の広島、昨年の鹿島、今年の浦和。また、ハリルになってからの日本代表は、以前より確実に際どいシュート、得点力が増していると僕の目には見える。それは、彼の潰しが潰しと言うだけでなく「潰し即得点」を狙うチーム作りをしてきたからだ、とも。W杯関連でオーストラリアに勝ったゲームでは、評論家の見方が賛否2分されているが、日本相手には潰しのオーストラリアが全く珍しく繋ぎで闘ってきたにしても、日本の潰しからシュートが目立ったゲームであった事だけは確かである。豪チーム監督らも、現にこう論評していた。「中盤の闘いに敗れた」と。

 こんな僕の見解が正しいか誤っているか、それを知るためにもブラジル、ベルギー戦が楽しみでならない。ただし、ブラジルでさえ独に1対7で負けることがあるのだから、結果だけ、経過を見ない「ハリル止めろ」論議など無意味と牽制しておく。
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アメリカ・ファースト   らくせき

2017年11月05日 10時27分23秒 | Weblog
【ワシントン共同】北朝鮮が8~9月に日本列島上空を通過する弾道ミサイルを発射した際、日本が破壊措置を取らなかったことについて、トランプ米大統領が東南アジア諸国の複数の首脳に「迎撃するべきだった」と語り、日本の判断に疑問を表明していたことが4日、分かった。複数の外交筋が明らかにした。

 安倍晋三首相は5日からのトランプ氏訪日で、日米の緊密な連携をアピールしたい考えだが、トランプ氏は日本に、より強力な対応を求める可能性がある。

 外交筋によると、トランプ氏は東南アジア諸国首脳らとの会談で「武士の国なのに理解できない」などと、不満を口にしていたという。

そして、リメンバー、パールハーバー、だって・・・

バカにしないでよ。。。日本はあなたのなんなの?
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何かもう無茶苦茶なんで 笑 1970

2017年11月03日 13時56分01秒 | Weblog
幾つか書いておく。

①岡崎は足が遅いからカウンターに向かないので外されるのは分かる

レスター優勝の立役者岡崎さんだが、その役割や功績は、2トップの相方ヴァーディと中盤の掃除人カンテの間に広がるスペースを驚異的な運動量とスピードでカバーしたのが成功したことに他ならない。そして、そこからのカウンターでレスターは得点を量産した。
岡崎が足が遅いとかカウンターに向かないと映るモニターは早急に買い替えた方がいい。
画面がおかしい。
岡崎が外されるのは日本にマトモな守備的MFが育ってないからで、それがいれば2トップで機能出来る。
まさかプレミアよりも日本代表のレベルの方が高いなんて話じゃないだろw

また、押し上げるならば、ドン引きと違い前方に広いスペースが広がることも少ない。足の速い遅いを問う必要はあまりない。
足の速さが問題になるのはドン引きの場合。

②大敗しても良い。潰しからの得点という流れが

これから本番迄の間に代表チームとして時間が取れるのは12月の東アジア選手権、3月のテストマッチ、直前の壮行試合の3回しかない。
岡田Japanもそうだったが直前の大敗は、システムとメンバーの見直しに直結する。
つまり、この2試合で『いや~合計で10失点したけど1点は何とか獲れたから兆しは見えたよね~』なんてアホな話には当然ならない。
それに加え、これだけ守備中心のメンバーを組んで大敗するならば、それはもうハリルのプランの沈没を意味する。

従って許されるのは、何とか最少失点で止めたが、守備の時間が殆どで攻め手を失い攻撃に大きな課題を残した2試合だった。
これなら分かるわ。
しかし、今回のメンバーとシステムで大敗するようなら意味が無い。


まあ恐らく豪州戦のような戦いがベースになるのだろうが、ブラジルやベルギーに豪州と同じような割合で持たれたらサンドバックになる。
それは当然ハリルも考えるだろう。
だから今回試されるのはハリルの引き出しで、そうした戦術の引き出しが期待する内容じゃなければ、お先真っ暗という結論になる。

おれはこの戦術の引き出しには、まだ期待してるけどね。
それしかないからwww
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ハリルジャパン(125) 楽しみ至極のブラジル、ベルギー戦  文科系

