棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

2-切られた坊主の自戒

2009-04-07 08:16:03 | 物語・絵本・童話
ワシはこの度の厄払いを成功させるために、お伺いする前日から精神集中させ、それまでにないくらい気合が入っていた。
残念だったのは、キンキラな車をしたてて、堂々と乗り込むつもりであったが、車を借りることが出来なかったことだ。物の怪に襲われたのは、その辺からの番狂わせがそもそもの原因だったかもしれぬ。
 着替えのため、高貴な方々の部屋に通されたときは、正直おどろいた。
家具調度のきらびやかなこと、なんともいえぬよい香りにみちていた。
ワシはその部屋を見ただけで、舞い上がってしまった。
市井の長者の祈祷もやってきたが、まるで比べ物にならぬほど立派であった。
やがては自分もこのような高貴な生活が出来ると思うと、頭がボーとしてきた。
そんな心の緩みと、まさか、真昼間に「物の怪」がひそんでいるなどと思ってもみなかった。
祈祷僧は最後まで、物の怪に打ち殺されたのだと、思っていた。


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