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随筆  Jリーグに歴史的強豪誕生   文科系

2018年12月24日 01時08分17秒 | 文芸作品
 テレビに、サッカーJリーグ本年度表彰式、今、今年のMVP受賞者が映っている。二連覇を遂げた川崎フロンターレ・家長昭博三十二歳が、こんな挨拶をする。

『日本を代表するような選手が多いからここに飛び込んできたのですが、多くの刺激をもらえるチームメイトがいて学ぶことがあるクラブに加入して、本当に良かった。皆のおかげで、僕自身も人としても選手としても成長できた。本当に良かったと思えます』

 この家長、十代早くからJリーグ選手育成史屈指の天才と言われながら、芽が出なかったスペインリーグなども含めてここが六チーム目で、それもフロンターレ在籍二年目の選手に過ぎない。こんな彼の言葉に対するに、チームで「長老」と呼ばれている中村憲剛のネット談話を後で読むことが出来た。
『加入当初はうちに合わせようという気持ちがありましたが、それよりも自分の間も大事にしてやりたいことをやれ、僕らもそれに合わせる、とやってきて、どんどんアキも良くなっていった。去年の夏以降は苦しい時に突破口を開いたのはアキの左足でしたし、苦しい時に身体を張って時間を作ってくれたのが、アキでした。こんな頼もしい選手はそんなに多くない。数字に直結できるプレーを意識してからすごい怖い選手になった』
チームに来て二年で現代(世界サッカー)の最高、最新のチーム戦術にこれだけ溶け込んで見せ、かつその先頭にも立って、結果を最大限に評価された家長。やはり天才なのだろう。天才が三十路を過ぎて真の己を見いだせる場を得たという、希有な幸せとも言える。

川崎フロンターレ、歴史に残る強豪が誕生した。その二連覇とともに特筆すべきは、そのゲーム内容である。過去に二連覇チームは四つしか無いが、川崎には他にない特別に興味深い偉業一つが加わって来る。この家長で、川崎からのMVPが三年連続なのだ。一六年の中村憲剛、一七年の小林悠、そして今年の家長。これが特別に興味深いのは、こんな点である。一一人がぴったり意思一致して高度な組織的動きをしてこそ初めて成果が上がるサッカーにおいて最高殊勲選手が三年続きで生み出せたのは、チーム戦術とそのプレーとが群れを抜いて優れているということに他ならない。このことを証明しているこんな結果もある。本年のJリーグ優秀選手表彰三〇人に、川崎から実に一〇人が入っている。

 川崎のどこが優れているのか。その最大テーマについて、憲剛の言葉を聞こう
『現代サッカーでは攻撃の選手も積極的に守備をするのが当たり前ですからね。その質をどこまで高められるか。いまや、そういうフェーズ(段階)になっている』
『自分が常にスイッチャー(攻から守への切替役)になること、今年最もやるべきことは、そこだと思っています』
 あるサッカーライターは、このチーム、特に中村の凄みを、こう表現している。
『攻から守への切り替えと球際の厳しさを徹底。そこから敵陣でボールの保持(攻撃)と奪取(守備)を繰り返し、敵を一方的にやり込める最強フロンターレの「核」が形づくられていった』
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