2017年11月03日 10時37分57秒 | スポーツ
 W出場が決まって、世界2位、5位とのゲームが組まれるなんて、何と幸せな我が代表だろう。ただし、ブラジル、ベルギーとヨーロッパを舞台に対決するこの代表メンバーから、古顔三人が外れた。岡崎の選外は、僕の気持ちとしては残念だが、随分久しぶりのこの3人同時外しを、僕は認める。ハリルの基準からしたら当然なのだ。本田、岡崎は足が遅くてカウンターには向かず、香川はデュエルに弱いのだから。しかりしこうして、このメンバーにおける古強者の顔は、長谷部と吉田、長友。みんなデュエルに強く、長谷部、長友は脚も速い。

 最近いつも述べているように、こういう戦術、メンバーが、今の日本が世界の強豪と闘いうる道なのだと思う。つまり強豪に対する潰しが弱ければ、まず、下手な繋ぎなど怖くて出来ないということだ。もちろん、この潰し重視は強豪相手の守備狙いという意味もあるがそれ以上に、良い潰しからの得点狙いという、これこそハリルが「モダンサッカー」と語ったゆえんである。古い評論家にはここが分からない。守備というと守るというイメージしかないのかも知れない。彼らはハリルの「モダンサッカー」を自己賛美の弁解言葉としか解釈できないのであろう。

 浦和から5人、ガンバから4人が選ばれた。これも必然。ほぼ十年ぶりで日本勢としてACL決勝に進出した浦和勢は、ハリルの戦術によくマッチしている。今のガンバもまた、遠藤のチームではなく、今野、井手口と倉田のチームになりかかっている。繋ぎのガンバがカウンター・チームへの過渡期にあるのも、ACLで負け続けた結果、その反省からと観るのが正しいのである。

 ブラジル、ベルギー戦が、楽しみでならない。ハリル・ジャパンのようなタイプは、世界上位チームと闘ってこそ真に試されるもの。ただ10日のブラジル戦は凄いメンバーだ。バルサに移ったばかりのパウリーニョのゲームを観たが、強いし、速いし、上手いしの万能選手。ブラジル大会ベスト11にも選ばれたこれも万能のオスカル(まだ26歳だが、金に目が眩んで中国へ行ったのが悪かった?)が入っていないのは疑問に思ったが、ハリルがネイマール以上と評価する確か20歳のガブリエル・ジェズスも居る。僕でさえこのブラジルは怖くて仕方ないから、選手らならなおさらだろう。
 このチーム相手にハリルは「押し上げて闘う」と語ったようだが、これこそ今回必然の選択、方向。ハリルの戦術、選手選考のやり方そのものが強大国を相手として「攻めの潰し」という発想をも備えたもの。だからこそ、これを好機と観たら真っ向から押し通してこそ学べることも多くなるというもの。例え、5対0で負けても財産ができたというゲームにして欲しい。中盤から前の日本選手がパウリーニョ相手に1対1で突っ掛ける・・・こんな場面も多く観られるはずだ。それこそが、このゲームの楽しみなのである。原口、山口、井手口などのそんなロマンある姿が目に浮かんで来るゲーム・・・。

 ブラジルは自国W杯で独に大敗したが、固い組織に弱い所がある。ただし、個人技は世界最高。この個人技を一定潰すことさえ出来て、それをシュートまで持って行ければ、この練習ゲームの意味が最も大きくなるのである。
「大敗しても良い。組織的潰しから得点へというやり方が通じることを見せて欲しい」

 ハリルは、7対1でブラジルを負かした前回W杯準決勝戦を、そのドイツのやり方を徹底的に研究しているはずだ。
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書評 金融グローバリゼーションということ ④   文科系   

2017年11月03日 10時15分47秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 ドナルド・ドーア著「金融が乗っ取る世界経済 21世紀の憂鬱」(中公新書2012年6月第5刷発行)の終章である第3章は、計4節に分かれている。「国際協調」、「適切な報酬制度」、「現状維持に終わる金融改革」、「金融化は不可逆的か」。 これを、順不同で要約していきたい。サブプライムバブルが弾けた後のG20やそのサミットでどんな改革論議がなされ、対立があって、ほぼ元の木阿弥に戻ってしまったか。リーマン以降、ロンドンG20から、10年のソウルG20とそのサミットまで、世界の金融規制論議経過は省いて、書かれている改革の内容自身を観ていきたい。

