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ハリルジャパン(136) 「ゴール直結性」という変化  文科系

2017年11月21日 06時33分17秒 | スポーツ
 こうして、ハリルが「モダンサッカー」と語るのは、結局はゴール直結性のこと。今回は、その成績変化をこそ示してみる。いくらボールを繋いでも、ゴールに迫れなければ無意味だということ。逆を言えば、ボールなど持っていなくても際どいシュート数で圧倒していれば勝勢ということ。ハリルのサッカーは明らかにそうなっている。


 非常に面白い数字がある。アジア予選直近の4戦とブラジルW杯3戦平均数値との比較である。これだけ基本数値が変わったら違うチームのはずであって、これを前と同一の尺度、観点からだけ観れば、「酷いゲーム」となるのが必然だが・・・?、という証明をしてみたい。初めに、W杯3ゲーム平均数値と、直近4戦では8月31日の対豪州戦の数値とを比較して論じてみる。オーストラリアは日本にとってアジア最大の宿敵にして強敵。そこにどうやって「楽勝」して、いち早くW杯出場を決めたか。以下のようなゲームでさえ、まずい試合と述べた評論家がかなりいたのである。

 キープ率は56%から34%へと下がり、パス数とパス成功率に至っては、前者が545本から305本に、後者も78%から71%へと下がったのである。ゲームにおける攻撃、パスの繋ぎ方で評価を下したら、代表は随分下手になったということになる。しかも、前者はW杯の世界相手の数値で、後者はアジア予選なのに、こんなに下がったではないか! チームは劣化したのか?

 ところで、こんな繋ぎ、パスの状況から、ゲームにとってもっと遙かに大事な数値に目を移せばあら不思議、随分強くなったことになるのである。そもそもW杯では負けたけれど、対豪戦は勝った。その勝利を示す土台となる数値こそ、以下のものだ。日本のシュートは18本で、オーストラリアはわずか5本、枠内に飛んだのは1本である。デュエル数値は全て勝ち、何よりも相手のパスをカットした数が32対12。ボールは保持していなかったけれど、相手ボールを苅っては敵ゴール前・シュートへという姿は極めて鮮明なのである。

 こんなゲームを敗勢とか下手になったとか語る人々は、何を見ているのかと言いたい。言ってきたようにパスの繋ぎ方だけを観て、「良い潰しから良いシュートチャンスへ」という場面には目をつぶっていたことになる。こういう人々こそ、ゲームを観ていないというのであろうか。いや、見ていても見えていない。そんな評論家が日本では何と多かったことか! どうして?

(以上の数値は、9月6日中日新聞連載コラム、大住良之の「サッカーの話をしよう」から、)
コメント (4)
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