今年4月24日、会計検査院が、公的年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」のリスクの高い運用方法に対して異例の警鐘を鳴らしたと報道された。18年10~12月期に、四半期ベースで14兆8039億円もの赤字を記録して、GPIFの150兆円資産の約1割が吹っ飛んだことに関わったものである。
ついては、日本政府はこのままでは近く必ず起こされる標記「日本売り」をこれから一体、どう避ける積もりなのか。今の日本は大変な官製バブルで、バブルのある所必ず空売り、日本売りが狙われているからである。有名なアジア通貨危機は、アジアや世界の金が集まってバブルが出来上がっていたタイ・バーツの空売りから始まったのだし、リーマンショックはサブプライムバブルから始まったなどなどは、今や周知の事実である。日銀までをねじ伏せて強行されてきた財政ファイナンスぐるみの日本官製バブルが弾けないわけがない。いや、強制的に弾けさせられない訳がないのである。狙っているのはもちろんアメリカのハゲタカたち。なんせGAFAの株価時価総額がドイツのGDPを抜いたというのだから。
ちなみに、1997年に起こったアジア通貨危機の震源地、タイの通貨バーツ空売りの仕組みをご紹介したい。以下は、毛利良一著「グローバリゼーションとIMF・世界銀行」(大月書店2002年刊)からの抜粋である。
『通貨危機の震源地となったタイについて、背景と投機の仕組みを少しみておこう。タイでは、すでに述べたように経常取引と資本取引の自由化、金融市場の開放が進んでいた。主要産業の参入障壁の撤廃は未曾有の設備投資競争をもたらし、石油化学、鉄鋼、自動車などで日米欧間の企業間競争がタイに持ち込まれた。バンコク・オフショアセンターは、46銀行に営業を認可し、国内金融セクターが外貨建て短期資金を取り入れる重要経路となり、邦銀を中心に銀行間の貸し込み競争を激化させて不動産・株式市場への資金流入を促進し、バブルを醸成した。(中略) 投機筋は、まずタイ・バーツに仕掛け、つぎつぎとアセアン諸国の通貨管理を破綻させ、競争的切り下げに追い込み、巨大な利益を上げたのだが、その手口はこうだ。(中略) 1ドル25バーツから30バーツへの下落というバーツ安のシナリオを予想し、3ヶ月や半年後の決済時点に1ドル25バーツ近傍でバーツを売り、ドルを買う先物予約をする。バーツ売りを開始すると市場は投機家の思惑に左右され、その思惑が新たな市場トレンドを形成していく。決算時点で30バーツに下落したバーツを現物市場で調達し、安いバーツとドルを交換すれば、莫大な為替収益が得られる』
見られる通り、一例として言えば、1億ドルで30億と安くなったバーツを普通に現物調達したうえで、結んであった先物予約の通りにドルを買えば、1億2千万ドルに換えられるのだ。
以上のような日本売りがアメリカファンドに狙われているのであって、政府日銀ぐるみのこの日本官製バブルは必ず弾けさせられると、これが「日本バブルの出口の恐怖」。GPIFだけでなく国債を大量に買わされた日銀までを動員して保っているに等しい株も円も国債も大暴落すると、そう懸念されて来たはずだ。それも、去年末15兆円の損失が既に出ているのである。あたかも、「その時、そのやり口」のシミュレーションでもするように。
それどころか、この恐怖を避けるためにこそ、安倍がこれまでアメリカにいろいろ取り入って来たとさえ思う。日本の失われた20年とは、そういう背景があったのだとさえも、思い巡らすことがある。さらには、安倍が最近中国元とのスワップ協定まで結んだのは、これに備えてのことだと見てよいのではないか。だがそもそも一体、どんな防止法が可能なのか? 一旦バブルができてしまえば、先ずそんなものはあり得ない。ハゲタカは、バブルを次第に収縮させていくのを黙ってみていてくれることなどないのだから。
ついては、日本政府はこのままでは近く必ず起こされる標記「日本売り」をこれから一体、どう避ける積もりなのか。今の日本は大変な官製バブルで、バブルのある所必ず空売り、日本売りが狙われているからである。有名なアジア通貨危機は、アジアや世界の金が集まってバブルが出来上がっていたタイ・バーツの空売りから始まったのだし、リーマンショックはサブプライムバブルから始まったなどなどは、今や周知の事実である。日銀までをねじ伏せて強行されてきた財政ファイナンスぐるみの日本官製バブルが弾けないわけがない。いや、強制的に弾けさせられない訳がないのである。狙っているのはもちろんアメリカのハゲタカたち。なんせGAFAの株価時価総額がドイツのGDPを抜いたというのだから。
ちなみに、1997年に起こったアジア通貨危機の震源地、タイの通貨バーツ空売りの仕組みをご紹介したい。以下は、毛利良一著「グローバリゼーションとIMF・世界銀行」(大月書店2002年刊)からの抜粋である。
『通貨危機の震源地となったタイについて、背景と投機の仕組みを少しみておこう。タイでは、すでに述べたように経常取引と資本取引の自由化、金融市場の開放が進んでいた。主要産業の参入障壁の撤廃は未曾有の設備投資競争をもたらし、石油化学、鉄鋼、自動車などで日米欧間の企業間競争がタイに持ち込まれた。バンコク・オフショアセンターは、46銀行に営業を認可し、国内金融セクターが外貨建て短期資金を取り入れる重要経路となり、邦銀を中心に銀行間の貸し込み競争を激化させて不動産・株式市場への資金流入を促進し、バブルを醸成した。(中略) 投機筋は、まずタイ・バーツに仕掛け、つぎつぎとアセアン諸国の通貨管理を破綻させ、競争的切り下げに追い込み、巨大な利益を上げたのだが、その手口はこうだ。(中略) 1ドル25バーツから30バーツへの下落というバーツ安のシナリオを予想し、3ヶ月や半年後の決済時点に1ドル25バーツ近傍でバーツを売り、ドルを買う先物予約をする。バーツ売りを開始すると市場は投機家の思惑に左右され、その思惑が新たな市場トレンドを形成していく。決算時点で30バーツに下落したバーツを現物市場で調達し、安いバーツとドルを交換すれば、莫大な為替収益が得られる』
見られる通り、一例として言えば、1億ドルで30億と安くなったバーツを普通に現物調達したうえで、結んであった先物予約の通りにドルを買えば、1億2千万ドルに換えられるのだ。
以上のような日本売りがアメリカファンドに狙われているのであって、政府日銀ぐるみのこの日本官製バブルは必ず弾けさせられると、これが「日本バブルの出口の恐怖」。GPIFだけでなく国債を大量に買わされた日銀までを動員して保っているに等しい株も円も国債も大暴落すると、そう懸念されて来たはずだ。それも、去年末15兆円の損失が既に出ているのである。あたかも、「その時、そのやり口」のシミュレーションでもするように。
それどころか、この恐怖を避けるためにこそ、安倍がこれまでアメリカにいろいろ取り入って来たとさえ思う。日本の失われた20年とは、そういう背景があったのだとさえも、思い巡らすことがある。さらには、安倍が最近中国元とのスワップ協定まで結んだのは、これに備えてのことだと見てよいのではないか。だがそもそも一体、どんな防止法が可能なのか? 一旦バブルができてしまえば、先ずそんなものはあり得ない。ハゲタカは、バブルを次第に収縮させていくのを黙ってみていてくれることなどないのだから。