 ロンドン大学政治経済学院の「金融制度の将来」には4つの目的がこう書かれているとあった。①実体経済を攪乱しないように。②破綻金融の税金救済の問題。③そんな金融機関の報酬が高すぎる問題。④高報酬により人材が集まりすぎる問題。
 また、2010年11月のG20ソウル会議でもっと具体的に4つの討論がなされ、抽象的合意だけが成されたと言う。①銀行規制。②金融派生商品契約を市場登録すること。③格付け会社の公共性。④新技術、商品の社会的有用性。
 以上から何が問題になってきたかをお分かりいただけたと思うから、G20ソウル会議の4項目の順に討論内容などを観ていきたい。

 ①の銀行規制に、最も激しい抵抗があったと語られる。また、現に力を持っているこの抵抗者たちは規制提案に対して「否」と言っていれば良いだけだから、楽な立場だとも。国家の「大きすぎて潰せない」とか「外貨を稼いでくれる」、よって「パナマもケイマンも見逃してくれるだろう」とかの態度を見越しているから、その力がまた絶大なのだとも。この期に及んでもなお、「規制のない自由競争こそ合理的である」という理論を、従来同様に根拠を示さずに押し通していると語られてあった。

 ②の「金融派生商品登録」問題についてもまた、難航している。債権の持ち主以外もその債権に保険を掛けられるようになっている証券化の登録とか、それが特に為替が絡んでくると、世界の大銀行などがこぞって反対すると述べてあった。ここでも英米などの大国国家が金融に関わる国際競争力強化を望むから、規制を拒むのである。つまり、国家が「外国の国家、法人などからどんどん金を奪い取ってきて欲しい」と振る舞っているから換えられないと、酷く暴力的な世界なのである。

 ③格付け会社の公準化がまた至難だ。その困難の元はこのようなものと語られる。アメリカ1国の格付け3私企業ランクに過ぎないものが、世界諸国家の経済・財政法制などの中に組み込まれているという問題だ。破綻直前までリーマンをAAAに格付けていたなどという言わばインチキの実績が多い私企業に過ぎないのに。ここで作者は「ワイヤード・オン」という英語を使っている。世界諸国家法制にムーディーズとかスタンダードとかの格付けランクがワイアーで縛り付けられているという意味である。この点について、こんな大ニュースが同書中に紹介されてあったが、日本人には大変興味深いものだろう。
『大企業の社債、ギリシャの国債など、格下げされると「崖から落ちる」ほどの効果がありうるのだ。いつかトヨタが、人員整理をせず、利益見込みを下方修正した時、当時の奥田碩会長は、格付けを下げたムーディーズに対してひどく怒ったことは理解できる』(P189)
 関連してここで、つい昨日の新聞に載っていたことを僕がご紹介したいのだが、こんな記事があった。先ず見出しは、『国際秩序の多極化強調BRICS首脳「ゴア宣言」』。その「ポイント」解説にこんな文章が紹介されていた。
『独自のBRICS格付け機関を設けることを検討する』
 15日からブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ五カ国の会議がインドのゴアで開かれていて、そこでの出来事なのである。ついでに、日本でこういう記事はまず大きくは見えないようになっているということも付け加えておきたい。なお、この会議宣言4つのポイントすべてにおいて「国連」が強調されていたということも何か象徴的なことと僕には思われた。国連を利用はするが無視することも多いアメリカと、国連を強調するBRICSと。
 とこのように、国連や、G7などではなくG20やにおいてアメリカ以外の発言力が強くなっていかなければ、金融規制は進まないということなのである。

