黄昏どきを愉しむ

傘寿を過ぎた田舎爺さん 「脳」の体操に挑戦中!
まだまだ若くありたいと「老い」を楽しんでま~す

ゴッホは、ほんとうにピストル自殺をしたのか? NO.8

2021-06-21 | 日記
 さぁ~いよいよ「原田マハ アート小説ミステリー」の本格的始まりです。
 「真実」「想像」巧みに織り交ぜながらの物語仕立てですから、読者も
 深みにはまることなく?「史実」の確認をしながらね。
 

 「ゴッホ美術館の研究者も、何度かこちらへ調査に来て、同じことを
訊かれましたが…残念ながら、私が買い取ったときには、食堂の壁には
古ぼけたポススターが貼ってあるくらいでしたよ」

冴は、重ねて訊いてみた。
 「それとは違う、もうひとつのリボルバーについては?」

ペータースは冴を見た。
 窪んだ眼孔の奥の瞳がきらりと光ったように見えた

 ・・・ちょうどそこへ、注文の料理が運ばれてきた…。
         

 ギローはナイフとフォークをテーブルの上に戻すと~

 「すみませんが、ムッシュ・ペータース。
    さっきの冴の質問の答えは・・・?」と。

ペータースは、思い切ったように言った。
 「もうひとつのリボルバー…というのは、ひょっとすると
   サラが持っている『ゴーギャンのリボルバー』のこと…
  でしょうか」
            
 席にいた三人、突然飛び出してきた単語に…意外すぎて
 どう反応すればいいのかわからない。

 三人のぽかんとした顔をみつめて、ペータースはもう一度、言った。
  「サラ・ジラール。画家の」

 そう! そうなんです、サラをご存じなんですか?」

 「ええ、よく知っていますよ。長い付き合いです。
  彼女はこの店の常連ですからね。
  しょっちゅう来て、このテーブルで食事をしていますよ」
              ペータースは落ち着き払って答えた。

「じゃあ、マダム・サラが…ラヴー亭の初代オーナーが所有していた
 ものとは別の「もうひとつのリボルバー」を持っていたことも、
 最初からご存じだったのですか?」と、 フィリップが問いかけた。

 ペータースは、ややあって、
「いや…あれについて私が知ったのは、ごく最近です」と、
     心なしか声を潜めて答えた。
 
「ファン・ゴッホのリボルバー」ではなく、『ゴーギャン』の?
 重ねて冴が訊くと、

「ええ、その通りです」 どこかしら観念したように、
            ペータースが答えた。

 「オワーズ川沿いにポプラ並木の小径があるんですが、その小径が
   途切れるところに立っている木の根元を、ある人物に言われた
  通りに掘り返すと、出てきたんだそうです」

  「ある人物・・・?
  「どういう人物ですか?」  

  「ポール・ゴーギャンの子孫---ということでした」

  冴は息をのんだ。---どういうこと?


 オワーズ川 (画家ピサロが描いた風景)   

                     *当時のオワーズ川沿い

 ゴッホも描いていた「オワーズ川の岸辺 オーヴェールにて」



 冴は、素早く頭の中で・・・
 ゴーギャンクロニクル(年代記)を繙いた。
 

 そう、明日から、「ゴーギャン」についてのことを…。



続 黄昏どきを愉しむ

 傘寿を超すと「人生の壁」を超えた。  でも、脳も体もまだいけそう~  もう少し、世間の仲間から抜け出すのを待とう。  指先の運動と、脳の体操のために「ブログ」が友となってエネルギの補給としたい。