徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

―ああ、家なき子―師走の街で

2008-12-06 10:00:00 | 日々彷徨

暮れるのが早い街に、夕闇が降りて、火ともし頃の伊勢佐木町を歩いた。
伊勢佐木モールは、華やかなイルミネーションに溢れ、控えめにクリスマスソングが流れていた。
JR の関内駅に急いでいた。
いつもは地上の交差点を横断するのだが、この日は地下道を通ってみた。

そこには、数人のホームレスがいて、寒そうに身をかがめていた。
夏の暑い頃には、駅裏の高架下で、ダンボールで組み立てた‘小屋’に寝泊りしていた人たちだ。
何故か見知ったホームレスが一人いた。
といっても、こちらが見覚えがあるだけのことだが・・・。
彼は、顔が隠れるほどひげをいっぱいに生やしていた。
見ると、ほの暗い灯りの下で文庫本を開いていた。
何と、夏目漱石を読んでいたのだった。(!)
(それは、小さな、しかし嬉しい驚きであった。)

ほかのホームレスたちは、寝ている者もいたし、何処から仕入れてきたのか、パンのかけらをほおばっている者もいた。
これから、寒さも一段と厳しくなる。
暖房も何もないこんな地下道では、冷たい風が何処からともなく吹き抜けてくる。
こうして、年の瀬、新年を迎えるのだろうか。
寒いだろうなあ。
風邪をひかないだろうか。

地上では、街にはクリスマスソングが流れ、人々はせわしく行き来している。
今年も、残り少なくなってきた。
いま、日本全国で16000人以上ものホームレスがいると言われる。
神奈川県で、目視確認されているだけでも2000人以上だそうだ。
しかし、この数字は、こうした「路上生活者」だけのことで、最近増え続けている、若者を中心とした「ネット難民」を加えると、大変な数字になるだろう。
これを、格差社会(貧困)の落とし子といって、済ませることができるだろうか。

(以前、大船にも、いつも大きな荷物を背負った、小母さんのホームレスがいたが、あの女性は何処へ行ったのだろう?)

ここにきて、企業の倒産、そしてとどまることを知らないリストラが相次ぎ、庶民の懐は底をつき、年を越せない家庭もゾロゾロと出始めている。
本当に、先の見えない世の中になってきそうだ。

通りがかった家電販売店の大型テレビに、麻生総理の肌ツヤのいい笑顔がデカデカと映っていた。
 「家計を支え、中小企業を守り、地方を元気にする!」
 「麻生、実行中」とナレーションの入った、何とも品のない(!?)コマーシャルが大音量で聞こえてきた・・・。
 「・・・この国のために、すべての人のために、アナタのために、動き続けます!」
へえ~っ、そうですか。
本当にそうですか。
何やら、♪♪聞けば聞くほど、空しさばかりがつのります・・・。♪♪

いままで、麻生政権は何をやってきたのか。
何もやらないから、国民は苦しんでいるのではないのか。
まるで、政治サギのような・・・。(いや、まったく)
すべてが、空疎である。
それで、政府首脳は「まだ2ヶ月だ、これからがよくなる」なんて言って、威張っている。
とんだ、おためごかしではないか。
死んだふりをしたかのような、この国の無能政治は、かくして来年もまた続くのか。
何でも、‘100年に一度’の大恐慌がやってくるというではないか。
師走の木枯らしが、ひときわ身に沁みる・・・。