 最後に「④新技術、商品の社会的有用性」について。金融商品、新技術の世界展開を巡る正当性の議論なのである。「イノベーションとして、人類の進歩なのである」と推進派が強調するが、国家の命運を左右する為替(関連金融派生商品)だけでも1日4兆ドル(2010年)などという途方もない取引のほとんどが、世界的(投資)銀行同士のギャンブル場に供されているというような現状が、どうして「進歩」と言えるのか。これが著者の抑えた立場である。逆に、この現状を正当化するこういう論議も紹介されてあった。
『「金作り=悪、物作り=善」というような考え方が、そもそも誤っているのだ』
 金融が物作りを「攪乱」したり、現代世界人類に必要な新たな物作りへの長期的大々投資を事実上妨げているとするならば、それは悪だろう。関連して、世界的大銀行は、中小国家の資金まで奪っていくという「罪」を史上数々犯してきたのである。そして、世界の主人公である普通の人人の生活、職業というものは、物(作り)とともにしか存在しない。

 この本の紹介はこれで終わります。ただし、この著作中に集められた膨大な数値などは今後の討論で折に触れて適宜ご紹介していくつもりです。「金融が乗っ取る世界経済 21世紀の憂鬱」という書名をどうかご記憶下さい。

 ここまでお読み下さった方、お疲れ様でした、ありがとう。

(終わり)
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国会は体制翼賛国会に   らくせき

2017年11月02日 16時24分54秒 | Weblog
こんな国会はいらないと思うのだけれど、そう思っては安倍さんの思うつぼ。
改憲に反対するのがホシュなら私は喜んでホシュになるでしょう。


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サッカーのロマン派・現実派という話   文科系

2017年11月02日 15時06分53秒 | スポーツ
 1970さんへ

 今日の君のエントリーがあったことによって、君との「サッカー観戦の王道」の討論が、大変深まっていくと愚考、予想できるから、本物の深謝である。以下のこういう意味も含めて、一段と良いご応答であると初めに、言っておきたい。このエントリーに書いてあるのは、「王道」についての君自身の中身そのもの、他に君が言うどうでも良いこととは違うから。

 君も既に気付いているはずだが、君がここに書いたことと僕がこれまで述べてきた日本サッカー現段階の見解とは、今の日本サッカー界を二分している見解だよね。専門マスコミ中央では、僕の見解の方が少数意見だと僕も意識しているけど。ちなみに、僕の大嫌いな杉山某などいわゆるサッカーマスコミに多数意見が多くて、協会は僕よりだと観ている。というよりも、僕寄りになりつつあると。

 まず、君の上記「日本の王道」は、こんな風にまとめられるはずだ。
① 『せっかくオシムが植え付けたボールも人も動くという武器も埃を被る。・・・・只でさえフィジカルに劣る日本はスペイン、メキシコを目標に人もボールも動かしながら要所で身体を張ればいいんだけどね』
② 『対豪戦を含め総じて言えるのはこの戦い方は目先の結果を目的とするならいいが、長期的には逆効果になるだろうねということ』
『実力で相手が圧倒的に上回る時の戦い方としてはいいけどね』
③ 『こういう戦術で世界のトップクラスとやっても自分で自分の首を絞めるだけ』


 さて、こういう見解と僕のとで、「最も異なる観点」というものは、一体何なんだろうかと、改めて考えてみた。その結論は、まずこうなったよ。
 自分から仕掛ける「繋いで攻撃」をロマンと感じ、カウンター戦術をリアクションサッカーという夢のない「現実的なだけの戦術」と感じているのではないか。

 さて、今回はまず、こういう観点について論じてみる。僕の観点の重要用語を使用してね。そもそも、繋ぐ攻撃、潰す守備と、そんなに攻守の峻別ができるものかなというのが、言いたい事。以下は、ほぼすべて、この峻別不可能ということを巡る言及になる。

① バルサの繋ぐ攻撃の元祖は二つあって、その一方は全盛イタリアをリードし、90年前後にチャンピオンズリーグを2連覇したアリゴ・サッキ「ACミラン」だとは、世界サッカー史の常識。サッキが編み出した当時の最強戦術「ゾーン・プレス」というコンパクト・プレス自身は、攻撃的ではあるにせよ守備の体制である。敵にボールが移るとこの体制を取ってボール奪取に成功する。だから、敵はこちらのゴールに迫れないどころか、ほとんど攻められっぱなしになってしまう。ここでさて、「ボールを採られたらすぐに奪い返せるから攻めっぱなしになるチーム」って、攻撃的なのか守備的なのか、どっちだと考える? 君流のロマンなのか、ロマン派が嫌いな現実派であるのか。このチームが89年チャンピオンズリーグ決勝戦では、レアルマドリーを2ゲーム合計確か6対1で破ったのだが。

