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中国のウィグル問題 - 言及されない側面

2018年12月02日 12時51分43秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

中国のウィグル問題 - 言及されない側面
2018年10月5日 F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 ここ数カ月、欧米マスコミとワシントンの政権が、中国北西の新疆で、最大100万人の中国ウイクル人が拘留され、様々な“再教育”を受けさせられているとされる大規模強制収容所とされるものを巡って激しい非難を始めている。嫌疑に関するいくつかの点において、とりわけ、全てが、欧米マスコミや、その信ぴょう性実績が今ひとつ物足りないヒューマン・ライツ・ウォッチのような“民主主義”NGO発なのは注目に値する。

 8月 ロイターは“中国が100万人のウィグル人秘密収容所を運用している信ぴょう性の高い報告があると国連が表明”という見出し記事を報じた。記事を詳細に見ると、公式の国連政策声明ではなく、独立委員会の国連を代弁しているわけではない中国経験皆無の一人のアメリカ人委員発言の引用だ。主張の情報源は、国連の独立諮問NGO、人種差別撤廃委員会というものであることが分かった。嫌疑を主張している唯一の人物は、アメリカの委員、ゲイ・マクドゥガルで、彼女は“信ぴょう性の高い報告”に関する“深い懸念”を表明していた。マクドゥガルは、その劇的な嫌疑についての何の情報源も挙げていない。

 ロイターは、その記事で、ワシントンDCに本拠を置くいかがわしいNGO、中国人権擁護団(CHRD)を引用して主張を強化した。素晴らしい背景調査で、グレイゾーン・プロジェクトのリサーチャーは、CHRDが、匿名の諸政府から何百万ドルも得ていることを発見した。悪名高いアメリカ政府NGO、全米民主主義基金は札付きリストの上位にある。CHRD幹部の住所が、ソロス財団からも資金を得ているヒューマン・ライツ・ウォッチと同じなのは注目に値する。

‘ウイグル問題’

 ウイグル族に関する中国新疆省における事態の本当の状況は、そのような収容所が存在するのか、そして一体どのような条件の下で、一体誰がそこにいるのかを独自に検証するのは不可能だ。とは言え、トルコやアメリカ、更にサウジアラビアのものも含めNATO諜報機関が、シリア国内で、近年、アルカイダや他のテロ集団に加わっている何千人もの中国ウイグル・イスラム教徒の募集と配備に関与している事実が判明している。この精査が必要な側面を、ロイターやヘイリー国連大使は無視している。

 Voltaire.netが引用しているシリアのメディアによれば、現在、シリア内には、18,000人のウイグル族がいて、トルコのシリア国境の村々に最も集中していると推測されている。2013年以来、シリア国内でアルカイダとともに戦ったそうしたウィグル人兵士が、中国の新疆に帰国し、そこで様々なテロ行為を行っている。これは中国国内でテロと不安定の種を蒔くためのNATOとつながる卑劣なプロジェクトのごく一部だ。新疆は中国の一帯一路構想の要で、カザフスタンからのロシアの戦略的石油・ガス・パイプラインの交差点で、何十年間にもわたり、CIA策謀の主要標的だ。

 少なくとも、バッシャール・アル・アサドのシリアに対するNATOの戦争が始まった2011年以来、シリア国内で聖戦士になる中国ウイグル人の流入を促進する上で、トルコは主要な役割を演じてきた。それが今でもそうなのか、それとも、エルドアンとトルコ諜報機関にとって、厄介なことになっているのか、疑わしきは罰せずとするために、私はここで、意図的に“来た”と過去時制を使った。ともあれ、シリアには何千人ものウイグル人が、大半は反政権テロリスト最後の砦と報じられているイドリブ周辺に潜伏しているようだ。

ワシントンとETIM

 21st Century Wireのシリア人ジャーナリスト、Steven Sahiounieは、中国ウイグル族のテロの歴史の素晴らしい分析で、中国ウイグル人青年が過激化する背景にある主要組織は、東トルキスタン・イスラム運動 (ETIM)と、“Katibat Turkistani”としても知られている、その政治フロント団体トルキスタン・イスラーム党(TIP)だと述べている。彼は、1995年の、当時市長だったエルドアンのイスタンブールにおける演説を引用しており、エルドアンは“東トルキスタンはチュルク語族の故郷であるのみならず、チュルク語族の歴史や文明や文化の発祥の地でもある”と言っている。東トルキスタンは新疆だ

