熊本大学名誉教授・前田浩著で、マキノ出版からでているこの本は、ランナーや水泳などスポーツに励む人には特に必読書と言える。なんせ、この先生は抗がん剤の世界的権威にして、この本はスポーツマンにとって欠かせない活性酸素対策の書だからだ。「はじめに」に書かれているこの書の最要点を示すスローガン風の文章と、野菜スープの作り方自身とを書いて、書評に代えたい。
「抗がん剤の研究者だからこそ、がん予防にも力を入れたい」
「野菜スープは猛毒の活性酸素を消去する物質の宝庫」
「野菜に含まれる各種の抗酸化物質が連携して害を防ぐ」
「野菜スープはがん予防に確実につながる」
そういうス-プの作り方は、こんな風だ。
前田先生が最も多く常備している野菜は、キャベツ、タマネギ、ニンジン、かぼちゃで、これに各季節の緑黄色野菜を適宜加える。例えばこれら300gほどをざく切り、一口大切りなどにして、重さの三倍(900ml)ほどの水を加えて火にかける。沸騰する直前に弱火にして、30分煮込んで出来上がり。なお、ニンジン、大根などは皮をむかず、セロリやキャベツの(外の)葉なども、特に抗酸化物質が多い部分だから、よく洗って全部使う。
調味料は入れなくても、お好きなものを入れても良いとあるが、僕はコンソメスープの素を水500mlに一つほど入れている。特にこの液体スープ自身が各種抗酸化物質の宝庫なのだそうだ。
活性酸素の害や、これに対するポリフェノールなどの抗酸化物質の効能については、この「ランナーの手記」に何度も書いてきたことだから、今回は省く。ここではただ一言。運動とともに取り入れてしまい、人間の細胞老化を引き起こす最大の有害物質である。相撲取りやボクシング選手など無酸素運動筋肉を鍛えてきたが人々が早く死ぬのも、これが原因なのだ。無酸素運動筋肉が多い人は活性酸素への体内備えが弱くなるからである。ちなみに、ジムなどに多いウエート・トレーニングだけの人は必ず早死にする。活性酸素を取り入れすぎている上に、太い筋肉の上に付いてくる脂肪を減らして痩せるということができなくなるからである。ウエートだけやって走れない人は、中年以降にはただ太るだけで美容にもならない。
さて、この抗酸化物質の宝庫を摂り始めると、白内障が治ったり、老人斑さえ消えて肌が若がえるともあったから、美容にもなるのだ。細胞老化一般に抗する最も大きい力になるとは、そういうことなのである。ちなみに僕がずっとスポーツ好きで、活性酸素対策もしてきたからなのだろうが、体脂肪は13%台で、60歳半ばほどといつも見られてきた。若さを保つ方法を押し詰めて言えば、こういうことになろう。ランニング、力を入れたサイクリングなど最低30分以上は有酸素運動をし続けられる身体を保ち、活性酸素対策をする、と。