② 次にこの続きだけど、僕がここによく書いてきた2010年のチャンピオンズリーグ準決勝インテル・バルサ戦。あのインテルは明らかに守備的、現実的で、明らかなどん引きカウンターに徹したのだが、あれだけ0点に抑えてゴール前で守っている時間だけが長くても、ある瞬間に敵ボールに詰めて、奪い取って、そこから超長いロングカウンターを成功させる自信があるチームというのは、夢がないと言えるのかな? ゲーゲンプレスや、今に至るそう言う考え方の変形(こういう選手としては、例えば原口)も、結局これと同じことであって、「守備即攻撃」「潰し即得点」と言う考え方ね。

③ なお、繋ぐ攻撃、潰す守備については、こんなことも言える。潰し体制にも自信が持てなければ大胆なパスなど通せないから横に繋ぐばかりでシュートで終われないし、前に無謀なパスが多いと後ろが観ればDFラインが上げられないから間延びして、現代サッカーではボールが奪えなくなる。こうしてつまり、チームの潰しに信頼がない場合には繋ぎサッカーなどあり得ない。

 こういう全てを推してロマン派はなおかつ、「『カウンターサッカー』はロマンがない。繋ぐ攻撃に徹せよ」と言うのであるか?
 そして何よりも、こういう①~③を度外視した「繋ぐサッカー」が、将来必ず勝てるサッカーになると言えるのかどうか。
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書評 金融グローバリゼーションということ ③   文科系

2017年11月02日 12時33分37秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 ロナルド・ドーア著「金融が乗っ取る世界経済 21世紀の憂鬱」(中公新書、2011年10月初版)を要約している。その第二部は、金融化が社会、政治、教育、そして学者たちをどう変えたかという内容。これがまた4節に分けられていて、各表題はこうだ。①社会を変える金融化、②金融化の普遍性、必然性?(疑問符が付いている事に注意 文科系)、③学者の反省と開き直り、④「危機を無駄にするな」(括弧が付いている事に注意 文科系)。

 第1節では、格差、不安の増大、最優秀人材が金融にだけ行く弊害、人間関係の歪みの四つに分けて論じられる。
・「格差」では、06年のゴールドマン・トレイダーら50人のボーナスが、一人最低17億円だったという例を28日のここで紹介した。こういう強食の背後には、無数の弱肉がいると解説を付けて。(この点については、28日拙稿を参照願いたい)
・「不安の増大」では、こんな例が良かろう。日本の国民年金掛け金未納者が38%にのぼること。日本で新たに導入された確定拠出年金が、10年3月末の110万人調査で63%が元本割れとなっている発表された。これらの人々の老後はどうなるのだろうか?
・人材の金融集中では、2010年8月の日経新聞広告を上げている。
『野村、「外資流」報酬で新卒40人採用へ 競争率16倍 専門職で実績連動 11年春、初任給54万円』
 マスメディアのライターからも、大学人やフリーライターとかジャーナリストらがどんどん減って、金融アナリストが急増している。
・人間関係の歪みでは、情報の非対称性(情報量に大差がある2者ということ)を利用して起こる諸結果から、「人をみたら泥棒と思え」と言う世の移り変わりが説かれている。

「金融化の普遍性と必然性?」の要は、金融に特化する先進国に不当な世界的優位性を与えているということである。そこから、西欧がアメリカを追いかけ、今日本がつづき始めた、と。ただし、主要国の家計に占める株と証券との割合は05年でこうなっている。アメリカ46・6%の6・7%、ドイツ23・7%の9・7%、フランス28・0%の1・4%に対して日本15・0%の4・0%である。
 この程度でもう100年に一度のリーマンが起こって莫大な公金を注ぎ込まざるを得なかったとあっては、これで儲けるしかないアメリカがいくら頑張っていても金融立国はもう駄目だという文脈と言える。上記4国の証券%合計は21・8%となるが、1980年のこれは合計34・9%となっていた。4国で割れば、この25年で8・7%から5・5%へと家計における証券保有率は大幅に低減したという事になる。ただこれは家計に占める率であって、世界から金融業者に掻き集められた金はカジノばかりに膨大に投入されているということである。