 ETIMは、現在、ワシントンDCに本拠を置く東トルキスタン共和国亡命政府の自称首相、アンワル・ユスフ・トゥラニが率いている。アメリカ国務省がテロ組織としてリストに挙げている時期に、ETIMはワシントンに移転しており、奇妙な動きだ。トルコの調査報道雑誌Turk Pulse報道によれば、トゥラニの組織の“亡命政府のための活動は‘新疆プロジェクト’と題する報告書に基づいている。これは元CIA幹部職員のクラハム・E・フラーにより、1998年にランド研究所のために書かれ、2003年に‘新疆問題’という題名で改訂されたものだ”。

 私の本『The Lost Hegemon』で、CIA幹部工作員クラハム・フラーについて、私は詳細に書いた。元イスタンブールCIA支局長のフラーはレーガンとブッシュのイラン-コントラ事件の設計者の一人で、ギュレンのアメリカ亡命を推進したギュレンの主要CIAというか、ハンドラーだった。2016年のクーデター未遂の夜、イスタンブールにいたことを彼は自ら認めている。1999年、ロシアのエリツィン時代末期、“イスラム教の発展を導き、 我々の敵と戦う彼らを支援する政策は、アフガニスタンで、ロシアに対して、見事に大成功した。同じ戦闘教義は、残されたロシア勢力の不安定化や、特に中央アジアにおける中国の影響力に対抗するのに依然利用可能だ”とフラーは発言していた。これこそ、アメリカによるETIMの兵器としての密かな利用の狙いだ。大半の過激スンナ派聖戦戦士集団同様に、トゥラニのETIMは、最も過激なスンナ派聖戦戦士集団として、サウジアラビアから資金提供を受けている。

 1990年代末期、アブ-ムハンマド・アル-トルケスタニとしても知られている東トルキスタン・イスラム運動の創設者ハサン・マフスムは、ETIM本部をカーブルに移し、タリバンが支配するアフガニスタンに避難した。アフガニスタンで、ETIM指導部は、オサマ・ビン・ラディンやCIAが訓練した他のアルカイダやタリバンやウズベキスタン・イスラム運動の指導者たちと会い、中央アジア全体で行動の調整をはかった。2003年、パキスタン軍がアル-トルケスタニを暗殺すると トゥラニがETIMのトップとなりワシントンまで講演にでかけた。

 新疆についての彼自身の研究で、CIAのクラハム・E・フラーは、サウジアラビア集団が新疆内の支持者を通して、過激なワッハブ派宗教文書や、場合によっては、小火器を流布し、若いチュルク語族イスラム教徒たちをパキスタンやアフガニスタンやサウジアラビアのマドラサ(学校)で学ぶよう勧誘したと述べている。1980年代、新疆出身のウイグル族が、オサマ・ビン・ラディンのアルカイダと共にアフガニスタンで戦ったとも彼は述べている。

 フラーはこう書いている。“ウイグル族は実際、新疆外のイスラム教集団と接触しており、その過程で、彼らの一部は、より広範な聖戦戦士政治へと過激化し、ごく少数は以前、アフガニスタン国内でのゲリラやテロリスト訓練に関与し、国際的なイスラム教ムジャヒディンと接触し、世界中で、独立というイスラムの大義のために戦っている.”

 2018年1月のペンタゴン国防戦略政策文書は、ロシアと共に、中国をアメリカ覇権の継続にとっての主要戦略的“脅威”として明示的に挙げている。文書には“テロではなく、国家間の戦略的競合が、現在、アメリカ国家安全保障上の一番の関心事だ”と書いてある。明確に、この新しいペンタゴン論文は、軍事的脅威ではなく、経済的脅威を挙げている。この文書は“中国とロシアが、体制の内部から、自分たちの利点を利用し、同時に、その原則や‘交通規則’を無視し、今や国際秩序をむしばんでいる”と述べている。中国に対する貿易戦争や、新疆内のウィグル人収容所とされるものを巡る経済制裁の恫喝や、もし中国がロシアの防衛装備を購入したら経済制裁するという恫喝などのエスカレーション、こうしたこと全て、ワシントンのグローバル秩序に対して出現しつつある唯一の脅威を、自由や正義ではなく、恐怖と暴政に基いて破壊するのを狙ったものだ。この全面攻撃に、中国当局が一体どのように対処しようとしているのかは、また別の問題だ。とは言え、新疆での出来事の文脈は、明らかにされる必要がある。欧米、特にワシントンは、中国の安定性に対する全面的非正規戦争を行っているのだ


