棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

ききょう色の空

2010-12-06 16:23:41 | 山郷の暮し
昨日は12月だとはとても思えない暖かな一日。
今日はさらに気温が上がりそうです。
見上げれば群青色の空に、宮沢賢治が称した「ききょう色の空」だと・・。
大口あけて、ボケーーとながめていると、賢治のさまざまな小作品が浮かんでくる。
とりわけ、「虔十公園林・ケンジフ」がまざまざと展開する。
すこし知恵遅れの主人公は、こんなすばらしい空に、にこにこして見上げていたことだろう。
作品を紹介いたしますと、主人公が親にねだった唯一のことが、何もできないという空き地に植える杉の苗木でした。
地力がまったくない土地に、みんなから馬鹿にされます。
たしかに、杉の育ちは極めて悪い。
虔十も死に、幾十年かすぎ、村は町へと大変身したが、なぜかこの杉林はのこっていたのです。


作品の部分を紹介しますと・・
「・・・ああ全くたれがかしこくたれが賢くないのかはわかりません。
ただどこまでも十力の作用は不思議です。・・・・

全く全くこの公園林の黒い立派な緑、さわやかな匂い、夏の涼しい陰、月光色の芝生がこれから何千人の人たちに本当のさいわいが
何だかを教えるかかぞえられませんでした。」
あまり知られていない賢治の小作品ですが、私の大好きなものです。

ryusun

つぶやき

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