「学者の反省と開き直り」は省略させて頂く。作者自身も嘲笑的になりそうになる筆を押さえつつ書いているようだし。

「金融危機を無駄にするな」に括弧が付いているのは、掛け声だけという意味である。アメリカの妨害でちっとも進まないからだ。
 リーマンショックが起こって、「100年に1度の危機」と叫ばれた08年秋のころはアメリカも大人しかったようで、金融安定への不協和音はゼロだったとのこと(ただ、この「危機」の長期的根本的意味が一般には3割も理解できていたかどうか、僕はそう思う。)ところが、国際機構をきちんとして罰則を入れるようなものは全くできなかった。決まった事は、G7よりもG20サミットが重視され始めて、保護主義を排し、経済刺激策を取ろうという程度だった。IMFとこれによる規制との強化とについて、新興国と西欧とがかなり主張して端緒についたはずだったが、その後はほとんど何も進まなかった。

 ここで作者は、世界政府、国際制度作りの歴史などの話を起こすことになる。特定分野の国際協力機関は20世紀初めの国際連盟やILO設立よりも前に12もできていたと述べて、「万国郵便連合」などの例を挙げる。
 同じ理屈を語って日本人に大変興味深いのは、日本の戦国時代統一の例が語られている下りだろう。
『日本が16世紀の終わりに一つの国になったのは、信長、秀吉、家康の武力による統合と、幕府という統治制度の意識的な創出が決定的だった』(P132)
 アジア通貨危機やギリシャ危機は、大国金融が中小国から金を奪い取る金融戦争、通貨戦争の時代を示している。そんな金融力戦争はもう止めるべく、戦国時代の戦争を止めさせた徳川幕府のように、金融戦争に世界的規制を掛けるべきだという理屈を語っているのである。IMF(国際通貨基金)のイニシアティブ強化以外に道はないということである。


 金融の国際制度とこれによる執行力ある万国金融規制についてさらに、前大戦中から準備されたケインズの国際通貨、バンコール構想も解説される。が、これはドル中心にしようとのアメリカの終戦直後の実績と強力との前に脆くも崩れ去ったということだ。ドルが基軸通貨になったいきさつ説明なのである。
 以降アメリカは自国生産量より4~5%多く消費でき、日本や中国はその分消費できない国になったということである。それぞれ膨らんだドルを米国に投資する事になってしまった。その意味では、中国銀行総裁、周小川が09年に「ケインズ案に帰るべし、新機軸通貨、本物の国際通貨の創設を!」と叫び始めた意味は大きい。中国は今や8000億ドルの米国債を抱え、不安で仕方ないのであろう(この8000億は現在では1兆2500億ほどになっている。文科系)。中国のこの不安は同時に、アメリカにとっても大変な不安になる。「もし中国が米国債を大量に売り始めたら。国家、家計とも大赤字の借金大国の『半基軸通貨』ドルは大暴落していくのではないか」と。周小川中国銀行総裁が「本物の国際通貨の創設を!」と叫ぶのは、そんな背景もあるのである。

 なお、これは私見の言わば感想だが、アメリカが中東重視から西太平洋重視へと世界戦略を大転換させたのは、以上の背景があると観ている。中国に絶えず圧力を掛けていなければ気が休まらないのだろう。


(次回で終わりです)
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対豪、鹿島、ACL、etc. 1970

2017年11月02日 11時36分05秒 | Weblog
対豪に関しては、試合中から散々書いたので2度も3度も同じことは書かない。
その他の試合についてもその時々書いているが、対豪戦を含め総じて言えるのはこの戦い方は目先の結果を目的とするならいいが、長期的には逆効果になるだろうねということ。

浦和はJ1で今何位だ?

