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進化論、社会ダーウィニズムに関わって   文科系

2009年05月30日 21時24分57秒 | Weblog
本日の落石さんの投稿「進化の方向」はいろいろなことを考えさせてくれる文章だと思います。そこで、この文章に関わると思われることで、反復説というのがありますので、それに触れてみたいと思います。
「個体発生は系統発生を繰り返す」

これの正しい解釈と、誤った解釈とがあります。誤りはこういうの。単細胞生物から人間までの系統発生の全てを順序を違えてでも、人間1人の発生、成長のあちこちに見抜こうとする奴です。これは、「機械的反復説」と言われます。

正しい解釈はこういうのです。ちょっと難しいですが。
「個体発生は、系統発生の全ての段階を経るということはなくっていろんな段階を飛ばしてしまうということはあるが、人間個体に起こることは、系統発生通りに起こり、その順番に狂いはない」
この後半は説明がいります。人間の赤ん坊は母の体内でもう、哺乳類の段階になっています。ですから生まれた後で「は虫類の這い這いをしなければならない」などということはもうないわけです。ですが、保育の偉い先生が昔、その大人気の本でもっともらしく「は虫類這い這い」などという言葉を大々的に使ったことがありました。僕はこれを聞いた時、笑っちゃいましたね。「『は虫類這い這い』なんていかにも系統発生学的でもっともらしいから、『は虫類の段階の這い這い』としか読めないよな。だから機械的反復説だね。これは」というわけです。

さてこうして、他の生物から人間の精神、心、社会などを類推するのは、ほとんど全て誤りと言っても良いのだと思います。だからこそ、社会ダーウィニズムも誤りなんですね。人間(の肉体はともかく、その精神や社会のこと)は何よりも、他の生物とは非常に違う特別な存在です。

さて、新自由主義と「平等、博愛」と。これは生物学から類推してもいけないし、塩野七生がよくやるようにギリシャ、ローマ時代などから類推してさえもいけないと僕は考えていますね。「現代社会の」、「自由」対「平等」のはずですから。類推とは、同じような言葉の魔術に人間が引っかかりやすい罠だと思いますね。
現代の「自由対平等」は例えばこういうものじゃないでしょうか。
【 当面、大きく分けて二つの指導的な資本主義の間に闘争がある。それは少なくともアングロ・サクソン諸国に見られる新自由主義的な形態と、生産におけるコーポラティズムの組織と弱者への福祉の網の目に安定の基礎を置こうとしている国家資本主義的重商主義という二つの形態である。新自由主義的な形態はアングロ・サクソン諸国において最も発達しているが、国家資本主義の形態は大陸ヨーロッパにおいてみられ、その修正された形態が日本に見られる。
実際、米国の有力な理論家の中には、この文脈で、「共同体主義的」日本モデルやドイツの「社会的市場」モデルの方が長期的な観点を備えており短期的な観点しか持たず投機的で利潤極大指向性が強い自由主義的な英米モデルよりも、経済的にも社会的にも優れていると主張する者もいる。】

上記は1996年に日本版が出された本からの抜粋ですが、今の日本はもうこの当時の面影すらなくって、随分アングロ・サクソン的になってきたのではないでしょうか。そしてまた、「自由主義的な英米モデル」がいかに「短期的な観点しか持たず投機的で利潤極大指向性が強」かったかは、サブプライム爆発によって既に見事に証明されています。
今読んでいる「地球政治の再構築」、スティーブン・ギル著、朝日選書からの抜粋でした。イタリアの思想家グラムシの理論を、現代世界政治経済分析に適用した数少ない本です。いずれこのブログでも触れるつもりです。


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進化の方向    落石

2009年05月30日 17時45分15秒 | Weblog
人間は自由であり、競争社会。力のある者が勝つのが正義。
「社会ダーヴィズム」という考え方があります。
これに対して「人間は平等な社会で生きるように進化してきた」
と、する全く正反対の考え方があるそうです。

その証拠のひとつが人間の顔の進化。
目や顔の表情は、自分がなにを考えているのかを
相手に伝えるように進化してきた。
自分を相手に知らせることが、お互いを理解し、
信頼しあう平等社会の土台にあるというもの。

小泉さんたちが進めた改革は、経済の活性化=
会社の利益第一=個人の業績第一主義。
この結果、上の人(お金持ち)が下の人(貧乏人)を
見下す社会に変化。
人間関係の希薄化が人間の健康を支えてきた
社会関係資本を劣化させ、貧乏人ばかりではなく
お金持ちの健康をも悪化させるという皮肉な結果も出ているという。

ソビエト社会の「悪」平等が、平等への信用を傷つけた罪は大きいが、
失ってはじめて、その大切さに気付くことも多い。
平等こそ豊かさの大切な条件のひとつであること、に、
改めて気付く必要があるのでは?

中日新聞の夕刊・池本幸生さんの「健康をむしばむ格差社会」より。


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