(「マスコミに載らない海外記事」サイトより)
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ポイチジャパン(15)広島とセレッソ  文科系

2018年12月02日 11時35分19秒 | スポーツ
Jリーグ戦終了トピックス。広島、セレッソ、手倉森誠

 本年のJリーグが終わって、二つのチームが話題になっている。一つは広島。前半にあれだけ連勝を重ねたチームが何故連敗続きになっていったか。リーグ戦半を過ぎてもダントツの首位チームが、後半には鳥栖、名古屋、磐田、柏など降格を争ったチームにさえ連敗続きとなったのである。現在のJチームの傾向を良く分析できて、チーム強化を図るヒントがいっぱい詰まった絶好の教材とも言える今期の広島である。

 今ひとつは、セレッソ大阪の選手多数が、造反とも言えるほどに移籍を志願しているという大事件だ。このチームがユンジョンファン監督を切ったのが根本的に誤りであると思っている僕は、選手の気持ちが分かるような気がするのである。ユンジョンファンは世界の趨勢が分かっている実力を持った監督。それでも、Jリーグの激しい変化、急成長に対してちょっと調整を誤っただけと、僕はそう捉えていたからだ。杉本、山口、村山ら移籍が噂されている選手らも、そう考えたのではないか。「新しい監督が来てもほぼ弱くなるだけ」と。キャプテン格の山口などは世界の趨勢に最も多く通じて詳しく、戦略にも強い選手だから、他選手に対して影響力絶大なのだと思う。多分、セレッソのフロントよりも、チームの現状やユンジョンファンの力などがよく見えているのではないか。

 それにしても、広島の終盤失速は驚きを通り過ぎている。終盤の2ゲームほどを観たが、原因はこんな所だろう。①ハイプレス・カウンターが徹底して、「全員守備」が弱い日本では勝てて来たが、②相手が「広島のボールの取り所」お押さえて対策したり、青山の縦パス防止などカウンターシフトを引き始めると、③選手層が薄いために失速した。この戦術は、前からの激しいプレスのために厚い選手層が要るのである。④加えて、城福監督の以下のような個性、姿勢にも問題があったのではないか。当面の勝ちに拘りすぎて、レギュラー陣を増やす工夫、努力を怠った、と。こういう性格は下手をすると「一将功なりて万骨枯れる」ということにもなって、選手の信頼を無くす。選手をリスペクトしていて選手に好かれなければ、ずっと良い監督ということはありえないのである。今をときめくリバプールのクロップは、選手を喜ばせ、そのフランクさもあって、選手との相互信頼、相思相愛度が極めて高いのである。
 だがこの広島、来年のACLでは、案外面白いかも知れない。そして、もしこちらに力をさけば、Jの方が降格圏ということもあり得る。すべて、選手層が厚くできるかどうかに掛かっているはずだ。ある勝負を捨ててでも、レギュラーに必要な選手を育てる長期的展望、決断が必要なのだろう。その前段階までの育成強化とともに。

 もう一つ、長崎が手倉森監督を取ったのがとても面白い。弱小仙台でJ2位にまで漕ぎ着けた実績が素晴らしいからだ。ただ、あの時の戦術だけではもう時代遅れであって、城福のようになってしまう。「私だって繋ぎ切って勝ちたいが、先ず失点を防ぐこと、そういうプレス」を作ったのが仙台の手倉森だった。対して、今のJではもう、潰しだけでも、繋ぎだけでも勝てなくなっている。全員守備・全員攻撃という世界水準の組織戦時代に突入しているのだから。今月の世界クラブカップでも、鹿島が良い線行くだろう。16年同様、南米チャンピオンを負かしてほしいと思っていたら、それよりも前にレアルと当たることになってしまった。柴崎が居た16年の「90分は2対2」を何度も何度も噛み締めている。
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