実力で相手が圧倒的に上回る時の戦い方としてはいいけどね。
でも上海はそこまで強いチームとは思えないが。
豪州にしても同じ。あそこまで引いて守りに徹して相手するようなチームじゃない。

こういう戦術で世界のトップクラスとやっても自分で自分の首を絞めるだけ。
タレントがブラジルトリオだけの上海やパスミスだらけの豪州ならばいいが。勿論あれだけ守備に人数掛ければ攻める方は苦労するが。
ザッケローニが語った日本の良さ、アジリティの欠片も無い。

せっかくオシムが植え付けたボールも人も動くという武器も埃を被る。
どんなフィジカルを持ってしても人はボールよりも速く動けないのだから、只でさえフィジカルに劣る日本はスペイン、メキシコを目標に人もボールも動かしながら要所で身体を張ればいいんだけどね。

今志向するサッカーの先にあるイタリアやイングランド、フランスを目指すのは、まあ厳しいだろう。

ロシアW杯は予想の組合せに恵まれ、試合でも幸運の女神が微笑めばベスト16。
そうでもない限りは予選で終了。
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サッカー観戦の王道 1970

2017年11月01日 22時48分14秒 | Weblog
なんて仰々しいタイトルで語る人ならば、少なくともプレミア、リーガー、リーグアン、セリエA、ブンデスのヨーロッパ5大リーグの主要チームの試合やCL位は最低押さえているのだよね。
これが日本代表とJの関係する試合だけで観戦の王道なんて語られた日には聞かされる方は軽い脳震盪を起こす。

昔から話が噛み合わないのは殆どこれが原因なのは分かっているが、そろそろレベルの高い試合を見るようにしたらどうかね。
この前のポジショニングの話にしてもそうだが、日本基準、Jリーグ基準で語られても困るんだよ。日本が世界のトップクラスなら別だが。

今ヨーロッパで注目されているのはペップが作り上げたシティとセリエAのナポリ。
シティについては先日紹介した。見てないだろうが。
ナポリもここ数年ハイレベルのサッカーをキープしているが今年は更にハイレベル。
こういうチームの試合を見て、観戦の王道だの何だの語るのならばこっちも興味深く読ませてもらう。
戦術やシステムを紹介するブログならばこの2チームを取り上げるのが最近は一番多い。
それだけ革新的なチームだから。

ゲーゲンプレスの話のようなすっかり手垢のついた話よりははるかに新しい。
誰かが書いたことや話したことの焼き直しじゃないリアルタイムの話になる。

王道を語りたい人が何も見てないのはコントか漫才だよ。
たまには、そういうチームの試合解説も見たいものだね。
それがあって初めて王道なんて言葉で語れるんじゃないの。
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書評 金融グローバリゼーションということ ②  文科系  

2017年11月01日 11時30分46秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 中公新書、ロナルド・ドーア著「金融が乗っ取る世界経済 21世紀の憂鬱」(2011年10月初版)の要約を行っている。同書が以下の3部に別れているのに合わせて。「金融化現象とは何か」、「これにより、社会、政治、教育などがどう変わるか」、「各国、国際機関による、これの弊害是正、金融改革の試み」である。今回はその第一部の要約とする。

 ただこの本、非常に難解である。最大の特長が21世紀日本経済(ある過渡期)の最新・最大テーマということなのだが、なんせ、日本語の達人と言っても外国人が書いた日本語。やはりどこか違うと言わざるを得ない。時に省略、時に冗長と、言葉の選択が普通の日本語とは違う。これに研究対象の難しさも加わったこの難物を、順不同、勝手に要約していく。

 第一部の目次はこうなっている。①金融化ということ、②資本市場の規模拡大、③実体経済の付加価値の配分、④証券文化の勃興、と。

 金融化について、ある人の要約が紹介される。『国際国内経済で、金融業者、企業の役割や、一般人の金融志向が増していく過程』。この「増していく」の中身は、こういうもの。社会の総所得における金融業者の取り分が増えたこと。貯蓄と企業との関係で金融業者の仲介活動が急増したこと。株主資本主義。政府がこの動向を国際競争力強化の観点から促進してきたこと

 米企業利益のうち金融利益の割合が、1950年代までは9・5%であったものが急増して、02年には41%と示される。その後非金融業の巻き返しがあってやや減少期があったものの、2010年度第一四半期はまた36%まで来たとあった。サブプライムバブルの膨張・破裂なんのそのということだろう。

 次は、こうなった仕組みとして、金融派生商品の膨張のこと。
 著者は先ず、シカゴ豚肉赤味の先物市場投資額を、急増例として示す。初めの投資総額はその豚肉生産総費用にもみたぬものであったが、これが、生産費用とは無関係に爆発的急増を示すことになる。1966年の先物契約数が8000だったものが、2005年に200万を超えるようになったと。そして、これも含んだ金融派生商品全体のその後の急増ぶりがこう説明される。2004年に197兆ドルだった国際決済銀行残高調査による派生商品店頭売り総額が、2007年には516兆ドルになっていると。この期間こそ、08年に弾けることになったサブプライム・バブルの急膨張期なのである。同じ時期の現物経済世界取引総額とのこんな比較もあった。同じ2007年4月の1日平均金融派生商品契約総額が3・2兆ドルだが、これは世界のこの月の1日実体経済貿易総額(320億ドル)の実に100倍であると。

 これほど多額の金融派生商品の売買は、証券化という技術が生み出したものだ。
 証券化の走りは売買可能な社債だが、『住宅ローンや、消費者金融の証券化、様々な方法で負債を束ね「パッケージ」にして、低リスク・高リスクのトラッシュ(薄片)に多様に切り分けて売る証券や・・』というように進化していった。リスクが大きいほど儲かるときの見返りが大きいという形容が付いた例えばサブプライム債券組込み証券(の暴落)こそ、リーマン破綻の原因になった当の「パッケージ」の一つである。
 そんな金融派生商品の典型、別の一つに、これに掛ける保険、クレディット・デフォルト・スワップ(CDS)という代物がある。この性格について、有名な投資家ジョージ・ソロスが「大量破壊兵器」と語っているとして、こう紹介される。
『ゼネラル・モータースなどの倒産を考えよ。その社債の持ち主の多くにとって、GMの再編より、倒産した場合の儲けの方が大きかった。人の生命がかかった保険の持ち主に、同時にその人を打ちのめす免許を持たせるようなものだ』
 まさに「(会社再建よりも)打ちのめした方が儲かる」というCDSの実際が、投資銀行リーマン・ブラザースの倒産でも、見事に示された。倒産時のリーマン社債発行残高は1,559億ドルだったにもかかわらず、その社債へのCDS発行銀行の債務総額は4,000億ドルだったのである。社債を実際に持っている者の保険と言うよりも、単なるギャンブルとしての約束事だけの保険のほうが2・5も大きかったということになる。約束事だけへの保険ならば、競輪競馬に賭けるようなもので、無限に広がっていく理屈になる。

 こうして、こういうギャンブル市場がどんどん膨張していった。政府も国際競争力強化と銘打って証券文化を大いに奨励した事も預かって。各国年金基金の自由参入、確定拠出年金・・・。これらにともなって、機関投資家の上場企業株式所有シェアがどんどん増えていく。1960年アメリカで12%であったこのシェアが、90年には45%、05年61%と。そして、彼らの発言力、利益こそ企業の全てとなっていった。
「経営者資本主義から投資家資本主義へ」
そういう、大転換英米圏で起こり、日本はこれを後追いしていると語られる。

 この大転換の目に見えた中身は語るまでもないだろう。企業から「金融市場への支払い」が、その「利益+減価償却」費用とされたキャッシュ・フロー全体に占める割合の急増。アメリカを例に取ると、1960年代前半がこの平均20%、70年代は30%、1984年以降は特に加速して1990年には75%に至ったとあった。
 彼らの忠実な番犬になりえた社長は彼らの「仲間」として莫大なボーナスをもらうが、「企業の社会的責任。特に従業員とその家族、地域への・・」などという考えの持ち主は、遺物になったのである。こうして、米(番犬)経営者の年収は、一般社員の何倍になったか。1980年には20~30倍であったものが、最近では彼の年金掛け金分を含んで475倍平均になっている。その内訳で最も多いのは、年当初の経営者契約の達成に関わるボーナス分である。全米の企業経営者がこうして、番犬ならぬ馬車馬と化したわけだ。

「証券文化」という表現には、以上全てが含意されてあるということだ。企業文化、社長論・労働者論、その「社会的責任」論、「地域貢献」論、「政治家とは」、「政府とは・・?」 「教育、大学とは、学者とは・・?」、そして、マスコミの風潮・・・。


(二部、三部に続く。ただし、ぱらぱらと。つまり、それぞれの間がかなり空くと思います)
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